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October 11, 2017

メルカリの衝撃 j-fashion journal(262)

1.メルカリに業者が新品を出品している

 渡辺直美のテレビCMでお馴染みの「メルカリ」。誰でも簡単に商品を販売できるサービスだ。
 先日、私のクライアントののれんメーカーでメルカリが急成長しているという話をしていたら、若い社員がその場でメルカリを検索し始めた。
 「のれんなんて出品する人いるのかな」と探していると、「ありますね。あ、うちの商品が出てる」と興奮している。しかし、「あれ、これも、これもうちの商品だ・・・」となり「これは業者ですね。写真の撮り方も違うし」ということになった。結局、販売先のどこかが仕入れた商品をメルカリで販売していたのである。
 こうなると、素人のフリマアプリだと無視しているわけにもいかない。これまでメーカーは問屋や小売店との関係を気にして、ネットショップで価格訴求ができなかった。本来、メーカーこそ最も安く販売できるはずなのに、得意先の権利を守るために高い価格設定をしていたのである。

 しかし、個人名義のメルカリやヤフオクならば、それも関係なくなる。消費者が消費者に販売している、個人のビジネスだからだ。つまり、企業が個人を通せば、何でも売れるということになる。
 ネットで商品を購入する癖がつくと、店頭を見なくなる。同様に、メルカリのようなサービスで商品を購入すれば、新品の商品を見なくなるかもしれない。メルカリだけで買物を完結させる消費者も出現するだろう。
 そうなると、小売店を通して販売しようとしても、消費者の目に止まらない。メルカリの利用者に訴求するには、メルカリに出品するしかない。そうなれば、メーカーも問屋も小売店も、個人を介してメルカリに出品すようになるかもしれない。新品がメルカリに大量に出れば、益々店頭に足を運ぶ消費者は減少していくだろう。

2.メルカリって何?

 メルカリは、2013年にサービスが始まったフリマアプリである。フリーマーケットのように自分で価格を設定し、あらゆるモノを販売できる。
 人気の理由は手軽さにある。登録や出品の費用はゼロで、成約時に販売価格の10%が販売手数料として徴収される。売りたいものをスマホで撮影し、特徴などの説明と希望額を入力するだけで出品が完了する。個人間の取引なので、消費税もかからない。
 メルカリでは、どんな商品でも出品可能だ。実例として紹介されているのが、トイレットペーパーの芯だ。幼稚園や小学校では「捨ててしまうトイレットペーパーの芯を持ってきてください」と急に言われることがある。そうは言っても、トイレットペーパーの芯だけを買うわけにはいかない。そんなニーズに応えるために出品した人がいるらしい。
 若い人は、使いかけ化粧品も買うらしい。香水は分かるが、ファンデーションも自分のパフを使うのだから抵抗はないというのだ。考えてみれば、化粧品を完全に使い切る人も少ないのかもしれない。試験的に買ってみて、飽きたら売る。買った人も使うだけ使ったら売ればいいのだ。合理的と言えば、これほど合理的なことはないだろう。
 こうなると、家の中にあるものは何でも売れるということになる。正に、あらゆる人が売り手であり、買い手でもあるのだ。

3.「ヤフオク」と「メルカリ」の違い

 不用品を処分する手段としては「ヤフオク!」があったが、「メルカリ」の仕組みはこれとは異なる。
 「ヤフオク!」で価格を決めるのは「顧客」だ。出品時に設定した制限時間内に、顧客が商品の価値を見極め、購入希望額を入札し、他の希望者と競り合って価格が決定される。(例外として、「ワンプライス出品」という価格固定の出品形式もある)
 「メルカリ」は、「出品者」が販売希望額を決め、それに納得した買い手が購入申請をする。出品者にとっては、オークションのように値が釣り上がることはないが、想定以下の価格になるという心配がない。支払いは前払いで、期限が設定されている。
 と言っても、買い手は一方的に定価を押しつけられるわけではない。「メルカリ」の商品ページにはコメント欄があり、そこで「価格交渉」を行うことができる。「他の商品とまとめ買いするので安くなりませんか?」というような交渉をすることが多いようだ。
 「メルカリ」では、競り合うこきがないので、出品者が価格相場を知らなければ、低い価格を設定することもある。顧客にとっては、掘り出し物が見つかる可能性が高いということにもなる。
 
4.便利で安心なサービスが充実

 メルカリの人気の秘密は、出品しやすく、買いやすいサービスであること。それを実現するために、面倒な手間を徹底的に削減している。
 例えば、決済にはエスクローサービスを採用している。顧客が支払った代金を運営会社が預かり、商品の受け取りを確認後、出品者に送金する仕組みである。顧客に届いた商品が不良品や偽造品だった場合も、運営会社が仲介して対応してくれる。
 更に、配送についても工夫している。「らくらくメルカリ便」は、ヤマト運輸の宅急便等が全国一律料金で発送できるサービスだ。コンビニ(現在はファミリーマート、サークルKサンクスのみ)やヤマト運輸の営業所に持ち込むほか、自宅に集荷に来てもらうことも可能だ。あらかじめ「らくらくメルカリ便」を選択しておけば、宛名書きが不要なうえ匿名でやりとりができるので、個人情報漏洩の心配もない。
 更に、2016年3月には、顧客と出品者が直接会って商品のやりとりをする「メルカリ アッテ」というサービスも開始した。発送の手間も手数料もなく、その便利さから利用者は徐々に増えているようだ。

5.個人小売業「個売り業」が急増する

 メルカリは、「フリマアプリ」というカワイイ名称がついているが、実質的には個人が簡単に小売業に参入できるサービスである。新品も故買品も関係ない。消費税も取られない。
 これまで、小売業を開始するのは大変だった。問屋と取引するにも、個人では信用がない。法人格を取ることが必要だった。店舗と販売員を雇用しなければならなかった。その他にも、ショップ袋や、チラシやDMなどの販売促進費も必要だった。
 しかし、メルカリならば自宅でサイドビジネスを行うことが可能になる。趣味の手芸品でも特定のファンがつけば生活できる程度の売上は見込めるのではないか。
 また、リフォームや少しだけ手を加えてオリジナル性を訴求する商品も有望である。
 これまで、日本で起業というと、メーカーの発想で起業しようとする人が多かったが、メルカリのお蔭で、商業的な起業が増えるのではないか。
 この勢力は、既存の小売業の脅威になるに違いない。しかし、消費者にとっても、個人事業者にとっても非常に面白いビジネスができるはずである。

*有料メルマガj-fashion journal(262)を紹介しています。本論文は、2016.11.28に配信されたものです。リアルタイムでの講読をご希望の方は、http://www.mag2.com/m/0001355612.htmlよりお申し込みください。

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