ファッションドールコレクション j-fashion journal(266)
1.リアルに感じる世界とは?
私はもうすぐ還暦を迎えるが、中学、高校の頃、ラジオの深夜放送でフォークソングを聞いていた。そんな年代である。
我々の世代は、テレビ、ラジオ、雑誌から情報を得ていた。また、インターネットは存在しなかったし、パソコンもスマホもなかった。
写真や活字を見て情報を得ていたのだが、そこに描かれているコンテンツの多くは、実社会の投影だった。
小学校の低学年の頃は、貸本屋からマンガを借りていた。やがて、マンガ週刊誌が出版され、少年マガジン、少年サンデー、少年キングを読んだものだ。
当時のマンガの主人公の服は、キャラクターの一部だった。魔法使いサリーは、常に同じ服を来ていたし、おそまつ君もチビ太もイヤミも常に同じ服を着ていた。
そんな世代の私たちにとって、現実世界こそがリアルであり、二次元の世界は仮空の世界だった。アイドルに恋することはあっても、二次元の登場人物に恋することはなかった。
その基準が変わったのは、携帯ゲーム機、フマホが登場してからだ。圧倒的な時間をバーチャルな世界で過ごすようになり、生活時間の構成が入れ替わった。
バーチャルな世界で活躍するために、リアルな社会で働くという発想が珍しくなくなる。恋愛ゲームが登場すると、恋愛さえも二次元が主役になった。
そうなれば、ファッションも二次元が主役になる。コスプレは、二次元を三次元に再現したものだ。最早、ファッションさえも二次元の世界が主役になっているのかもしれない。
2. 製造業からコンテンツ産業へ
ファッションビジネスは、製造業から小売業へと主役が移っている。そして、小売業の主役もまた、店舗販売から無店舗販売へと主役が交代しつつある。
グローバル化が進み、世界で最も工賃が敷くい地域で生産し、最も高く売れる市場で販売するというビジネスモデルが登場する。
先進国が担う役割は製造業ではなく、ブランドというコンテンツを開発し、市場に展開することになる。
ファッションデザイナーの仕事もいくつかに分化していくのではないか。
第一は、スティリストからクリエイティブディレクターという流れ。服のデザインから、ブランディングのためのクリエイティブなディレクションへの変化。これは、既に欧米で始まっている。
第二は、スティリストからコンテンツクリエイターへの変化である。既に、アニメの監督や一部のマンガ家がその役割を担っていると考えられる。
アニメ作品、マンガの作品は、ファッションのコレクションに似ている。シーズンテーマがアニメのストーリーであり、そこから、複数のシーンや商品が生まれる。
例えば、仮面ライダーやプリキュアは、一年毎に新しい作品を発表しており、その流れの中で玩具等の商品が展開される。これが、半年に一回更新されれば、ファッションと同じことになる。
アニメ作品も映画収入単体だけでなく、複合的なビジネスを前提にしている。ビデオ販売、ライセンス商品等の展開である。これは、ファッションと共通している。
つまり、マンガもファッションもコンテンツ産業であり、発表の方法と、コンテンツの内容が異なるだけだ。
既に、パリコレのデザイナーもアニメをテーマにした作品を発表している。しかし、二次元と三次元がビジネスとして融合したわけではない。クリエーションのアイディアソースとして二次元のモチーフが使われたに過ぎない。
私はそこから踏み出し、二次元と三次元のビジネスを融合することを提唱したい。
3.人形、フィギュアというメディア
知人の人形メーカー社長が、「最近はコンテンツ産業への転換を強めている」と語っていた。これまでの人形はアニメやマンガが先にあり、そのキャラターを再現するものだった。
しかし最近では、人形作家が自ら小説を書き、登場人物を設定し、その人形を開発し、その世界観を演劇化する動きがあるという。
これは、ファッションにも共通するのではないか。まず、小説や詩を書いて、その世界観を表現する。それが芝居やアニメ化されれば、ライセンサーとしてライセンスビジネスを展開することもできる。
人形は正に2.5次元の存在ではなかろうか。立体だが、我々のリアルな現実世界には生きていない。彼らが動き始めるのは、3dデータ化され、パソコンに取り込まれてからである。
人間が着る服よりも、人形が着る服がリアリティを持つ時代。もし、人間が着たいと思えば、リアルなサイズで作ればいい。しかし、最初からリアルな大きさで作ったのでは、コモディティと区別がつかなくなる。夢やロマンが感じられなくなる。
人形が着ることにより、二次元の世界に入りやすくなる。つまり、二次元のビジネスと連携しやすくなる。二次元の世界へのライセンスビジネスを考えるならば、等身大の人間のモデルが着るよりも、ミニチュアの人形に着せて発表すべきではないだろうか。
4.ファッションドールコレクション
2次元と3次元が交差する場。アニメやマンガとファッションが人形を介して交流する場。そんなイベントできないだろうか。
第一回は、小さなイベントでもいい。着せ替え人形そのもののコレクションと、着せ替え人形の衣装のコレクションを同時に行う。
また、二次元のマンガ、アニメの作家の方々との交流ができる「トークショー」のようなプログラムを作りたいと思う。
人形の出店は着せ替えができることが条件。人形も人形衣装も一点ものを展示する。
できれば、出展作品は、写真撮影と3Dスキャナーによるデータ入力を行うことで、3次元と2次元のビジネスをつなぎたい。
勿論、作品はWEBで紹介する。一点ものとして販売するか、量産を前提としたライセンス契約をするか、クラウドファンディング等の手段で量産し販売するという方法が考えられるだろう。
日本のマンガやアニメの人気が高いことは、人形の販売にも有利である。欧米のトレンド情報を起点にモノ作りするのではなく、人形を起点としたモノ作りはできないだろうか。
日本で、ファッションドールコレクションを行い、世界市場に販売する。そんなビジネスモデルはどうだろう。
*有料メルマガj-fashion journal(266)を紹介しています。本論文は、2016.12.26に配信されたものです。リアルタイムでの講読をご希望の方は、http://www.mag2.com/m/0001355612.htmlよりお申し込みください。
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