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March 26, 2017

BABYMETALというコンセプト j-fashion journal(237)

1.世界で活躍するBABYMETAL

 日本人のアイドルグループが日本で人気を集めるのは珍しくないが、海外で人気を勝ち取ることは非常に困難だ。しかし、それをなし遂げたアイドルグループがいる。BABYMETALである。
 主な実績を紹介しよう。
 2014年2月に発売された1stアルバム『BABYMETAL』は、iTunes Storeにて7ヵ国のロックアルバムチャートでベスト10に入り、米ビルボードの総合アルバムチャートに日本人最年少でランクインした。3月には、日本武道館で単独公演を行う。これが平均年齢14.7歳での開催ということで、女性最年少記録となった。
 2014年7月より、フランス、ドイツ、イギリス、アメリカ、カナダ、日本を巡る初のワールドツアーを開始。同月、「Sonisphere Festival UK」ではメインステージに出演。7月中旬には、英METAL HAMMERが主催したトーナメント方式のネット投票企画「HEAVY METAL WORLD CUP」に日本代表として選出され優勝。7月下旬から8月上旬にかけて、レディー・ガガの北米ツアーにオープニングアクトとして同行した。

 2015年5月より、メキシコ、カナダ、アメリカ、ドイツ、フランス、スイス、イタリア、オーストリア、日本、イギリスを巡る2度目のワールドツアーを開始。同月、アメリカの「Rock On The Range 2015」、ドイツの「Rock im Revier」などに出演。海外レーベル(インディーズ)のearMUSIC、RALと契約し、欧米でCDの販売を開始した。
 6月、英ケラング!が主催する「KERRANG! AWARDS 2015」の「THE SPIRIT OF INDEPENDENCE AWARD」を日本人で初めて受賞した。
 8月、イギリスで開催された「レディング&リーズ・フェスティバル 2015」のメインステージに史上最年少で出演。2日間でのべ9万人を動員した。
 2016年4月1日、2ndアルバム『METAL RESISTANCE』を世界同時発売、オリコン週間チャートで2位となり自己最高位を更新。全英総合アルバムチャートで15位を記録し、日本人の最高位を41年ぶりに更新、オーストラリアのARIAによる総合アルバムチャートでは日本人初のチャートイン、7位となった。全米総合アルバムチャートでは日本人として坂本九の『Sukiyaki and Other Japanese Hits』以来53年ぶりにTOP40入りとなる。
 翌日から、イギリス、アメリカ、スイス、オーストリア、オランダ、ドイツ、フランス、日本を巡る3度目のワールドツアーを開始。初日のロンドンではウェンブリー・アリーナで日本人初となるワンマンライブを開催、約1万2000人を動員し、同会場におけるグッズ販売の売上記録を更新した。また、同月5日にアメリカCBSのトーク番組「ザ・レイト・ショー・ウィズ・スティーヴン・コルベア」に出演し、「ギミチョコ!!」のスタジオライブを披露した。
 音楽業界、ヘビメタファンの間では、「BABYMETALはまやかし」などと論争が起きたらしいが、この結果を見る限り、本物と言われた人たちさえ到達できなかったステージに昇りつめたことは間違いないだろう。

