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June 27, 2017

権利ビジネスのための展示会 j-fashion journal(245)

1.日本人と中国人のビジネス観の違い

 日本人は展示会で商品を訴求し、商品を販売する。中国で行われる展示会の多くは、商品の販売が目的ではない。販売権の取引を目的としている。
 メーカーは展示会でブランドを訴求する。来場者は有望なブランドを見つけ、その販売権を獲得しようとする。メーカーにとって、ビジネスの成功は良い代理商を獲得することである。来場者は良いブランドの独占販売権を取得することができれば、利益が約束される。
 中国の展示会に出展している日本企業は、日本国内と同様に商品を訴求し、商品を販売しようとする。そして、来場者から独占販売権を要求されると、怖くなって、断ってしまう。
 日本人にとって、権利ビジネスは分かりにくいが、一度理解すると、日本のビジネスよりも明解である。
 まず、日本企業と中国企業は業態が異なっている。日本のメーカーは、問屋を相手にビジネスをしている。中国でも問屋のようにまとめて発注してくれる相手を探すのだが、中国にはそうした問屋はいない。

 日本のアパレル企業は問屋である。問屋は小売店に商品を卸すことを考える。しかし、中国の多くのショップはメーカーの直営店か代理商によるフランチャイズである。独立した小売店は小規模であり、市場で商品を仕入れる。展示会に来る来場者は商品を探しているのでなく、売れるブランドを探しているのである。あるいは、儲かる商売を探していると言ってもいい。
 このミスマッチは未だに解決していない。両者のビジネス観はすれ違ったままだ。

2.フランチャイズ展開を基本に考えよう

 日本のアパレル企業はアジア市場で苦戦しているが、飲食店は次々にアジア市場に参入し、成功を収めている。飲食店は商品を販売しているのではない。飲食店の経営手法、接客方法、店舗デザイン、そして料理の原材料調達から調理方法までをパッケージにして販売しているのである。現地の人にノウハウがなくても、資金さえあれば、全てのノウハウは提供されるのだ。
 これをアパレル企業で考えてみよう。日本のアパレル企業は、売れる店づくりのノウハウを提供しなければならない。店舗デザイン、VMD、接客販売、そして、商品である。
 商品も日本で販売しているものを持っていけば良いというものではない。飲食店は、現地をリサーチし、現地向けの食材を調達し、新メニューを考案する。アパレルは、現地で調達できる素材を吟味し、現地向けのデザインとパターンを用意し、現地の縫製工場で縫製し、商品を供給すべきである。
 日本市場で売れている、日本人の体型に合わせたアパレル製品が売れるはずはない。そう考えると、いきなり小売展開を考えるよりも、中国アパレルにライセンス供与することを考えるべきかもしれない。
 日本企業は、中国の顧客が満足できる商品を提供するノウハウを提供すべきであり、自社製品を押しつけるべきではないのだ。
 
3.展示会で訴求すべき内容

 展示会で訴求すべき内容は、魅力あるブランドであることだ。ブランドの歴史、コンセプト、アイデンティティ、ロゴタイプ、シンボル、ショップデザイン、接客販売教育、プロモーション、そして、商品イメージ。
 商品については、商品そのものではなく、どのように商品をデザインするのか。どのような素材を使うのか。カラーはどのように設定するのか。
 どのようにトレンドを分析して、どのような検討を行い、商品を生み出すのか。それまでのプロセスが重要である。こうしたノウハウがいかに中国アパレルに役に立つかを強調すべきだろう。
 そして、デザイン、パターン、素材とのマッチングはどのように供給されるのか。アプルーバルはどのように行うのか。
 店舗管理はどのように行っているのか。どんな売上管理、在庫管理システムを使っているのか。販売員のローテーションはどのように行っているのか。販売員教育プログラムはどうか。
 そもそも、どんな組織でビジネスを行っているのか。それぞれの専門的な職種の評価基準はどのにうに設定すればいいのか。
 
4.商品より知的財産に価値がある

 日本企業が、中国市場やASEAN市場で販売できるのは、商品ではなく、ノウハウである。言い換えれば、知的財産である。
 「知的財産を売る」と言うと、「売ったら何も残らない」と思うかもしれない。しかし、売るといってもいくつかの段階がある。
 例えば、ライセンス契約には期限がつく。日本の大手アパレル企業が欧米のライセンスを引き上げられて困っているのは、期限があるからだ。1年でも3年でもいい。期限を区切って、契約を更改していく。
 また、ブランドを本当に売る必要はない。ブランドの使用権、ブランド商品の生産権を供与するだけである。供与といっても、無償供与と有償供与がある。実際は貸すだけだが、それを、「販売権を期限付きで売る」と言うのである。
 日本のあらゆる企業には資産がある。多くの場合、それに気づいていないだけだ。社内に蓄積されているモノだけが資産ではない。外部とのネットワークも資産になる。つまり、原材料を仕入れるパイプや、コンサルタントとの関係も資産である。
 要は、中国企業の役に立つものは何でも知的財産として売れるのである。そして、売れば売るほど、中国市場を理解し、ノウハウが蓄積していくのだ。つまり、売れば売るほど、資産が増えていくのである。
 日本企業の多くは、売るモノ、売る方法を間違えている。ビジネスモデルの設定に問題があるのだ。

*有料メルマガj-fashion journal(245)を紹介しています。本論文は、2016.8.1に配信されたものです。リアルタイムでの講読をご希望の方は、http://www.mag2.com/m/0001355612.htmlよりお申し込みください。

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