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July 23, 2019

フリーランスの定年 j-fashion journal(293)

1.ファッション業界の変化と私の仕事

 フリーランスに定年はないが、周囲には定年がある。人間関係も定年で切れる。そもそも、フリーランスで仕事を取るには、年上の人とのコミュニケーションが欠かせない。今でこそ、自分が定年の年齢だが、30代からフリーランスでやってきた私は、当時の40代、50代に引き立てられて、仕事になったものだ。
 フリーになって最初の仕事は、三越商品本部婦人用品部のコーディネーターだった。これも、当時の三越の部長が引っ張ってくれたお蔭である。ここでは、本店リニューアルというビッグイベントに立ち会った。しかし、その部長が出向すると契約は打ち切られた。
 続いて、東武百貨店の増床リニューアルに関するコーディネーターとして契約。92年のリニューアルオープン後は顧問契約をするという約束だったが、それもうやむやで終わった。
 後から考えると、この時が百貨店業界のピークだった。そこからバブル崩壊後の長い低迷が続いた。
 私は、その頃から、アパレルからテキスタイル業界、繊維産地に軸足を移した。桐生、尾州、浜松、泉州、播州など、全国の産地を行脚し、ジャパンクリエーション設立に参画した。
 2001年、タオル工連が繊維セーフガード発動を要請した。中国からの繊維製品輸入が激増したためだ。私はこの時が日本テキスタイル産業の転換点であり、ジャパンクリエーションの転換点だったと思う。
 2005年、48歳の時に、私はジャパンクリエーションから去り、JFW推進機構がスタートした。JFW体制への移行において、私の役割は終了した。後から考えれば、この時が日本のテキスタイル産業の転換点だった。それから、ジャパンクリエーションの来場者は減少を続けた。
 私はテキスタイル分野の仕事を失い、新たな道を模索した。そして、中国に着目した。既に、生産基地としての中国は確立しており、中国市場進出が次の課題になると考えたからだ。
 2005年から東レ経営研究所の客員研究員となり、中国繊維ファッションビジネス研究会を主宰した。「中国のことは、中国人に聞こう」を合い言葉に中国人社長を招いて講演したり、中国のファッション業界団体やアパレル企業を取材し、交流を深めた。
 2010年、53歳の時に、東レ経営研究所の担当者が替わり、いきなり報酬の減額を迫られ、契約打ち切りとなった。その担当者は自分で中国ビジネス研究会の主宰をしようとしたが、それに失敗し、研究会も姿を消した。
 同時に、私は中国企業相手のビジネスの難しさも実感していた。話は山ほどあっても具体的な契約はまとまらない。中国進出した日本企業は、当初は中国を下に見て、参入は容易と考えていたが、成功した事例は少なかった。
 私は中国に対して、積極的にアプローチするのを止めた。再び日本国内に目を向け、自分より若い中小企業経営者へのアプローチを始めた。
 皮肉なもので、大企業との付き合いを止めようと思っていたら、イオンの話が飛び込んできた。また、中国は成り行き任せにしようと思っていたら、知人から中国企業のコンサルグループへの参加を頼まれた。
 そんなこんなで2017年60歳の現在を迎えている。幸いなことに、アパレル産業がピークの時にアパレル企業に所属し、百貨店がピークの時に百貨店と契約し、テキスタイルがピークの時にテキスタイル業界で仕事をしてきた。そういう意味では、時代の変化を捉えていたとも言えるし、時代の変化に追いかけられていたとも言える。
  
2.フリーランスの定年はあるか?
 
 私は一つの仕事に固執せず、常に変化を求めていた。安定を犠牲にして、可能性に賭けていたとも言える。そのため、常に経済的に不安定だった。
 その結果、2007年、50歳の時に事務所を引き払い、自宅を拠点に仕事を続けている。
 フリーランスの友人達は、私よりも専門分野に特化し、確固とした地位を築いてきた。事務所も構え、従業員も抱え、経済的に安定しているように見えた。しかし、最近の1~2年で彼らの状況も変わってきた。仕事が減少しているのだ。
 原因の一つは、長引くアパレル業界の不況のためだ。しかし、若い世代のコンサルタントには仕事が回っている。企業の世代交代と共にコンサルタントも世代交代しているのだ。友人の一人は、「私は年上の人に評価されて仕事をもらってきたけど、その人達が定年でいなくなった。だから、仕事が来ないのも当然」と言っていた。
 確かに、自分がサラリーマンなら、自分より若い世代の外部人材を登用しただろう。有能な外部の人材は、自分の実績に貢献してくれる。
 自分より年長の人を登用するのは難しい。年長者への指図や相談も遠慮してしまう。また、自分の上司と親しい関係かもしれないし、情報が上司に漏れるかもしれない。自分より若い世代なら、話しやすいし、上司と通じている可能性も低い。
 フリーランスに定年はない。仕事は自分で決めているし、生涯現役を続けることもできる。しかし、仕事を出すのは、定年制度のある企業であり、人間関係も定年で切れてしまう。フリーランスでも定年の影響は大きいのである。
 