2.BABYMETALはコンセプトだ

 私にとって、BABYMETALはコンセプトだ。しかも、とても斬新かつ効果的なコンセプトである。
 日本企業も世界市場に進出しようと、様々な試みが行われているが、BABYMETALほどの成功は見たことがない。私たちは、謙虚にBABYMETALに学ぶ必要があるのではないか。
 BABYMETALは、日本語で歌っている。「海外市場だから英語で歌わなければダメ」というのは思い込みかもしれない。外国人が日本語のJ-POPや歌謡曲を聞いて、その音の美しさに感動し、日本語を習うようになったという事例は少なくない。
 世界市場が求めているのは、西欧風のコンテンツではない。日本オリジナルのコンテンツだ。これは音楽に留まらず、飲食も同様だろう。勿論、ファッションも同様だ。
 BABYMETALは、10代の少女ユニットだが、ライブではバックバンド「神バンド」が加わる。彼らの演奏テクニックは非常に高度で、ライブのクオリティを高めている。
 もし、BABYMETALの楽曲を普通のアイドル調にアレンジしたら、これほどの話題にはならなかっただろう。また、神バンドがどんなに超絶テクを持っていたとしても、彼らだけでは、海外フェスで観客を熱狂させることはできなかっただろう。正に、大人と子供がWIN-WINの関係になっているのだ。
 両者が組み合わさったことで、意外性とインパクトが生まれた。悪魔のようなメイクの神バンドとカワイイBABYMETALのイメージ。激しいヘビメタのサウンドと少女の歌声。全てが相反し、異質なものが一つのステージに凝縮している。それを目の当たりにした観客は戸惑い、その後に熱狂する。ある意味で規範が外れるというか、たがが外れてしまうのだ。
 「クールジャパン」と評価されるものは、キリスト教的な価値観から見ると、どこかインモラルな匂いがつきまとっている。BABYMETALも同様だ。インモラルで危ういイメージの中にいながら、しっかりとした技術で健全な作品として成立している。
 ファッション業界でも、若者の感性が色濃く反映されたファッションが登場することがある。しかし、そこに神バンドが加わり、完成度の高いステージを構築することはない。才能のあるデザイナーは資本力や経営ノウハウがない。マーケティングもプロモーションも素人だ。したがって、大きく成長することができない。
 既存の企業は斬新なコンセプトがない。西欧のファッションをコピーしているだけである。しかも、それが正当だと思い込んでいる。
 「BABYMETALはまやかし」という音楽業界の論争もそれに似ている。伝統や、何かの様式にはまらないモノは、「まやかし」と定義して安心しているのだ。
 私から見たら、BABYMETALはオリジナルである。しかも、その背景には伝統的、現代的な日本文化を存在している。西欧のコピーの方がまやかしであるとも言えるのではないか。
 
3.ファッションにおけるBABYMETAL的アプローチ

 異質なコンテンツの組み合わせ。世代を超えたチーム作り。そして、日本独特の文化を表現すること。ファッションにBABYMETALのようなコンセプトを取り入れることは不可能だろうか。
 ファッションの分野で、日本オリジナルのコンテンツとは何か。伝統的な世界でみれば、きものの世界がある。
 もう一つは、サブカルチャーだ。ゴシック、ロリータ、ビジュアル系バンド、コスプレ等は、日本独自の世界観である。
 コンテンツを支える技術で日本のレベルが高いのは、紡績、テキスタイル、パターンメーキング、一部の高度なニット、高度な縫製だろうか。
 通常、ファッション分野の高い技術は西欧をルーツとするコンテンツで活用される。日本独自のコンテンツは、西欧のコンテンツより下に見られているからだ。
 しかし、海外市場を狙うのであれば、日本独自のコンテンツを、日本独自の高い技術で表現することが求められる。
 しかも、世界の人が驚くような意外性とインパクトを持っていなければならない。海外の展示会に出せば、間違いなく話題を集める作品に仕上げなければならないのだ。
 例えば、マンガやアニメのコンテンツをテキスタイルデザインに反映させるプロジェクトはどうだろう。テキスタイルのプロとプリントデザインのプロが参加することにより、マンガという異質のコンテンツが日本オリジナルのテキスタイルデザインになるのではないか。
 日本国内で売れることを考えると、キャラクター商品のようなイメージになってしまうが、現代アートのようなアプローチが必要だと思う。ここに大人の知恵が必要とされる。
 あるいは、「きもの」と「メンズスーツ」を組み合わせる。きものの柄を高級な仕立てでメンズスーツにする。勿論、ポリュームにはならないだろうが、オンリーワンにはなり得るし、日本マニアにはアピールできるだろう。
 これまで、我々はあまりにも「売れる」ということにこだわっていたのではないか。そのことが、商品のコモディティ化を招き、市場の活力をそいでしまったのだ。ファッションの役割の一つに、「世の中に衝撃を与える」ことがあるのではないか。それができるのは日本なのかもしれない。

*有料メルマガj-fashion journal(237)を紹介しています。本論文は、2016.6.6に配信されたものです。リアルタイムでの講読をご希望の方は、http://www.mag2.com/m/0001355612.htmlよりお申し込みください。

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