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January 22, 2018

今更ながら百貨店を考える j-fashion journal(277)

1.爆買い終焉と伊勢丹大西社長の辞任

 都心型百貨店は、2014年秋から始まった中国人観光客による爆買い特需で売上を回復したものの、2016年春に爆買いは終了し、一気に売上が低迷した。
 2016年秋頃から、「あの伊勢丹も売上を相当落としているらしい」という噂が流れていた。そして、今年の3月になって、大西社長の辞任が報じられた。
 伊勢丹のリニューアルは2013年だった。もし、爆買いブームがなかったら、もっと早い時期に責任問題が生じていたかもしれない。

2.リニューアル効果はあったのか?

 伝統的な百貨店の活性化策は「リニューアル」だ。しかし、リニューアル効果が効いたのはバブル崩壊までだった。その後の百貨店リニュールは効果が出ていない。
 リニューアルが効果を上げたのは、売場の革新が伴っていたからである。80年代の百貨店リニューアルは、DCブランドの導入を意味した。90年代の百貨店リニューアルはインポートブランド導入、ラグジュアリーブランドの導入を意味していた。
 90年代半ば、バブル崩壊の影響が顕著になってから大型の百貨店リニューアルは行われなかった。不況で投資できなかったということと、リニューアルの目玉がなかったのだ。
 その間、伊勢丹は中国市場に活路を見出そうとしていた。上海梅龍鎮伊勢丹は一応の成功をみたが、2007年に済南伊勢丹閉店、2013年には瀋陽伊勢丹を閉店した。私はこの中国戦略の失敗もボディブローとして効いていたように思う。
 そして、2013年の新宿伊勢丹リニューアル。目玉は「おもてなし空間」、主な顧客ターゲットはインバウンドだった。
 確かに、中国人は日本の接客に感動する。しかし、空間に感動したかは疑問だ。空間でいえば、中国の伊勢丹の方がはるかに贅沢だ。
 売上の推移を見る限り、リニューアル効果は上がらなかったと思う。
 
3.百貨店か、不動産有効活用か?

 百貨店の生き残り策には二つある。
 第一は、百貨店業態を守る方法。これが望ましいのは、社員を解雇しなくていい点である。しかし、百貨店業態で収益を上げるのは益々困難だ。百貨店、専門店という前に、小売業そのものが変化しているからだ。ユニクロやH&Mは小売業だが、商品調達はダイレクトに海外工場に発注している。最早、問屋から商品を仕入れて成立する小売業は滅びようとしているのだ。
 伊勢丹の大西社長もSPA化構想を打ち出したが、社内の同意は得られなかったようだ。
 第二は、百貨店の最大の資産である一等立地の不動産を有効活用する方法だ。
 2017年4月、大丸松坂屋を運営するJフロントリテイリングは、松阪屋銀座店跡地に、新しい商業施設「ギンザシックス」をオープンする。旧来の百貨店ではなく、商業施設、大規模なオフィス、文化・交流施設「観世能楽堂」などから構成される複合施設である。
 百貨店業態より複合型商業施設の方が成功する可能性は高いが、大規模なリストラが不可欠である。そして、退職金等も手当てしなければならない。社員が解雇できず、結局、赤字を垂れ流し続け、倒産という事例は意外に多い。

4.のれんと不動産と人材

 百貨店の資産とは何か。
 第一は、一等立地の不動産。
 第二は、百貨店運営、仕入れ先との関係、顧客の信用等を含めた意味で「のれん」。
 第三は、人材。
 そのうち、有効活用できそうな資産が、「不動産」だと判断すれば複合商業施設を考えるだろう。その場合、百貨店業態を諦め、「のれん」「人材」を捨てることになる。
 「人材」という資産が活用できるならば、新規事業開発、社内起業、多角経営等の戦略が考えられる。
 「のれん」が活用できるならば、「ライセンスビジネス」も考えられる。しかし、必ずしも、百貨店業態を維持する必要があるかは疑問だ。のれんを活用したホテル経営、マンション開発等も考えられるからだ。
 企業経営という視点からは、百貨店業態の存続に魅力はない。むしろ、不良債権化している資産を全て整理してから、新たな事業モデル、収益モデルを考えるべきだと思う。
 百貨店そのものが、時代と共に業態を変化させてきたことを忘れてはならない。家電、カメラ等の売場を切り捨て、ファッションに特化することで、一定期間は収益を確保することができた。しかし、時代は変わった。少なくとも、ファッション以外の要素を主体とした業態に変化しなければならないのではないか。

*有料メルマガj-fashion journal(277)を紹介しています。本論文は、2017.3.13配信されたものです。リアルタイムでの講読をご希望の方は、http://www.mag2.com/m/0001355612.htmlよりお申し込みください。

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