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October 09, 2017

検索で読む時代の気分 j-fashion journal(249)

1.「売れない」けど「買う」

 検索ボリュームから時代の気分が分かる。例えば、「衣料品 百貨店 売れる」と「衣料品 百貨店 売れないを比較する。あるいは、「衣料品 ユニクロ 売れる」と「衣料品 ユニクロ 売れない」を比較しても良い。
 いずれにせよ、「売れない」が圧倒的に多い。ネット上では、アパレルは売れないという気分になっているらしい。
 一方、「買う」と「買わない」を比較すると、圧倒的に「買う」が多い。
 「売れる・売れない」は供給側の言葉であり、「買う・買わない」は消費者の言葉だ。供給側は売れないと思っているが、消費者は買う気分になっていると解釈していいのだろうか。
 ネット上の「気分」と言っても、あくまでテキストに反応したものに過ぎない。「買う・買わない」は行為であり、買う行為をすれば「買う」と書くかもしれないが、買わない場合に「買わない」と書くかは疑問だ。

 なぜなら、「買わない」とは「特定の行動をしない」という意味だからだ。買い物をしない日があっても、わざわざ「今日は何も買わなかった」と書く人はいないだろう。買い物以外の行為を書くはずだ。
 言葉の性格上、「買う」と「買わない」を比較すると、「買う」が多くなるのは当然である。
 「売れない」とは、どういう意味だろうか。アパレル企業やショップが「売れない」という場合、全く売れなかったという意味だけではない。「予算と比べて売れなかった」「昨年対比で売れなかった」場合に、「売れない」と表現する。逆に「売れる」と表現するのは、「予測よりも売れている」「予算をクリアしている」「昨年対比を超えている」ことを意味する。
 そう考えると、「売れない」が「売れる」より多いのは、「売上が右肩下がり」であることを表現しているとも言えるだろう。
 
2.「消費」と「投資」

 景気とは「気」である。「気」を「消費マインド」と言い換えてもいい。「気」「消費マインド」が上がれば、消費は上がる。つまり、商品が売れる。
 しかし、消費マインドが上がっても、コモディティ商品の売上数が上がるわけではない。どんなにウキウキしていても、日々使用するティッシュペーパーを大量に購入することはない。消費する量は決まっている。
 「消費マインドが上がる」というのは、量ではなく質の変化である。単純に言えば、付加価値の高い商品、高額な商品を購入したいという欲求が高まることが、消費マインドが上がることである。
 消費マインドを上げるにはどうすればいいのか。最も効果的なのは、可処分所得を上げることである。しかし、これは容易ではない。
 可処分所得が上がらなくても、消費マインドを上げることは可能だろうか。
 例えば、グルメだった人が、食費を倹約し、そのお金をファッションに使ったとすれば、ファッションの消費マインドは上がったということだろう。
 逆に、ファッション消費を控え、グルメにお金を使うのならは、グルメへの消費マインドが上がったということになる。
 ビジネスとは、限られた可処分所得を分野ごとにシェアを奪い合うことでもあるのだ。
 Googleで「何にお金を使うのか?」と、検索したら、「お金持ちだけが知っている「お金を使う正しい順番」って何?」という面白い記事を見つけた。それによると、(1)健康、(2)ビジネス(自己投資)、(3)見た目、(4)投資、(5)趣味、とのことだ。
 「長時間使うものにお金をかけるのが本当の賢いお金の使い方」という記事には、「お金は、1日のうち長時間使うものに」使うべしとあり、具体的には、「睡眠」「仕事」「移動」「趣味」とのこと。
 どちらにも共通していることは、「消費」ではなく、「投資」に視点が移っていることだ。睡眠も健康への投資であり、ビジネスも将来のための自己投資である。趣味は、消費を伴うが、自らの人生を楽しむための投資とも言えるだろう。
 「消費マインド」は冷えているが、「投資マインド」は熱くなっているのではないか。
 そういう意味では、生活者を「消費者」と捉えずに、「投資者」と捉えることが大切なのかもしれない。
 
3.自己投資とファッション

 次に、「自己投資」を検索した。
 「自己投資7つの方法がグッとわかる!!」という記事が良くまとまっていた。自己投資には7つの種類があるという。
 (1)スキル系:英語、会計や法律、各種資格、PC、プレゼンテーション、スピーチ等のスキルアップに投資する。
 (2)インプット系:読書、映画、Youtube、podcastなどからインプットするというもの。
 (3)体系:ジム、有酸素運動、テニスやフットサルなどのサークル、食事管理等に投資する。
 (4)外見系:見た目が影響を及ぼすことが多いので、洋服、時計、カバン、小物、化粧品等に投資しましょう、というもの。
 (5)実体験系:「人に会う」、「場所を訪れる」のように、ネット上ではなく、オフラインで体験することに投資する。
 (6)人脈系:異業種交流会に参加、サークル活動、ボランティア活動に参加するなど、人脈を構築するために投資する。
 (7)周りに投資:周囲に投資することで自分に返ってくるという意味で、「プレゼントを渡す」「食事をご馳走する」などに投資することも自己投資であると考える。
 他のいくつかの記事を見ても、ほとんど内容は重複している。
 ファッションに戻るならば、「ファッション商品の購入は、自己投資の一部である」というコンセプトが必要なのではないか。
 (1)ボディを整えることはファッションの基本であり、自己投資である。
 (2)スキルアップや知識のインプットを感じさせるような知的な外見を演出することも自己投資の一部である。
 (3)良い人に会うには、良い印象を与えることが必要。人脈を作るためにも、好印象を与えることが重要。コミュニケーションツールとしてのファッションに投資しよう。
 (4)プレゼントを渡したり、食事をご馳走することは社交の基本である。社交とは個人と個人が出会う場であり、ビジネスにも恋愛にもつながる。新しい社交服というコンセプトも良いかもしれない。
 
4.個性より良識

 『ファッションとは個性を表現するものである』『個性的なことがファッショナブル』
 ファッション専門学校の学生は、こう考える人が多い。その理由の一つは、デザインコンテストではないか。ファッション専門学校の学生はデザインコンテストがグランプリを取れば将来につながると思っている。コンテストで評価される服は、個性的なものだ。
 社会的ステイタスを表現する服。良識的な服。上品な服などがコンテストで評価されることはない。
 しかし、時代の気分は「個性」を求めていない。コンテストでグランプリをとっても、デザイナーとして就職できるとは限らない。
 一般の消費者は、個性的に見られることを避けている。他人と異なる部分を強調するよりも、他人と協調することが評価される。時代のファッションの気分は、「強調より協調」なのだ。
 消費者に訴求するには、「トレンド」を訴求することが有効だが、投資者に訴求するには、「スタイル」を訴求することが有効である。
 「スタイル」とは、「トレンド」のように短期間で変化するものではなく、時代の普遍性を含むものである。投資者にとって、スタイルとは個人のイメージを高めるための手段である。そして、ファッションへの投資は自己投資の一部である、という訴求が重要になる。
 果たして、現在のアパレル企業は、投資に見合う商品を販売しているのだろうか。あるいは、投資に見合うという訴求をしているのだろうか。
 ブランディングが投資に対するリターンであるという理解をしているだろうか。

*有料メルマガj-fashion journal(249)を紹介しています。本論文は、2016.8.29に配信されたものです。リアルタイムでの講読をご希望の方は、http://www.mag2.com/m/0001355612.htmlよりお申し込みください。

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