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November 15, 2019

スマホで完結するアパレル j-fashion journal(323)

1.スマホでアパレルを購入

 携帯電話でアパレル製品が売れるはずがない。生地の風合いも分からないし、試着することもできない。アパレル業界の多くの人はそう言った。しかし現実には、携帯電話でもアパレル製品は売れた。もちろん、画像が見られるスマホでは何の問題もない。
 素材の風合いを確認できないと売れない。試着しないと売れないというのは、店頭販売の常識だった。逆にいえば、店頭で確認できる要素はそれくらいしかなかった。しかし、ネット販売にはネット販売の常識がある。商品検索、商品説明、価格比較、カスタマーレビューなどだ。
 ネット販売に慣れた人なら、「レビューも確認できないで売れるはずがない」というだろう。店頭でしか確認できない要素と、ネットでしか確認できない要素がある。どちらの要素が重要かは、顧客が決めることだ。供給者が決めることではない。
 商品企画のポイントも変わってくる。店頭販売ではビジュアルが重要だ。店頭で詳細な商品説明をすることはできない。必然的に感性に訴求することになる。ネット上であれば、商品のコンセプトストーリー、詳細な商品解説が可能である。検索から商品を選ぶまでの流れは店頭以上にロジカルである。そうなると、商品企画もロジカルに組み立てなければならない。 
 
 
2.自撮り写真をアップ

 新しい服を購入する。それを着ている自分を想像する。どこに行こうか。誰と出掛けようか。友達は、自分の服を褒めてくれるだろうか。そんなことを考えるのが楽しい。SNSが普及し、楽しみも変わった。新しい服を買ったら、自撮りしてSNSに上げる。いくつ「いいね」がつくか。どれだけフォローされるか。そんな楽しみ方が増えている。一度SNSに上げたら、すぐにメルカリが売却するという人もいるらしい。
 こうなると、服におけるビジュアルな要素が重要になる。テキスタイルの質感や風合いよりも、スマホで撮影して映えることを優先する。ある意味、舞台衣装に近いのかもしれない。たとえば、テキスタイルを企画する場合でも、スマホで撮影して確認する必要があるかもしれない。ストロボをつけると魅力的な画像になるテキスタイルは開発できないだろうか。だまし絵のようなプリントも面白い。スマホで自撮りすることを前提にしたテキスタイル、スマホで自撮りすることを前提にしたデザイン、パターンも考えられるだろう。
 特定の姿勢で着用すると面白い形になる服。クリスマスの電飾を飾ることを想定した服。撮影時にだけ特定のパッドや芯を着脱できる工夫なども考えられるだろう。
 
3.一度着用した服は売却

 服を着る楽しみがリアルな世界からバーチャルな世界に移っている。バーチャルな世界は自由だ。他の人から好奇の目で見られることもないし、非難されることもない。そんな世界に参加し、その反応を楽しむことに夢中なのだ。もし、今後バーチャルな世界と同様、リアルな世界でも自由なファッションが楽しめるようになれば、状況は動くだろう。
 ハロウィンの時には、仮装することは認められる。服装を起点にしたイベントがもっと増えると楽しいと思う。
 自撮りしたら、すぐにメルカリで売却するというのなら、服を購入する必要もないかもしれない。レンタルで良い。舞台衣装のようなドラマティックなドレスであれば、着用する場面も限られる。CMに使われるような衣装を一般の生活者が着用する時代なのかもしれない。レンタルを繰り返すたびに、リフォームを重ねていくという服はどうだろうか。一回貸し出すごとに、洗濯し、何かしら手を加える。そうすることで、誰かがSNSに上げても、被ることはないという考え方だ。
 こうした購買行動が一般化すると、新しい商品よりも、継続できる商品、サスティナブルな商品の方が評価されるようになるかもしれない。
 
4.ビジュアルクオリティという概念
 
 リアルな世界において、服のクオリティは、テキスタイル、縫製仕様等に依存する。着心地、耐久性、触感などだ。SNSの中のアパレルは、視覚のみに依存する。その意味では、デザインがより重要であり、テキスタイルや縫製の要素は少ない。
 つまり、品質の内容が変わるということだ。これまでの「メイドインジャパン」が得意としていたのは、原材料と加工だった。しかし、視覚重視の時代になると、日本の優位性は失われるかもしれない。むしろ、視覚的なデザインは韓国の方が優位に立つかもしれない。
 日本のテキスタイル、アパレルを見ていると、カラーが苦手なのがわかる。テキスタイルメーカーは、糸、組織、密度等には関心が高いが、「色は指定してくれればその通りに染めます」という感じだ。ニットや縫製の分野でも、カラーは除外されている。カラーは「好きな色を選べばいい」と考えている。
 欧州のトレンドの中心はカラーだ。カラートレンドがヤーントレンドにリンクし、ヤーンがテキスタイルに、そしてアパレルへと伝播していく。
 今後は、日本もカラークオリティが求められるのではないか。日本ではカラーの品質といえば、染色堅牢度や洗濯試験を指すが、私が言いたいのはカラーそのものの品質である。ビジュアルクオリティという概念が求められると思う。

*有料メルマガj-fashion journal(323)を紹介しています。本論文は、2018.1.29に配信されたものです。リアルタイムでの講読をご希望の方は、http://www.mag2.com/m/0001355612.htmlよりお申し込みください。  

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