My Photo

お知らせ

無料ブログはココログ

« 好きなことを仕事にすることのメリットとデメリット j-fashion journal(383) | Main | 西日暮里でニット講座を j-fashion journal(385) »

November 21, 2019

日暮里繊維街でテキスタイル講座を j-fashion journal(384)

1.ハンガーサンプル、スワッチ見本を読む
 

 アパレルが生地問屋から生地を仕入れる場合、展示会等でハンガーサンプルを見て、生地を選ぶことが多い。
 ハンガーサンプルとは、生地を幅いっぱいに1メートルカットし、紙製のハンガーヘッドを付けたもの。
 生地から洋服を発想する時には、1メートル程度あれば、ワンピース、ジャケット、スカートなどの製品を想像しやすい。あまり小さい生地では服にしたときの姿を想像できないからだ。
 ハンガーサンプルから候補となる生地をセレクトし、スワッチサンプルを請求することから始まる。スワッチサンプルとは、A4サイズの台紙に生地をカットしてピンか、ホチキスで留め、必要なデータを記入したもの。この大きさは、指で風合いを感じる最低限の大きさである。つまり、A4程度の大きさがあれば、生地の風合いを理解できるということだ。それより小さなサンプルは、色を見ることはできるが、生地の風合いは分からない。
 スワッチサンプルに記載してある情報は以下の通り。「規格」は生地幅と生地の長さ。生地幅は国際的な基本がダブル幅で、148~150センチ幅である。織機は基本的にインチで表現するので、58インチ「ゴッパチ」と呼ぶこともある。
 日本国内では、広幅と呼ばれる112センチ幅も多い。44インチ、「ヨンヨン」と呼ばれる。
 最近はほとんど見られないが、一部の裏地などで92センチ幅、36インチ「サブロク」もある。
 生地長は、ほとんどが50メートル。50メートル乱とつくと、「大体50メートルだが反物によってバラツキがあります」という意味になる。
 次に混用率、混率が表記されている。生地の混用率は原料の重量比で表記されるが、スワッチ見本には、経(タテイト)に2/60(ロクマル双糸)、緯(ヨコイト)に1/48(ヨンパチ単糸)のように、経と緯で分けて表記することもあるし、合繊も糸の製品名で記載することが多い。
 記載されている場合もあるし、自分で確認しなければならないのが、納期と価格である。
 納期は、着分納期と原反(現反)納期がある。
 価格は、直接買いつける場合、商社経由の場合等によって価格が異なるので、「どんなルートでいくらか」を確認する必要がある。
 海外では生地の厚みを表現するのに、重量を表記する。糸番手はイレギュラーな太さも多いので表記されないことが多い。日本はJIS規格と番手による原料の相場感があるので、糸番手の表記を重視し、重量は省略することが多い。
 重量は1ヤード(91.4センチ四方)の場合と1メートル四方の場合があるので注意が必要だ。
 
2.生地を読む
 
 スワッチ見本からデータを読み取ることも可能だが、混用率や詳しいデータがない見本もある。
 素材が分からない場合には、外見と燃焼試験等によって類推するしかない。糸を抜いて、ライターで燃焼させると、綿や麻は炎を上げて燃えるが、ウールは独特の臭いがして黒く固まる。ポリエステルやナイロン等の石油原料の合繊は燃える前に溶ける。
 生地を観察する場合、表裏とタテヨコの向きを確認しなければならない。組織的には表裏が同じでも、整理の段階で表はきれいに仕上げられているので、間違えないように注意する。
 生地を観察する場合には、テキスタイル用ルーペを使う。生地の組織と糸密度を数えることができる。
 テキスタイルの糸密度は、通常1インチ(2.54センチ)に何本の糸があるかを数える。経(タテイト)と緯(ヨコイト)で糸の太さや密度が異なる場合があるので、タテとヨコを間違いないように観察し、記録する。
 
3.生地の名称について

 生地の名称は、古典的な素材の名称が基本になり、原材料の名称×組織の名称×加工の名称×イメージ×キャッチーなコピー等により決定される。テキスタイルのパリエーションはあまりにも多岐に渡るため、全ての差別化要素を名称で表現することには無理がある。
 綿の平織では、キャンバス(元は麻の太い糸で厚く丈夫に居られた布)、帆布(和船の帆に使われた綿の厚手の平織)、ブロードクロス(布地に繊細な横畝を表した平織の綿織物、緯が少し太い場合も)、ポプリン(元来は絹と毛の交織の効果な織物。細い横畝のある手触りの良い綿の平織。綿ポプリンが正式名称)、ローン(元はフランスのローン地方のリネン。薄地平織の高級綿布。60~100番手の細糸を使用)、キャラコ(正しくはキャリコ。薄地平織綿織物で、強く糊付けしツヤを出したもの)、ネル(フランネルの略。正式には綿フランネル。平織、綾織で表面を起毛したもの)など。
 綿の綾織(ツイル、トゥイル)では、チノクロス(チーノーはアメリカの軍用に使われる丈夫な綾織綿布。チーノーズはチノクロスで作ったパンツ)、デニム(経に染め糸、緯に白糸を使った綾織の綿織物、デニム製品の代表的なものがジーンズ)など。
 一つ一つ書き出してもきりがないので、この辺にしておきたい。

