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January 22, 2018

オーダーメイドを基本としたWEBベースのコレクション j-fashion journal(278)

1.ビジネスモデルとコレクション

 オートクチュールのコレクションは、イブニングドレス主体で、モデルが作品の番号札を持って、静かに歩いていた。顧客が観客となり、ドレスを注文するというスタイルだ。
 一人一人の顧客がドレスを注文するので、コレクション全体のまとまりより、幅広いバリエーションを提示することが求められた。
 本当に既製服時代らしいコレクションは、高田賢三のデビューコレクションから始まった。高田賢三は、背が高く、ウォーキングの訓練を受けたマヌカンではなく、背が低くウォーキングもできない雑誌のモデルを使った。ウォーキングができないので、複数のモデルを同時にステージにあげて、音楽に合わせて踊るように歩かせた。
 経済的理由もあっただろうが、それが新鮮な印象を与えたことは確かだ。服のシルエットを見せるというより、等身大で若々しく、自由な雰囲気を伝えるコレクションだった。

 やがて、オートクチュールのコレクションは、イブニングドレスの受注ではなく、ライセンスビジネスのプロモーションの要素を強めていった。実際に着用できる服ではなく、スペクタクルのような衣装が中心になったのだ。
 現在の既製服のコレクションも、基本的にはプロモーションを目的としている。かつては、コレクションの写真を全て集め、編集した後で雑誌等に掲載したので、コレクションと作品の掲載は一カ月程度の時間差があった。
 インターネット時代になって、全作品が翌日にはアップされるようになった。コレクションをコピーするアパレルにとっては、好都合だが、発表する側にとってはマイナスである。プロモーションが目的なので、作品数を絞り時間も短縮した。

2.新人デザイナーを発掘する意義

 資本力のある企業なら、コレクションを作るのも難しくない。スーパーモデルを使うこともできるし、特別な場所を会場にすることもできる。作品についても、優れたテキスタイルメーカーの生地を使い、腕利きのモデリストが服を作ることができる。素材も仕立てもレベルの高い完成度も高い服が発表できる。
 一方、新人デザイナーのコレクションは制限だらけだ。資本も限られているし、スタッフも揃っていない。テキスタイルメーカーや縫製工場からも相手にされないことも多い。当然、作品の完成度は期待できない。
 それでも、新しい才能を発掘することは必要だ。コレクションを開催する最も大きな目的は、継続的に才能を発掘し、ファッション市場を活性化させることである。
 日本の現状を見る限り、新人デザイナーを発掘し、ビジネスにつなげていく仕組みが存在しない。インターネットを使ってそれができないだろうか。

3.新人デザイナーが狙うべき価格帯

 私は、既製服でデビューするのではなく、一点ものでスタートすることを提案したい。一点ものを作ることは、サンプルを作ることにつながる。もし、大量の注文が来れば、量産すればいい。アパレル企業と契約することができれば、量産につなげることもできる。オーダーメイドで販売することを前提にすれば、採算割れになることもない。
 現在の既製服ビジネスは資本力が必要である。直営店舗を持たなければならないし、ある程度大量生産をしなければ、価格競争力が得られない。日本の既製服市場は価格が低いので、ある程度の規模が確保できなければビジネスとして成立しない。
 世界の顧客は、日本のデザイナーズブランドに何を求めるのか。例えば、中国の富裕層は、日本のデザイナーに安物を求めてはいない。ヨーロッパのラグジュアリーブランドとは異なるテイストの高級品を求めている。
 スーツで30万円以上なら、欧米のラグジュアリーブランド。日本のコンサバティブなプレタポルテは10万円程度。通常のアパレルの製品で3~5万円。個性的なデザイナーズブランドならば、10万から20万円でも良いと思う。
 私がこう考える一つの理由は、欧米のラグジュアリーブランドも、必ずしも高い生地を使っていないということだ。例えば、今シーズンも桐生で生産した生地値が1300円程度のジャカード生地が50万円以上のスーツに仕立てられている。
 例えば、新人デザイナーは、オーダーメイドで小売価格で10万から20万の作品を発表する。できれば、同様のシステムで複数のデザイナーをデビューさせたい。たとえば、5人~10人のデザイナーが揃えば、一つの勢力となるし、ゾーニングも考えられるからだ。
 投資家にとって、安い作品を発表するデザイナーには魅力を感じない。投資価値を感じられないのだ。富裕層の顧客も安い商品では選択肢にも入らない。10万~20万円の価格は、どちらにもアピールできるし、オーダーメイドであれば、手の届かない価格でもない。また、サンプル縫製をしている工場を使うこともできる。いろいろな方向から考えても、良い価格帯だと思う。
 
4.WEB上のコレクションと販売

 コレクションは、動画で発表する。WEB上で見ることを前提にすれば、スマホ撮影でも十分だ。作品数は最低10体は欲しい。但し、必ずしもトータルコーディネートで発表する必要はない。
 これまでは、店頭展開を前提にしていたので、店舗を埋めるだけの商品バリエーションが必要だった。しかし、ネット販売であれば、単品でよい。テキスタイル調達、縫製を考えても、むしろ、世界にアピールするユニークな単品の方が望ましい。コーディネートするのは、ファストファッションで良いだろう。なぜなら、顧客もまた、そういうスタイリングをするに違いないからだ。
 一つのコレクションで、1ページのWEB。生の動画データと、3分以内のプロモーションビデオを作成する。
 個々の作品は静止画像で掲載し、キャプションをつける。ダウンロード可能になる。
 コレクションのテーマ解説も掲載する。デザイナーへのインタビュー動画でも良い。
 更に、公式のプレスリリースも掲載しておく。
 オーダーメイドならば、WEB上でオーダーの申し込み予約を受け付ける。実際の受注と採寸は場所を設定して行う。
 私には、もう一つ提案したいことがある。WEB上の決済で、オーダーメイドの予約受付で半金を払い込み、納品時に残金を支払うという分割払いの仕組みである。この仕組みは、中国では一般的なのだが、日本では見られない。クラウドファンディングでも良いが、B2Bで分割払いが認められれば、新人デザイナーがオーダーメイドビジネスに参入するハードルが一段と下がるに違いない。

*有料メルマガj-fashion journal(278)を紹介しています。本論文は、2017.3.20に配信されたものです。リアルタイムでの講読をご希望の方は、http://www.mag2.com/m/0001355612.htmlよりお申し込みください。

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