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October 13, 2022

米中がインターネットと世界市場を二分する時代へ j-fashion journal(453)

1.中共の5Gと監視パッケージ

 次世代通信網の5Gは、通信性能がPremium 4Gの約20倍に高速化され、同時接続端末数は約10倍になり、通信の遅延はほとんどなくなるという。
 ドコモが紹介する5Gがある未来はこんなイメージだ。(https://www.bizsolution-docomo.jp/special/5g/social.html)
 (1)ショベルカーを自宅から操作できる
 (2)ロボットの精緻な連動が可能に
 (3)花火大会で「スマホが繋がらない」が過去のものに
 (4)誰もが“顔パス”の世界へ
 (5)スマートカーで事故ゼロ・渋滞ゼロの社会に
 (6)超高品質VRでよりリアルな疑似体験を
 以上のような前向きでワクワクするようなイメージが紹介されている。
 しかし、技術は良い方向に、悪い方向にも活用できるものだ。
 例えば、コロナ禍の期間中に、中国は国民監視システムをほぼ完成したと伝えられている。
 (1)GPSと連動したスマホアプリで、行動が記録され、感染リスクのある人と接したかどうかがチェックできる。これにより、完全に個人の行動が把握できる。
 (2)ドローン、監視カメラと顔認証技術とAI技術により、10億人以上の中から個人を特定できる。
 (3)5Gにより、大容量の画像データがリアルタイムで収集できる。
 (4)IoTとカメラにより、家電製品等が全て監視システムとして活用できる。
 (5)ビッグデータ処理が可能なAIにより、インターネット上の情報の監視とコントロールができる。
 もし、世界中に5Gネットワークが完備し、バックドア機能のついた中国製の通信機器が使われれば、世界中の情報は全て中国共産党が収集、分析、コントロールできるようになる。
 これと香港国家安全維持法により、中国共産党は世界中から個人を特定し、人権弾圧することが可能になるだろう。
 もちろん、技術を悪用するかは分からないが、実際にウイグル人、チベット人、モンゴル人等は人権弾圧を受けている。

2.米国防権限法で中国5社を政府調達から除外

 2019年8月13日に、米政権は、国防権限法により、華為技術(ファーウェイ)、中興通訊(ZTE)、海能達通信(ハイテラ)、監視カメラ大手の杭州海康威視数字技術(ハイクビジョン)、浙江大華技術(ダーファ・テクノロジー)の中国企業5社から製品を調達するのを禁じる措置を発効させた。実施は2020年8月13日である。更に、この5社の製品を使う企業も米政府との取引は禁止され、そこには日本企業800社も含まれている。
 中国企業、日本企業共に、米政府とのビジネス額は少ないだろう。だからと言って、影響がないと考えるのは大間違いだ。
 まず、米国政府は同盟国に同様の措置を求めるだろう。そうなれば、日本政府とのビジネスが禁止される。更に、地方政府や政府の補助金を使ったプロジェクトからも締め出されるかもしれない。
 米政府は日本企業に1年間の猶予を与えた。ここで決断をしないと将来はなくなる。
 米政府に最も警戒されているソフトバンクでさえも、今回の米政府の措置には従う方針だ。

3.世界のインターネットは二分される

 実は、既に世界のインターネットは二分されている。中国とそれ以外の国だ。
 多くの国は、インターネット上でオープンである。互いに自由に情報交換することが可能だ。
 中国は、国境のようにインターネットの壁を築いている。国内から海外のサイトに自由にアクセスすることはできない。更に、アクセス制限だけでなく、情報の検閲も行っている。中共の意に沿わない情報は次々と削除され、場合によっては個人が特定され、逮捕されることもある。
 中共の情報統制の一部でGAFAが協力しているという噂もある。実際、西側諸国でも、中共に批判的なコンテンツが制限されたりする。
 中共は、この「インターネットの壁」をイランにも輸出しようとしている。一帯一路で連携した中国陣営諸国には、中国と同様のインターネットの壁が作られるに違いない。情報統制をしないと中共連合の統制が取れないからだ。

4.世界の市場も二分される

 インターネットだけでなく、オフラインのリアルな市場も二分されようとしている。
 米国は、中共の影響を受けている中国企業をサプライチェーンから外すことを目指している。そしてG11構想、経済繁栄ネットワーク(EPN)構想を打ち出している。
 その動きに呼応するかのように、英国のボリスジョンソン首相が「D10クラブ」構想を発表した。
 これらの構想は反中共の経済圏を作ろうという意味で共通している。各国の構成は微妙に異なるが、ほとんどが共通している。
 D10は、日本、米国、英国、フランス、ドイツ、イタリア、カナダのG7に、韓国、インド、オーストラリアを加えた民主主義10カ国である。この10カ国で「脱中国の5G整備」を進めようというものだ。
 G11は、G7に韓国、ロシア、インド、オーストラリアを加えた11カ国である。
 巨大な中国市場を切り離す代わりに、巨大な人口を持つインドを加え、ファーウェイ等の中国企業を切り離す代わりに、日本、韓国、米国等の企業が結集する。ここにイスラエル、台湾等が加われば、かなり強力なサプライチェーンと市場が誕生することになる。
 前述した米国防権限法に従うかどうかは、この民主主義陣営参入の踏み絵にもなるだろう。
 もし、そうなるならば早めに準備をして、新たな時代に積極的に対応した方が有利になるに違いない。今、日本企業の経営者は決断を迫られている。

*有料メルマガj-fashion journal(452)を紹介しています。本論文は、2020.7.27に配信されたものです。リアルタイムでの講読をご希望の方は、http://www.mag2.com/m/0001355612.htmlよりお申し込みください。  

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