4.生地の風合いについて

 生地で重要なのは風合いである。布の風合いを見る時、利き手の親指、人指し指、中指で、生地をつかみ、曲げ、表面を撫で、生地の厚み、固さや柔らかさ、弾力、表面の感触等を感じ取る。それらの性能全てを「風合い」という。視覚だけでなく、重さや触感が加わった複合的な評価基準である。
 風合いを表現する言葉をいくつか提示しておきたい。
 基本は、ソフトとハード。ソフトな風合いとは、シルクのように繊維そのものが柔らかく、曲がりやすいこと。あるいは、薄く軽いこと。表面がピーチスキンのように繊細な起毛がしてあり、手触りが柔らかいことなどが複合して感じる。
 ハードな風合いとは、麻のように繊維そのものが固いことや曲がりにくいこと。表面が緻密なこと。あるいは、ツイードのようにチクチクした手触りのものなどが複合的に表現される風合いである。
 ハリ(感)とオチ(感)は、服のシルエットに直結した表現である。ハリは服にした時に張りが強く、タイトで立体的なシルエットが出やすい。オチとはドレープ性であり、身体に布をかけるだけで、引力できれいなドレープが出るような素材である。
 粗野なという意味の「ラスティック」という言葉も使われる。固く、手に刺す感じがあり、粗く織られたというイメージだ。
 ツイーディーは、ツイードのようなという意味であり、表面が粗く、糸が固い感触を指す。
 「コンパクト」という表現も使われる。高密議で表面が緻密なもの。凹凸がある場合も、細かく緻密な凹凸であり、視覚的には平面に見える。

5.生地の後加工について

 生地の付加価値を高めるために、後加工を施すことがある。代表的な後加工がプリント(捺染)と刺繍、キルティングである。
 アナログなプリントは、ロールプリント、スクリーンプリント、手描きプリント等がある。ロールプリントは金属のロールの表面を彫刻し、くぼみに染料は入り、それを布に写し取る。切れ目のない連続模様が可能である。生産ロットは大きく、大量生産に適している。
 スクリーンプリントは、木版画のように一色ずつスクリーンで色を重ねていく。木枠に紗を張り、白く残す部分にフィルムを焼き付け、空いている部分に糊で溶いた染料をスキージでこすりつける。Tシャツのプリントも多くはスクリーンプリントである。
 染料で染める染料プリントと、顔料で染める顔料プリントがある。染料プリントは柔らかく、生地の風合いを活かした加工だが、染料を定着させるための前処理や、布を水蒸気で蒸す後処理が必要である。
 顔料プリントはバインダーで顔料を定着させるので、どうしても生地が固くなる。
 最近は、製版を行わず、フルカラー表現が可能なデジタルプリントが進化している。
 デジタルプリントには、前処理した布に直接染料や顔料を吹きつけるインクジェットプリントと、一度、転写紙にインクジェットで柄を吹きつけ、転写紙と布を重ねてプレスすることで、染料が気化して布に定着する昇華転写がある。昇華転写は堅牢度も高いが、基本的にはポリエステルに限定される。
 インクジェットは天然素材でも可能だが、スクリーンプリント同様、前処理と定着させるための蒸し工程が必要になる。
 刺繍には、反物に刺繍をする場合と所定の場所に部分的に刺繍をする場合がある。現在はほとんどが多頭式のコンピュータ刺繍機を使用している。
 反物に刺繍する時に、表布、中綿、不織布等を重ねるとキルティング刺繍になる。元々、キルティングの機械はカムによって幾何学的な連続模様で縫うもので、柄を変えるにはカムを変えなければならない。主に大量生産の寝具、インテリア等に使われている。
 コンピュータ刺繍機を使えば、そうした手間は必要ないので、衣料分野ではコンピュータ刺繍機を使うことが多い。

*有料メルマガj-fashion journal(384)を紹介しています。本論文は、2019.4.1に配信されたものです。リアルタイムでの講読をご希望の方は、http://www.mag2.com/m/0001355612.htmlよりお申し込みください。  

« 好きなことを仕事にすることのメリットとデメリット j-fashion journal(383) | Main | 西日暮里でニット講座を j-fashion journal(385) »

Comments

Post a comment

Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.

(Not displayed with comment.)

« 好きなことを仕事にすることのメリットとデメリット j-fashion journal(383) | Main | 西日暮里でニット講座を j-fashion journal(385) »