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August 27, 2020

アパレルソーイング講座を輸出したい j-fashion journal(401)

1.ファッション専門学校の存在意義

 現在のファッション専門学校は洋裁学校からスタートした。戦前の日本では女性の教育機関は学校の教員を養成する師範学校と、洋裁学校しかなかった。
 洋裁学校では家族の服を作る花嫁学校的な教育が主流だったが、一部では洋裁の教員を育成し、女性の自立を促す職業婦人教育の側面も持っていた。
 戦後は花嫁修行というより、既製服業界の人材育成という側面が強まった。
 1970年代から80年代には日本のアパレル業界が大きく成長し、世界のベスト10の中に5社を占めるほどだった。その業界の発展にファッション専門学校は大きく寄与したと言えるだろう。
 しかし、90年代のパブル崩壊以降は、中国生産が増え、激安ブームとなった。
 アパレル企業は中国工場から商品調達するようになり、商社傘下の企画会社に商品企画を丸投げした。アパレル企業は新卒のデザイナー、パターンナーの採用を辞め、ファッション専門学校のデザイナー養成コースを卒業しても販売員としての就職しかできない状況が続いた。
 日本国内の縫製、パターン、デザインの仕事が減少し、ファッション専門学校の存在意義が揺るいでいる。
 そんな状況でも、服が好きで、ファッションで起業したいという若者は存在する。そういう若者に我々は何を教えればいいのか。どのようなキャリアプランを提示すればいいのか。
 
2.ソーイングとパターメーキング検定

 先日、あるデザイナーの話を聞く機会があった。彼女は大学で法律を学んでいたが、服を作るのが好きで、趣味で作っていたが、ある時、祖母から「服を作るなら、きちんと勉強した方が良い」と言われ、「服って勉強するものなんだ」と思ったそうだ。それで色々と調べて「ファッション専門学校に入学したい」と言ったら、「大学を出てから専門学校に行くなら、服作りを職業にしないとね」と言われた。それでデザイナーブランドにパターンナーで就職し、その後独立してデザイナーになったとのこと。
 この話を聞いて、やはり「服作りを学びたい人」はいるんだなと思った。しかし、ファッション専門学校は授業料も高過ぎるし、職業には直接関係ない科目も多い。
 服作りだけを学ぶなら、eラーニングでソーイングとパターンメーキングを学べばいいのではないか。
 ファッション専門学校の卒業生が、最終的にサンプルソーイングとパターンメーキングで生計を立てることは少なくない。それこそ、手に職を付けるということだ。
 現在でもサンプルソーイングとパターンメーキングの仕事はある。海外生産でも、国内生産でも、この二つの職業は必要なのだ。
 それならば素直に、サンプルソーイング検定とサンプルソーイング講座を作れば良いのではないか。
 パターンメーキングも同様で、現在のパターンメーキング検定は、ファッション専門学校で教える内容を基に組み立てられており、外注パターンナーに必要なスキルを問うものではない。もっと現実的に、これに合格すれば、外注パターンナーとして食べていけるという水準にした方が良いのではないか。

3.検定と教育を輸出できないか?

 日本国内だけを見れば、これからアパレルソーイングやパターンメーキングを勉強しても、仕事は少ないかもしれない。
 しかし、デザイナーが自分の好きな服を作るために、最低限のソーイングやパターンメーキングを身につけるという意味ならば、そのニーズはなくならないだろう。
 パターンとサンプルができれば、それを海外の縫製工場で量産することもできる。
 発展途上国で最初に産業化するのは繊維産業であり、最終的にはアパレルに行き着く。テキスタイル産業しかない国でも、ソーイングとパターンメーキングができれば、アパレル産業が立ち上がる可能性は高い。
 中国にもファッションデザイナー養成の大学は多いが、そこではパターンメーキングやソーイングの技術を教えていない。これらは工場の仕事であり、付加価値が低い仕事だと思われているからだ。
 しかし、完成度の高いアパレル製品を作るには、パターンメーキングとソーイングの技術が欠かせない。これをeラーニングでできれば、産業振興の手段になるだろう。
 実は、中国もインドもASEAN諸国もパターンメーキングの完成度が低く、高付加価値の商品ができていない。国際的なニーズも大きいのだ。
 
4.実用に耐える教材を使った教育

 私がファッション専門学校に通っていた時、最も大きな不満が教材が、その時の市場とマッチしておらず、古くさいものだったことだ。古臭いデザインの服を作るために、生地を買わされ、制作させられる。これでは、作った時の喜びが少なくなってしまう。どうせなら、その時々のトレンドを活かした服のパターンや縫製を習いたいと思うのは当然だろう。そうすれば、そのパターンや作品そのものが仕事に活かせるのだ。
 パターンメーキングも、専門学校の2~3年では本当の意味で製品になるパターンは引けない。むしろ、ベテランが引いたパターン、すぐに製品化できるパターンを教材として使えるならば、その作品を販売することもできる。
 私は、ファッション専門学校の学費を自分の作品で賄えるのが理想だと思う。それには、教材だからという理由で完成度の低いデザインを使わずに、複数のデザインから自分の好きなデザインを選んで、そこから展開していった方が現実の仕事に近いのである。
 幸いなことに、こうした講座ならば指導できる人も少なくない。その人達に第二の人生と仕事を与えることかできるかもしれないのだ。

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