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November 28, 2020

日本のアパレル、テキスタイルへの提言 j-fashion journal(402)

1.アパレルを取り巻く環境変化

 インターネットもスマホもオンラインゲームもなかった時代、ファッション消費の優先順位は高かった。また、ファッションによる自己主張はカッコイイと評価された。しかし、最近は、頑張りすぎるファッションを「寒い」と感じる人も増えている。
 生活におけるファッションの優先順位が下がっている。ファッションに対する憧れも減っている。
 社会全体がカジュアル化し、ドレスアップするシーンが減っている。常にドレスダウンであり、安価なアパレル製品がことが足りる。
 アパレル生産の機能が、国内から海外に流出したことは、アパレル産業の空洞化を意味している。アパレル生産に携わってきた人材は職を失い、デザイナー、パターンナー、縫製工等の就職先も減っている。
 アパレル企業はアパレル卸からアパレル小売へと主役が交代した。ユニクロも無印良品も小売店であり、小売店が海外工場から直接商品調達している。
 国内生産が減少し、ミシンなどの縫製機器も国内需要よりも海外需要が増えた。、

2.テキスタイルを取り巻く環境変化

 かつて、繊維産地は産地内でサプライチェーンが完結していた。しかし、生産量が減少し、装置産業である染色工場が維持できなくなった。
 また、アパレルの海外生産と海外素材調達が進み、テキスタイルコンパーター(生地問屋)の淘汰が進んだ。付加価値の高い別注専門のコンバーターは淘汰され、比較的安価な生地を在庫販売するコンバーターが生き残った。しかし、これらのコンバーターが扱っている生地の国内生産比率も下がっている。中国から生機を輸入し、国内で染色加工するケースが多い。
 中国テキスタイルとの価格競争により、国内生産の生地の価格が下がり、利益が上がらない業態になった結果、事業承継をあきらめ、廃業する工場も増えている。
 その中で、一部のテキスタイルメーカーは、独自の高付加価値商品を海外ブランドに売り込んだり、国内のデザイナーアパレルと直接取り組むことで、量の拡大ではなく、質の向上と一定以上の売り上げを両立している。
 また、テキスタイルメーカーが最終製品であるストール等の製品を直接消費者に販売することで、付加価値の高いビジネスを展開し、成功している企業もある。
 染色工場のように規模を縮小すると成立しない業態の生き残りは厳しく、規模を縮小しても付加価値の高い商品を開発できる業態は生き残る確率が高いと言えよう。
 
3.アパレル企業への提言

 アパレル企業はある程度の規模を維持し、サプライチェーンをシステムで管理し、海外生産と海外販売を行うグローバルアパレル企業か、個性的なファッションを世界に発信し、インバウンド需要に応えるデザイナーズアパレル企業に二分されるのではないか。
 いずれのアパレル企業も、基本的にはオンリーワンのコンセプトと商品開発を行い、日本国内に旗艦店を持ち、固有のファンを獲得することが最低条件になる。
 現在のように、商社や企画会社から提案されるサンプルをセレクトするだけなら、商品の同質化と価格競争に陥り、利益を上げることが難しくなるだろう。
 ネットアパレルも単純に商品を仲介するだけならば、旧来の問屋と変わらない。最終的には海外企業の商品を扱って品揃えで差別化するか、PB商品を開発することが求められる。
 アパレルからライフスタイル企業に転換し、アパレルだけでなく、食や住などに分野を広げ、トータルに顧客を囲い込む戦略も有効だが、確固とした哲学やビジョンが生活者に支持されることが条件になる。衣食住の売れ筋を集めるだけでは、量販店と変わらない。ここでも、オンリーワンの品揃えが必須条件になる。
 どこにでもあるような商品は海外からいくらでも流入してくる。価格訴求だけに依存する企業は、海外企業に負けるだろう。

4.テキスタイル企業への提言

 テキスタイル企業が生き残る害一の方法は、真のテキスタイルメーカーになること。真のメーカーとは、た自社で企画し、シーズン毎にオリジナルのコレクションを発表すること。アパレルや商社の言う通りに作るだけのメーカーは真のメーカーとは言えない。単なる工場だ。
 第二の方法は、ストールやアパレル製品など、オリジナルのテキスタイルを使った最終製品を生産し、販売すること。
 第三の方法は、テキスタイルの専門家として、メーカーという業態にとらわれず、輸入や他社に発注して、オリジナルのテキスタイルコレクションを作り、販売すること。つまり、メーカー機能に加えて、コンバーター機能を持つことである。例えば、ウールの機屋の場合、綿や合繊の織物を生産するのは困難である。しかし、自分と感性の合う綿織物や合繊織物をプロデュースできれば、年間の商売が可能になる。これはメーカー機能を持っていればこそだ。
 第四の方法は、企画に特化し、自社生産した試織サンプルを中国等のテキスタイルメーカーに量産させて世界に販売すること。企画ライセンスビジネスと言ってもいいだろう。
 いずれの場合も、オンリーワンの企画開発が基本になる。世界を見渡しても、日本ほど開発力のある国は少ない。それを活かした生き残り策を考えるべきである。

*有料メルマガj-fashion journal(402)を紹介しています。本論文は、2019.8.5に配信されたものです。リアルタイムでの講読をご希望の方は、http://www.mag2.com/m/0001355612.htmlよりお申し込みください。

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