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January 15, 2018

ビジネス基本の基本 j-fashion journal(271

1.ビジネスの起点は消費者

 ビジネスには、企業相手のビジネス(B2B)と消費者相手のビジネス(B2C)がある。
 B2Bの部品メーカーの場合、相手の注文通りの部品を作れば良いが、それだけでは価格競争に巻き込まれる。合い見積もりを取られて、安い工場に注文が流れる。それを防ぐためには、言われたことをその通りにやるだけでは不十分だ。コスト以上の違いを出さなければならない。と言っても、部品だけの差別化は難しい。その場合は、部品からユニットへと対象を拡大していくことだ。
 私は、部品メーカーでも加工メーカーでも、本業の部品以外に製品を作るべきと考えている。鋳物の工場が独自のフライパンや無水鍋を開発し、大ヒットした事例もある。最終製品を作り、B2Cのビジネスをすれば、様々な可能性が広がる。また、B2Cを志向することで、消費者変化に敏感に反応するようになる。
 部品の場合も、納品先、あるいはそのはるか先に、必ず消費者が存在する。自動車メーカーに部品を供給しているメーカーも、自動車は消費者が購入する。

 全てのサプライチェーンのメーカーの利益は、消費者の購買から生まれる。つまり、消費者が買わない商品を作っても意味がない。全ての工程で、最終消費者のためのモノ作りをすることが理想だ。
 卸商も同様だ。バイヤーが仕入れてくれなければ、店頭には並ばない。しかし、バイヤーは消費者が購入したくなるような商品を求めているはずだ。もし、過去の実績ばかりを重視、消費者の欲しいものが分からなくなっていれば、そのバイヤーの成績は落ちるし、最終的にバイヤーが所属する企業の業績も下がるだろう。
 目先だけを考えれば、バイヤーを接待して商品を仕入れてもらえば、売上が上がる。しかし、それは偽りの売上であり、仮需に過ぎない。本当の売上とは、消費者が購入することである。
 我々は、常に消費者のことを考えなければならない。私は「お客様は神様」とは思っていない。企業と顧客は対等の商取引を行っている。消費者は商品を購入する義務があるわけではない。気に入らなければ買わないのだ。どんな商品でも買ってくれるのなら神様と呼んでもいいが、そうではない。
 神様ではなく、厳しい取引相手だからこそ、真剣に相手が満足することを考えなければならない。

2.需要と供給のバランス

 「良い商品を作れば売れる」というのは嘘だ。特に、生産者が自己評価した「良い商品」はあてにならない。良い商品とは、顧客にとって良い商品だけを指す。
 投機的な購入を除けば、どんなに素晴らしい抹茶茶碗も、お茶をやらない人には価値がない。供給ばかりで、需要がなければその商品の価値はないし、絶対に売れない。
 需要と供給のバランスは常に変化している。売れている商品は需要がある。しかし、極端に供給を増やせば、商品は余ってしまう。余れば、処分するために価格を下げなければならない。
 ファッション商品には流行の波がある。どんなに良い商品でも、顧客に飽きられれば売れなくなる。顧客は必ず飽きてしまうものだ。
 同じ商品が売れ続ける条件は、需要と供給が一致していることだ。需給バランスで最も理想的なのは、午前中で売り切れる和菓子屋さんや、豆腐屋さんだろう。常に、供給は需要に満たないために、飽きられることがない。
 もし、大量生産大量販売に踏み切れば、最初は売上も上がっても、やがて顧客に飽きられ、全く売れなくなるだろう。
 50年前は、医者の中で歯科医が最も儲かると言われたものだ。現在は、コンビニよりも歯科医が増え、利益を上げられない歯科医も増えている。どんな分野であっても、ビジネスの基本は需要と供給のバランスであり、それを見極めることだ。

3.WIN-WINの関係を考える

 商取引の相手は、常に利害関係が対立する。買う側は安く買いたいし、売る側は高く売りたい。だから、価格交渉は最も厳しく難しい。商取引の相手とWIN-WINの関係になるのは非常に難しいことと認識しよう。
 しかし、サプライチェーン同士の競争と考えれば、事情は変わってくる。
 例えば、大手スーパーのI社が、ライパルのA社に対抗して、より高額で良質なPB商品を開発しようと、百貨店を中心に販売していた新規メーカーB社に取引を持ちかけたとする。この場合、メーカーとI社の利害よりも、サプライチェーンとしてどのようにA社に対抗するかを考えなければならない。I社が単純にコストダウンばかりを要請すれば、B社は取引をしないだろう。このケースでは、これまでの資料や実績を共有し、ライバルに対抗すべきである。
 このように、WIN-WINの関係を構築するには、現在の立場だけにこだわらず、ビジネス全体を俯瞰する広い視野が必要になる。
 WIN-WINの関係とは、ある種の同盟関係と言ってもいい。共通の目標が設定し、同盟を結ぶ方が自社に有利になるのであれば、それを考えることだ。
 例えば、国内市場では競合関係にあっても、海外市場開拓では共同で展示会に出展する。あるいは、一社ではできないソーシャルなキャンペーンを競合相手を巻き込んで展開する。こうしたことであれば、競合他社ともWIN-WINの関係を築ける。
 私がプロジェクトを企業に提案する場合も、必ず企業の利益が上がり、しかも社内からは提案されないようなプロジェクトを選んでいる。もし、プロジェクトが採用されなくても、良い提案ならば、相手の会社にとってはプラスになる。そういう関係が認知されれば、私と企業は同盟関係になる。
 単純に「何か仕事をください」と頼んだのでは、WIN-WINの関係にはなりえない。

4.給与は利益から支払われます

 最後に、最も基本的なことなのに、意外に理解されていないことを指摘したい。それは、仮に時給のアルバイトであっても、その給料はビジネスの利益から支払われているということだ。経理上は経費だが、企業の利益が上がらなければ、最終的にその企業は倒産するし、アルバイト料を支払うこともできなくなる。
 社員は、会社の利益を上げるために働いているのであり、時給を稼ぐために働いているのではない。したがって、無駄な残業をすべきではないし、利益が上がらない仕事をするべきではない。利益が上がるのであれば、指示がなくても提案すべきである。
 時給という発想であれば、残業しただけ残業手当は出るし、利益が上がらない仕事でも、上司に言われた通りにこなしていればいい。仕事をするフリだけしている社員も少なくないのだ。
 本来、社員全員が会社の経営について考えなければならない。社員が会社の経営を考えることは、社員にとっても有用なことだ。会社の経営状態を理解することは、会社を客観的に見ることである。社内の視点しかないと、自分の仕事が会社のどんな位置づけなのかが分からなくなる。また、サプライチェーン全体の会社のポジションも考える必要はない。
 会社の経営を考えれば、会社に提案できることも増える。また、会社の経営が危機的状態であれば、自身の転職のタイミングを図ることもできるだろう。
 社員は、会社が倒産する日まで気がつかないことが多い。ある日、出社したら、会社のドアが閉まっていて、倒産を知らせる紙が貼ってあるのだ。会社の倒産を察知できないような社員ばかりだから、会社が倒産してしまう、とも言える。
 時代は変化しており、会社が行うべき役割も変化していく。旧来のビジネスモデルから脱せない経営者ばかりでは、いつか会社は倒産するだろう。それを防ぐには、若い世代を含め、社員全体が指示待ちではなく、自ら会社の経営を考えなければならないと思う。

*有料メルマガj-fashion journal(271)を紹介しています。本論文は、2017.1.30に配信されたものです。リアルタイムでの講読をご希望の方は、http://www.mag2.com/m/0001355612.htmlよりお申し込みください。

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