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August 27, 2020

Eラーニング×ファッション専門学校 j-fashion journal(398)

1.ファッション専門学校は必要か?

 ファッション専門学校の前身は花嫁修行を目的とする洋裁学校だった。戦後になり、職業教育としてのファッション専門学校になるが、教育の中身はオーダーメイドであり、既製服ではない。
 パリに本校を持つエスモードは、実際の職業区分に合わせて、スティリズムとモデリズムに二分しているが、多くの日本のファッション専門学校は両者を分けていない。デザイン、パターン、縫製の全てができるのが理想と考えており、そのデザイナー像はクチュリエそのものである。
 一応は、工業用ボディによるパターンメーキング、接着芯を使った早縫いのジャケット、工程分析、工業用ミシンでのライン縫製等を行っているが、主流ではない。
 サイズ展開とカバー率の問題等は、ファッション専門学校では出てこない。同様に、テキスタイル取引の実務、展示会等での受発注業務、物流システムと物流業務等は手つかずである。
 それでも、1980年代までは新卒の学生のデザイナー、パターンナーで採用していたが、その後は新卒の採用を取りやめるアパレル企業が増え、現在ではファッションデザインやパターンメーキングを学んだ学生も販売員として就職していく。しかし、肝心の販売員教育は十分ではないのだ。
 現在のファッション専門学校は、現実のビジネスは乖離してしまった。日本の産業構造、流通構造が変わり、消費者のファッション意識も変わったのにも関わらず、学校だけが変わっていない。
 現在のままでは、ファッション専門学校に社会的存在意義があるとは思えない。今こそ、根本的な革新が必要だろう。
 
2.Eラーニングによる新入社員教育

 問題は専門学校だけではない。大学も同様だ。しかし、大学は学位を取るという目的がある。講義が社会生活に直接役に立たなくても許されるのだ。
 それでも時代は進化している。企業は大学を卒業した新入社員に社員教育を行わなければならない。その手段として、Eラーニングが注目されている。いつでもどこでも勉強ができて、一度教材を作成すれば、何度でも使える。テストも自動的に採点されるし、アンケートによって学習効果を測定することもできる。
 本来ならば、これらの教育は大学で行うべきである。一部の大学では、Eラーニングを導入し、即戦力となる人材育成に取り組んでいる。
 具体的な内容としては、コンピュータの基礎知識、Office入門、ビジネスマナー、ビジネス文書、個人情報保護、情報セキュリティ、コンプライアンス、働き方改革、タイムマネジメント、ロジカルシンキング、会議運営とファシリテーション等々である。これらは大学でも専門学校でも必要だ。
 また、デザイン業務を行うならば、Adobeのイラストレーター、フォトショップ等の習得は不可避だが、これも教えていない専門学校が多い。
 結論からいうと、多くの学校はデジタル革命から逃げている。そして、即戦力となる人材を育てていない。 
 
3.ユーチューバーとインフルエンサー

 学研ホールディングスが行った2018年の「小学生の将来つきたい職業ランキング」調査によると、「ユーチューバーなどのネット配信者」は男女の第三位に入っている。
 「ユーチューバー」とは、ユーチューブ(YouTube)にさまざまな動画をアップロードし、その広告収入によって生活している人を指す。ユーチューブの「パートナープログラム」に参加して動画を投稿すると、視聴数に応じた「広告費」が手元に入る。オリジナルの動画を撮影・編集し、多くの視聴者を集めれば収益を上げることができる。
 実際に、ユーチューブからの収入だけで生計を立てることは難しいが、企業のプロモーションでも動画を使うことが増えており、動画の企画立案、撮影、編集、アップロードに関する知識や技術は仕事に役立つ。
 ユーチューバーは、とにかく視聴率第一主義というイメージだが、「インフルエンサー」は、クオリティを重視しないと、世間に与える影響力が大きくならない。そのためには、専門的な知識やセンスが求められる。
 ファッション雑誌が衰退していく中で、個人メディアとも言えるインフルエンサーの重要性は増している。
 中国では、「網紅(ワンホン)」と呼ばれるインフルエンサーが展示会やイベントで活躍している。企業が網紅にお金を出し、宣伝してもらうのだ。
 ファッション専門学校がファッションのインフルエンサーを養成することは有意義だろう。
 
4.デジタル活用したビジネスを

 現在、既にアパレル企業にデザイナーやパターンナーとして就職することは困難だ。新卒を採用する企業は少ないのだ。
 個人が独立して、アパレル製品を作ることもハードルが高い。一人ではできないし、資本も必要だ。
 最近では、アクセサリーや雑貨、小物、人形、ぬいぐるみなどを個人で作って、ネットで販売する人が増えている。人気作家になれば、瞬間的に売り切れることもある。
 しかし、手作りで売れても、生産量は限定される。売り上げを増やそうと思えば、工場に発注するしかないが、就職した経験がない人にとって、どのように原材料を仕入れて、どのように工場に発注すればいいかが分からない。
 それを学校で教えることはニーズが高いだろう。
 継続的にビジネスを行うのならば、リメイクから始める方法もある。中国のアリエクスプレス等で商品を購入し、それをリメイクしてメルカリで販売する。
 メルカリを活用すれば、学生であっても、商品を販売することができる。授業で制作した商品を実際に販売してみる。それが成功したら、個人のサイトを作り、情報発信をしながら、顧客を組織化していく。卒業するまでに一定以上のファンが獲得できれば、そのまま自立することもできるかもしれない。
 就職先がない職業教育をするよりも、実際に自立できる方法を想定した教育が必要だろう。

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