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March 26, 2017

消えた繁忙期~店舗からネットへ~ j-fashion journal(235)

1.日本向け縫製工場がガラガラ

 ゴールデンウィークが明ける時期は、通常なら秋物が繁忙期を迎える。しかし、今年は状況が変わっているようだ。
 中国のみならず、ベトナムでも、日本輸出向け縫製工場はガラガラだという。中国では、「日本人は中国を見捨てたんではないか」と訝しがり、ベトナムでは「日本人はベトナムに飽きてしまったんではないか」と疑っているという。
 繁忙期になる時期なのに、受注が入らない。「本当に繁忙期は来るんですよね」と心配しているらしい。

2.アパレル生産数量が減少

 昨年から、大手アパレル、大手SPAを中心に店舗の縮小が続いている。おそらく、2千店舗以上は閉鎖されているのではないか。
 1店舗の店頭在庫が平均1千万円だとすれば、2000店舗で200億円減少したことになる。
 店舗流通の特徴は、シーズン立ち上がり時期に、大量の製品を投入するということだ。それがごっそり消えれば、海外縫製工場のスペースが空いていても不思議はない。
 ネットショップなら、サンプルが一点あればいい。全国の数千店舗に在庫されていた商品は、売れるまではサンプルに等しい。店舗流通からネット流通への転換は、大量の在庫を減らすことになる。ある意味で、無駄が減ることだ。
 シーズン立ち上がり時期の大量納品がなくなれば、縫製工場の繁忙期がなくなり、生産数が激減する。今後とも、この流れが加速するだろう。
 先日、あるセミナーで聞いた話。日本のアパレル産業の小売市場規模は約10兆円。そのために、在庫が20兆円あるとのことだ。もし、流通の無駄がなくなれば、アパレル生産は半減するということである。今年は、その第一歩を踏み出したということかもしれない。

3.納期設定が変わる

 店舗流通からネット流通への転換は、商品の納期も変えるだろう。店舗であれば、シーズン立ち上がりで商品を揃えなければならないが、ネット販売なら、サンプルがあればいい。むしろ、実需のカーブと、商品投入のカーブを可能な限り、近づけることが求められる。
 大型ブランドや大型店舗なら計画生産が必要だが、小規模なブランドであれば、なるべくリードタイムを短くして、期中生産を目指すだろう。この流れが加速すれば、同時期に全アパレルが生産に動きだす。勿論、生産スペースはたちまちふさがり、納期遅れやトラブルが多発するだろう。
 店頭だけでなく、ネット上でも、売り逃しが増える。無理に短納期で生産しようとすれば、生産コストも上がってしまう。アパレル企業の利益を圧迫することになる。結局、「ネット販売は儲からない」ということになるかもしれない。
 こうした場合、在庫を抱えている中国アパレル企業等から商品を仕入れることになるかもしれない。そうなれば、益々商品の同質化と価格競争に陥るだろう。
 
4.見込み生産からオンデマンド生産へ

 オンデマンド(On-Demand)とは、英語で「要求(Demand)に応じて」という意味だ。私の周辺では計画生産ではなく、オンデマンド生産を目指す企業が増えている。見込み生産ではなく、オーダーメイドや受注生産を目指すのだ。
 ファストファッションは、トレンドをいち早く収集・分析し、クイックに生産し、市場に供給するものだった。しかし、トレンド情報が同質化すれば、市場で展開される商品も同質化してしまう。そして、価格競争に陥る。
 それを防ぐには、トレンド情報を基本にするのではなく、トレンドに左右されないマニアックな顧客、特定のデザイナーやクリエイターの熱狂的ファンを対象にすることである。そして、見込み生産ではなく、予約販売や限定販売による確実な生産を行うことである。それができれば、急激な成長は見込めなくても、安定したビジネスが見込めるのだ。
 こうしたビジネスモデルの転換もまた、供給を減らすことになる。そして、オンデマンド生産ができない既存の縫製工場では対応できないのだ。
 やはり、「繁忙期」という言葉は死語になるかもしれない。

*有料メルマガj-fashion journal(235)を紹介しています。本論文は、2016.5.23に配信されたものです。リアルタイムでの講読をご希望の方は、http://www.mag2.com/m/0001355612.htmlよりお申し込みください。

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