3.年長者のメリットを活かせる分野

 どんなに頑張っても若返ることはできない。年齢のサバを読んでも効果はない。
 今後のビジネスの相手は自分より年下の経営者である。その条件の元で仕事を続けなければならない。それなら、年長者が有利な分野を考えればいい。
 第一に、年長者が有利なのは「先生」という立場だ。経営者の先生。ファッションビジネスの先生。コンサルタントではなく、先生役として若い経営者を教えるという立場に立つ。報酬は減少するが、数を稼ぐことができるかもしれない。
 中国において、私は常にこの立場を意識している。「中国のファッション業界の歴史より、私のファッション業界の歴史の方が長い。したがって、みなさんは私の教え子のようなものだ。何でも質問しなさい」という姿勢で対応している。先生になるには、書籍を書くことが効果的だ。「こんな本を書いている先生です」と紹介されるからだ。
 第二は、クライアントの専門分野以外のコンサルタントになること。アパレル企業の経営者は、アパレルのことは知っている。しかし、テキスタイルのことは知らない。あるいは、中国市場のことは知らない。
 しかし、実際に仕事をすると、テキスタイルのことだけ知っていてもコンサルタントにはなれない。アパレルの実態を理解していないと、どのようにテキスタイルを考えたらいいのかも分からない。これは、中国市場についても同様である。
 第三は、M&Aコンサルタントになること。最近、中国企業、IT系企業、ファンドによるアパレル企業のM&Aが増えている。
 私なら、繊維業界、アパレル業界、ファッション業界専門のM&Aコンサルタントを目指すべきだろう。M&Aという分野は、既存のビジネスとは異なる分野であり、年齢云々は関係ない。しかし、これは買収したい、資本参加したいという企業あっての話だ。 
 第四は、シニア市場の専門家になること。シニア市場は巨大といわれながら、活性化できていない、
 原因のひとつは、企業内の人材は30~40代中心であり、その年代の人にとって、60代、70代の人ライフスタイルが実感できないことだ。
 シニア市場の専門家と言っても、あくまで消費者、生活者の立場が中心になる。プラスαで、「実は、ものづくりの専門家です」「マーケティングの専門家です」といった方がいいだろう。
 五番目は、海外企業との仕事である。海外企業にとって、年齢はあまり関係ない。年長者であろうと、自社の役に立てばいいのだ。

4.定年は、サラリーマンもフリーランスになる

 「先生」「異分野の専門家」「M&A」「シニア生活の専門家」「海外企業のコンサルタント」という分野は、定年後のサラリーマンにとっても、目指すべき方向だろう。
 しかし、以下のようなトレーニングが必要である。
 原稿を書くこと。講演で話すこと。自身の専門分野以外の関連分野を勉強すること。M&Aに関するノウハウを獲得すること。自身の生活を分析し、意見を述べること。海外企業と交流すること。海外市場、海外企業について学ぶこと。
 逆にいうと、「リタイアしたサラリーマンは、それまで身につけたノウハウや知識だけでビジネスができない」ということである。
 フリーランスは部下がいないので、何でも自分で仕事を完結しなければならない。
 最近のテクノロジーを使えば、オフィスがなくても仕事はできる。部下がいなくても仕事ができる。時間管理、金銭管理は自身で行う。
 但し、それらを実践するには、インターネット、スマホやタブレットを十分に使うことが必要だ。それができないのならは、そこから勉強すべきである。
 皮肉だが、最先端のICT企業の業務スタイルこそ、定年後に目指すべきスタイルである。

*有料メルマガj-fashion journal(293)を紹介しています。本論文は、2017.7.3に配信されたものです。リアルタイムでの講読をご希望の方は、http://www.mag2.com/m/0001355612.htmlよりお申し込みください。

 

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