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October 09, 2017

もっとアパレルにファッションを j-fashion journal(255)

1.クリエイティブディレクターという職種

 学生時代の友人で、パリ在住のクリエイティブディレクターと一緒に仕事をしている。日本で仕事をしていると、自分が次第にファッションから離れているような気がするのだが、彼と話しているとギャップを感じない。
 日本では、ファッション業界にいると、ファッショントレンドやファッション情報に詳しいことが求められる。自分が着る服も普通の服を着ていると、「らしくない」と言われる。
 しかし、私も友人も学生時代からカジュアルな服しか着ていなかったし、今も変わっていない。肝心なのは外見ではない。発想であり、アイディアだ。そして、そのアイディアをビジネスとして具体化する能力が求められているのである。
 昔は服をデザインする人をデザイナー(スティリスト)と呼んでいた。しかし、ビジネスの形態が変わるにつれ、デザイナーの仕事も拡大していった。

 ブランドイメージを構築するためには、プロモーションも重要だし、ショップデザインも重要である。プロモーションなら、広告のディレクターやグラフィックデザイナーが制作するし、ショップはショップデザイナー、インテリアデザイナー、建築デザイナー等が担当する。これらの専門的デザイナーとアイディアを交換し、調整しながら、最終的にブランドイメージ構築の責任を負うのがクリエイティブディレクターである。
 また、コレクションを作るだけのデザイナーとは異なり、ビジネスそのものに関わるので、営業との調整も行う。ブランディングのためには、営業戦略にも関わらなければならないからだ。

2.異業種へのファッション的アプローチ

 一般の商品戦略とファッションの商品戦略はどこが異なるのだろうか。
 基本的にメーカーは、同じ機械設備で作れる商品を水平に展開していく。例えば、タオルを考えてみよう。原材料を共通にしてサイズ違いのタオルを作ることは合理的だ。しかし、タオルは用途によってサイズが異なるだけでなく、歴史的、文化的な違いもある。
 日本は最初に手拭いがあり、そこから浴用タオルとなり、その後、ドライなタオルができた。日本では、入浴から出たら、素早く身体の水分を拭う。湿度の高い日本では、水分が身体に残ることが不快なのだ。
 しかし、乾燥したヨーロッパでは保湿を考える。素早く水分を拭うのではなく、濡れたタオルで身体を包むのが基本的な使い方である。そのため、身体のサイズにあったタオルのサイズが基本になっている。髪の毛を包むヘアタオル。身体を包むボディタオルは日本のバスタオルよりかなり大型サイズである。
 こうしたライフスタイルの違いを理解しないまま、日本の基準の商品をヨーロッパの展示会に持ち込んでも売れるはずがない。
 また、日本のように単品のタオル売場は存在しない。基本的に、ベッドリネンとタオルはセットで展開される。したがって、タオルだけでは百貨店の売場を取ることはできないのだ。
 基本的にコモディティは単品で販売し、高級品はセットで販売される。そして、セットであることを分かりやすく表現するために、ブランド表示を行う。
 オートクチュールは、リッチな顧客を持っている。そのため、ドレスだけでなく、ライセンスで香水、化粧品、バッグ、時計、メガネ等を展開するようになった。このトータル性こそブランドがブランドたる所以である。
 バッグメーカーがラグジュアリーなブランディングをする場合、ドレスのコレクションと共に展開する。それによって、ブランドイメージを統一し、ブランドのステージを上げるのである。
 完璧なコレクションを作らなくても、ナイロンのバッグのブランドが、同じナイロン素材でジャケットやコートを一緒に売場にディスプレーすることで、ブランドらしさが演出できる。
 自転車メーカーがブランディングするなら、サイクリングウェアと共にショップを展開した方が良いだろう。ウェアのコレクションを作ることで、ステイタスとターゲットの明確な絞り込み、着用シーンが規定されるからだ。
 ファッションとして打ち出すことで、単なる工業製品がラグジュアリーなイメージをまとうことができるのである。
 
3.デザイナーホテルの発想

 ヨーロッバのデザイナーは、自分のクリエーションの集大成としてホテルをプロデュースする。最も有名なのは、アルマーニホテルだろう。
 ホテルは、ライフスタイルそのものを表現することができる。
 ホテルのコンセプトは、コレクションと共通している。建築やファサードは、コレクションの舞台装置だ。これから、どんな空間やサービスが提供されるか、を顧客に期待させなければならない。そして、コレクションのテーマを感じ取ってもらう必要がなる。
 ホテルで、顧客をどんな気分にさせるのか。限りないリラックスか。適度な緊張感か。どんな文化の薫りが心地いいだろうか。ゴージャスな空間だろうか。
 客室までの導線、エレベーターから廊下、客室のドアまでの空間はどのように演出すべきか。どんな気分にさせたいのか。
 客室のインテリアはどうするか。顧客はデスクで仕事をするだろうか。PCを開くだろうか。電話するだろうか。どの程度の荷物を持ってくるだろうか。
 バスタイムには何を求めるのか。そこにあるタオル、化粧品、ハブラシやヘアブラシには、どのような期待をするだろうか。
 レストランのメニューやサービスに対しては、どのようなコンセプトが必要なのか。誰とどんな時間に何を話すのか。
 こうしたことを一つ一つ考え、決定し、具体化していく作業はコレクションを組み立てる作業に似ている。

4.アパレルにファッションを

 こうした発想から、アパレル製品をリ・コンセプキできないだろうか。本来のファッションは顧客とライフスタイルを想定し、それをコーディネートで表現する。
 ショップ展開をするなら、トータルコーディネートが基本だが、ネット通販を基本に考えると単品が中心になるだろう。最低限のコレクションを組み立てるなら、単品+特定の雑貨というのはどうだろうか。
 例えば、シャツ単品+?のブランド。もちろん、シャツにもこだわりがなければならない。例えば、冬はウールのインディゴ染め、夏はリネンのインディゴ染めだけでコレクションを作る。そのシャツ単品に腕時計を組み合わせる。あるいは、シャツ単品にスカーフも良いだろう。
 Tシャツなら、夏は白をベースに質感の異なる白でプリント。アクセントに蛍光カラーの線描き。冬は、黒地に黒ラッカーや黒ラバーのプリント。そのTシャツ単品にキャップを組み合わせる。あるいは、Tシャツ単品にシルバーのメンズアクセサリー。
 パンツ単品ならジョガーパンツに特化する代わりに、色を絞り、あらゆる素材で展開する。レザーのジョガー、エナメルのジョガー、シルクのジョガー。それにスニーカーを組み合わせたコレクションを作る。あるいは、パンツ単品にサスペンダーのコレクションはどうだろう。
 それぞれのこだわり単品を組み合わせることで新たなストーリーを組み立てる。それによって、コモディティだったアパレルに新たなファッション的要素を加えるという試みである。
 既に、日本のアパレルはコモディティになってしまった。それをどのようにファッションに回帰させるかが問われているのではないだろうか。

*有料メルマガj-fashion journal(255)を紹介しています。本論文は、2016.10.10に配信されたものです。リアルタイムでの講読をご希望の方は、http://www.mag2.com/m/0001355612.htmlよりお申し込みください。

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