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January 07, 2019

アパレルの変遷と今後の方向性 j-fashion journal(283)

1.単品売場と単品アパレル

 生産する側からすると、単一アイテムに絞って生産したい。パンツ工場は、パンツに特化したミシンや設備を導入するので、パンツだけを縫製したい。ブラウスもジャケットも同様である。
 アパレル企業も単品に特化した方が楽だ。生地もアイテムによって異なる。パンツに絞れば、パンツに適した生地だけを仕入れればいいし、生地が絞れれば、産地や機屋を絞ることも可能だからだ。勿論、ボタンやファスナーなども、アイテムを絞った方が無駄がない。
 モノ不足の時代は、生産者志向だった。とにかく、商品を調達して、消費者に提供することが小売業の使命だった。仕入れやすい売場は、単品売場である。アパレルも単品別なので、パンツ売場の仕入れ担当者は、パンツアパレルだけ回ればいいのだ。
 単品別売場の時代、アイテムによって定番カラーが決まっていた。ブラウスは薄い色、アウターやボトムは濃色、セーターは比較的明るい色。それぞれを組み合わせれば、何となくさまになるが、個性的なコーディネートは難しいという時代だ。
 

2.単品からトータルコーディネートへ

 メーカー志向で考えると、単品売場になる。顧客志向で考えると、コーディネート可能なトータルアイテムのショップになる。
 この変化には、二つの流れがあった。
 一つは、百貨店アパレルによるライセンスブランドの集積「ミッシーカジュアル売場」だ。しかし、こちらは、単品コーディネートにはならず、合繊主体のスーツ売場になっていった。トップスとポトムスが共通の生地で作られたところが画期的であり、単品売場主体の百貨店の中では人気売場として定着した。
 二つの流れは、DCブランドである。Dのデザイナーズブランドは、ブティックを持ち、ファッションショーを行うのが条件だった。ファッションショーを行うには、トータルアイテムが必要だった。また、ブティックに来れば、そのブランドだけで全身がコーディネートできることが特徴だった。
 Cのキャラクターブランドは、元々原宿、千駄ヶ谷の単品のマンションメーカーだった。トータルアイテム展開に転換し、直営店モデルを採用することで、新しいタイプのアパレルになったのだ。
 この段階で、多くの単品アパレルは淘汰された。また、百貨店アパレルも単品主体からトータルアイテム展開に転換した。
 
3.大型店舗とファミリー対応
 
 ファッションが個性化するにつれ、平場からショップへと売場の形態が変化した。同時に、アパレル企業は、製造卸しから、SPAという製造小売業へと転換した。
 百貨店アパレルは、百貨店の売場シェアを取り合った。そのため、多ブランド戦略を採用した。多くのブランドを持つことで、多くの売場を押さえられた。
 SPAは全国の百貨店、駅ビル、ファッションビル、SCモールに出店した。直営店主体の業態になると、店舗の大型化、ファミリー対応によるワンストップショッピングへの対応が迫られた。
 しかし、多くの日本のアパレル企業はこの変化に対応していない。百貨店アパレルは百貨店の売場面積に基づく商品構成であり、百貨店のフロア構成に応じたブランド展開を行っていたのだ。そのため、統一ブランドで紳士、婦人、子供、雑貨等をトータルで展開することができなかった。
 デフレスパイラルにより、アパレル製品の低価格化が進み、単価の下落を数量で補うことはできなかった。そして、赤字店舗が増え、店舗を増やすことが成長につながらなくなっていった。
 一方で、ネット販売が成長を続けている。アパレル企業は、店舗を閉鎖し、不採算ブランドをスクラップし、ネット販売を強化すると言っている。しかし、店舗の売上低迷はネット販売に負けたからではなく、大型ショップとファミリー対応に対応できなかったこと。直接中国などの縫製工場と取引できなかったこと。既存の小売流通に遠慮して、ネット参入が遅れたことによる。
 
4.ネット販売中心の時代へ

 アパレル企業がネット販売強化と言っても、商品開発や生産管理の商社依存により、商品力と価格競争力が低下している。
 例えば、ベンチャー企業なら、百貨店アパレルが商社から調達している商品を百貨店の半額でネット販売することも可能である。
 現在、メイドインジャパンがブームだが、原価率50%で販売できるなら、国産商品のみの展開もできる。これもベンチャーなら可能だが、百貨店アパレルにはできない。既存のビジネスを妨害することになるからだ。
 また、メーカーが直接ネット販売することも考えられる。その場合は必然的にアイテム別の単品展開になるだろう。冒頭に述べたように、生産する側から言えば、単品が合理的なのだ。
 更に、オーダーメイドに特化したネット販売の可能性もある。
 このように、戦後のアパレルの歴史は一巡しようとしている。決して、後戻りすることはないし、新しい時代には新しいプレイヤーが主役になる。決して、アパレル全体が不況というわけではない。既得権を持つ企業が不調なのだ。今後は世代交代、ベンチャー企業の参入により、市場が活性化されるだろう。

*有料メルマガj-fashion journal(283)を紹介しています。本論文は、2017.4.24に配信されたものです。リアルタイムでの講読をご希望の方は、http://www.mag2.com/m/0001355612.htmlよりお申し込みください。

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