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June 04, 2021

地球に優しいは、人間に優しいのか? j-fashion journal(420)

1.地球を傷つける仕事

 地球に優しい仕事を考える前に、地球を傷つける仕事について考えてみよう。
 大量生産大量販売、大量廃棄は資源を枯渇させ、環境を破壊する。必要な量を作り、消費する。最小限の資源で賄う。これなら地球に優しい。
 人の欲望を肥大させることも避けなければならない。欲望を肥大させるのではなく、欲望を鎮めること。自分の内面を磨き、成長させること。モノに価値を置くのではなく、心や精神に価値を置くこと。それが地球に優しい気持ちである。
 これまでの資本主義、市場主義的な思想は欲望を煽り、必要以上の資源を使い、環境を破壊し、格差を引き起こした。そもそも、そこに地球を傷つける原因がある。
 しかし、資本主義を否定し、社会主義的な政策にシフトすればいいのか、というとそれも疑問だ。社会主義国家を見ると、格差を解消するどころか、結果的に大多数の貧困とごく少数の特権階級が生れてしまう。そして、環境も破壊している。
 
 
2.地球に負担をかけない生活
 
 地球から直接資源を搾取せずに、人間が地球と共に育てたモノを消費すれば、地球環境も人の生活も持続可能になる。
 農業も必要以上の農薬や肥料は使わないこと。そもそも、農薬や化学肥料を大量に使うのは、経済効率を追求し、より多くの富を求めるからである。そう考えると、大型農業よりも、自給自足のような小規模な農業が重要なのではないか。
 動物性タンパク質の摂取も、生態系ピラミッドの上位の哺乳類だけではなく、下位の小魚や昆虫、プランクトン等を食べれば、環境負荷は減少する。また、木の実、きのこ、山菜など、自然に育つ食材も幅広く活用し、それらを美味しく調理する技術も求められる。
 住宅も必要以上に広い家ではなく、最低限の家と、菜園などにも使える庭を組み合わせた、自給自足生活を支援するような住宅が望ましい。
 また、居住地も大都市一極集中にすると、交通網の整備や大型施設が必要になり、大量のエネルギーを消費する。なるべく分散して居住し、地域単位のエネルギー自給を考える必要もあるだろう。
 資源を消費する製造業はなるべく規模を拡大しないことが地球に負担をかけない。
 むしろ、芸術、アートの分野が重要になる。経済的な満足ではなく、最低限の資源で付加価値の高い作品を創造することは、最も高貴な職業と認識されて然るべきだろう。

3.欲望が希薄で支配されやすい人間

 そもそも人間が「地球に優しい」という表現に矛盾がある。地球そのものは二酸化炭素が増えても、温暖化が進んでも困らない。人間という種が滅びても、それは地球の歴史からすれば、些細なことであり、一つの自然のリズムに過ぎない。
 困るのは、地球ではなくて、人間である。人間が地球を汚し過ぎて、人間そのものが危機に瀕していることが問題なのだ。したがって、「地球に優しい」というのは建前であり本音は「人間に優しい地球」を求めているのである。
 人間に優しい地球を維持するには、資本主義、効率主義を制限し、最終的には人間の欲望を抑制しなければならない。物質的な欲望が抑制されても、精神的豊かさを享受し、それに満足できればいいのだ。
 こうした世界をコントロールするには、支配者に欲がなく、自分の利益よりも地球全体を優先して考えなければならない。古代社会で、シャーマン的な人が支配者となったのも合理的なことだ。
 人に優しい地球という意味では、ある意味で古代社会が理想かもしれない。古代社会の中で人に優しくない奴隷制度をなくし、AI等を活用することて、ハイテクで豊かな古代社会を生み出すことはできないのだろうか。
 
4.温暖化か、寒冷化か?

 現在、国連を中心に世界各国で提唱されている「地球に優しい」というキーワードには、全ての経済活動を抑制する怖さがある。同時に、資本主義より社会主義が望ましいという結論にもつながりやすい。
 しかし、政治体制を変えても根本的問題は解決しない。利己主義や肥大した欲望を捨てること。人間の内面の問題を解決しないと理想の世界はやってこない。
 環境に優しい、地球に優しいというスローガンは、限りなく美しく、正義である。それだけに、一部の人々に利用され、世論を誘導されやすいとも言える。
 地球温暖化という言葉も使われなくなった。なもなら、本当に温暖化しているのか寒冷化しているのか分からないからだ。いつのまにか、気象変動リスクという言葉に置き換えられている。
 それなのに、「二酸化炭素の削減」という目標は生きている。気候変動も二酸化炭素よりも、太陽の黒点や宇宙線の量によって変動するという学説もある。しかし、太陽黒点や宇宙線は人間にコントロールできないので、ビジネスにならないのだ。「地球環境を考える」「二酸化炭素削減」というテーマは、新しいビジネスや市場のコンセプトである。
 そして、本当に地球を守るのは、我々個人の意識や価値観という内面的な要素である。そういう意味では、政治や経済の問題ではなく、宗教や哲学の問題かもしれない。

*有料メルマガj-fashion journal(420)を紹介しています。本論文は、2019.12.9に配信されたものです。リアルタイムでの講読をご希望の方は、http://www.mag2.com/m/0001355612.htmlよりお申し込みください。

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