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November 28, 2020

二つのファッション j-fashion journal(404)

1.オートクチュールとは何か?

 「オートクチュール」とは「高級注文服」であり、手縫いを基本にしたフランスの伝統工芸である。フランス革命で貴族階級がなくなり、貴族階級のお抱え仕立て師は街に出て、新しく生まれた富裕層である「ブルジョアジー」のための仕立て工房を開いた。それがオートクュールメゾンだ。
 元来、オートクチュールコレクションの華は夜の服(ソワレ)、イブニングドレスだった。昼の服もあるが、クチュリエが最も力を入れ、創造力と技術を駆使したのがソワレだ。
 オートクチュールが貴族のものだった頃、舞踏会やパーティーでは、最も目立つドレスを競い合った。目立つと言っても、単に派手なら良いというわけではない。知性や教養を感じさせる時代に合ったテーマであり、他のドレスと差別化する必要もあった。
 ここで重要なことは、ソワレが非日常の服であることだ。非日常であるからこそ、思い切ったクリエーションが可能だったのだろう。
 オートクチュールは、一人一人の顧客のボディや頭型を作り、それに合わせて服を作る。サイズ展開をして対応する既製服とは全く異なるコンセプトだ。その手法が継承されているのが舞台衣装の分野である。オペラの衣装、バレエの衣装、ミュージシャンの衣装等。これもまた、非日常の服である。
 
2.合理的な日常の服の隆盛

 日本では「きもの」がフォーマルドレスの役割を果たし、イブニングドレスは発展しなかった。
 男性の洋服は、軍服、背広のようなオンタイムの服から普及したが、女性の洋服は家庭洋裁による簡単服、カジュアルな服からスタートした。
 ファッション専門学校の前身は洋裁学校であり、初級では家庭洋裁を、上級では仮縫い付きのオーダーメイドの技術を教えた。
 70年代からアパレル産業が成長すると共に、ファッション専門学校はアパレル企業向けの人材育成機関へと転換していく。
 日本のアパレル企業は、アメリカの既製服産業のノウハウを導入し、パリコレクション等を元に、安価で大量生産可能な服を供給し、成長した。
 合理的な日常の服を追求していくと、トレンドよりもスタンダードな服によるコーディネート、ワードローブ設計が基本になる。
 トレンドは海外のコレクションから取り入れ、アパレル企業内デザイナーは創造性を求められることはない。
 一方で、ファッション専門学校やファッションコンテストでは、オートクチュール的なコンセプトや奇抜な服が評価される。現実のニーズとファッション専門学校の教育がミスマッチのまま、アパレル企業は不況業種となり新卒のデザイナーを採用しなくなった。そして、求人は販売員しかなくなってしまった。
 
3.ソーシャルファッションの可能性

 日本の非日常的なイベントを代表するのは「祭」である。祭で特別な衣装を身につけることは珍しくないが、それが毎年更新されることはない。多くは、伝統を守り、衣装が痛めば、同じものを継承している。
 リオのカーニバルの衣装も毎年作り替える。よさこい祭、よさこいソーランのチームも衣装を変えるが、どれも様式を踏襲し、毎年全く新しいコンセプトでコレクションを創造するわけではない。
 最近の非日常ファッションは、「コスプレ」かもしれない。ハロウィンの仮装パレードは、コスプレのパレードになりつつある。
 日本のファッション業界では、注目されないないが、海外でもコスプレは盛んであり、海外ではマンガ、アニメ、ゲームと同様に日本文化の代表と評価されている。
 祭、カーニバル等は、参加者の信仰や娯楽が目的だったが、結果的に観光資源となっている。これは、前述した舞台衣装にも共通している。
 日常の昼間が合理的な大量生産が主流になればなるほど、創造的な非日常の服が求められる。人はそれでバランスを取っているのだ。
 これまでの常識では、日常の服を作ることがアパレル産業を担うことであり、就職も可能で、安定した生活につながるものだと信じられていた。
 祭の衣装や舞台衣装は産業とは呼べず、就職もできない、趣味の世界だと思われていた。
 しかし、ここに観光という要素が加わってきた。特に、地方社会では観光は重要な産業である。服のデザインで観光資源を創造するという発想に立てば、そこに仕事が見えてくる。
 同様に、地域社会のアイデンティティを服で表現することかできれば、地域振興や町おこしにも貢献することになる。
 これは、「ファッションを通じた社会貢献活動」という新しい概念である。
 アパレル企業への就職という目的ではなく、ファッションを通じた社会貢献活動を目的とすることはできないだろうか。
 その目的を達成するためにはどんな教育カリキュラムを組み立てればいいのか。そこに新しい可能性があると思うのである。

*有料メルマガj-fashion journal(404)を紹介しています。本論文は、2019.8.19に配信されたものです。リアルタイムでの講読をご希望の方は、http://www.mag2.com/m/0001355612.htmlよりお申し込みください。

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