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January 04, 2017

今更聞けないニットのセミナー j-fashion journal(231)

1.ますます重要になるニット

 ニットファブリックのジーンズが流行している。ジーンズに使われるデニムは固いので、足を締めつけ、血流を阻害する。外見は好きでも、苦しくて履けないという人も多い。特に、高齢になると、皮膚も敏感になり、若い頃のようにスリムなジーンズを履くのは大変だ。外見からは、ほとんど布帛のデニムと変わらないジャージーのジーンズは軽くて動きやすい。とても快適である。
 多くのジャージーは、丸編み機で編まれたニットファブリックである。組織は横編みと変わらない。どちらもループで組織を構成したテキスタイルだ。
 織物は、タテ糸とヨコ糸で構成されているのでタテヨコには伸びない。ニットはループで構成されているので、縦横に伸びる。
 カットソーをニットに含めれば、ニットがより重要に感じられるだろう。それにも関わらず、ニットに関する知識、ニット製品の企画生産について知っている人は非常に少ない。

 その原因の一つは、教育にある。ファッション専門学校の前身は洋裁学校である。洋裁とは、生地を購入し、パターンを引き、仮縫いや縫製することである。ニットはその対象ではない。
 私は、アパレル、ファッション流通に関わる人は、ニットの知識を深めるべきだと思う。最低でも、ニットの基礎知識は理解していなければならない。 
 
2.ニットデザイナーとニッター

 ニットの企画は、糸から始まる。糸を選び、染色の指示をする。編み機、ゲージを選び、組織と配色を指示する。ここまでは、編み地を作る仕事であり、テキスタイルデザイナーの領域である。
 次に、製品のデザインを決定し、寸法を指示書で示す。これはデザイナーとパターンナーの仕事だ。
 ニットデザイナーとは、テキスタイルデザイナーとファッションデザイナー、パターンナー、生産管理までをこなすマルチな職業である。
 ニッターは、ニットファブリック、あるいは、ニット製品のメーカーだ。基本的に、横編みではセーターなどの製品を作る。編み立てからリンキングまで縫製までを行う。
 丸編みは、ジャージーやスウェット地と呼ばれるニットファブリックを作る。こちらもニッターと呼ばれる。
 それを裁断、縫製するのが、カットソーメーカーである。カットソーメーカーと丸編みのニッターは密接に連携しており、アパレルは、カットソーメーカーに製品を発注すれば良い。
 基本的に、横編みもカットソーも、製品発注である。布帛のように、生地を仕入れ、それを縫製メーカーに加工賃を支払う必要はない。
 もし、私がアパレルを起業するなら、ニット製品からスタートするだろう。極論すれば、ニットデザイナーを一人確保し、一社のニッターと取引ができればビジネスをスタートできるからだ。
 
3.東京ニットファッションアカデミーとピッティフィラーティ

 マルチなニットデザイナーを育成する教育機関が少ない理由は、ニットに詳しい教育者が少ないことと、ニット編み機等の設備投資が大きいことだ。
 そして、日本国内のニッター、ニットアパレルが減少したことで、就職先が少なくなっている。
 そんな中で孤軍奮闘しているのが、東京ニットファッションアカデミーである。この学校は、個人立の学校であり、少数精鋭主義を貫いている。職業意識の薄い人は入学を認めず、大卒や社会人で職業意識の高い人を中心に入学を許可し、100%の就職を実現している。また、授業料の設定も独特だ。奨学金の範囲で収まる金額の授業料を設定しているのである。就職できるのだから、奨学金は返せるという考え方である。
 機械設備も島精機の編機を導入しており、糸から製品までの一貫生産ができるようになっている。
 学校長の師田範子さんは、数少ないニットデザイナーの一人であり、ニット教育の実践者でもある。私が知る限り、ニットに関しては、日本国内で最高レベルの教育を実践している。
 今回、師田先生と意気投合し、ニットのセミナーを開催することになった。
 師田先生は、毎年イタリアの糸とニットの展示会、ピッティフィラーティに視察に行っている。残念ながら、この展示会を定期的に通っている日本人はごく少数だ。それにも関わらず、これまではセミナーを公開することもなく、展示会の写真を業界の関係者に無償で送付していたとか。
 あまりにも勿体ない話なので、ピッティフィラーティの展示会レポートとニットトレンドのセミナーを開催することにしたのだ。こちらでは、数多くの写真をDVD-ROMで配布する予定だ。

4.ニットの基本を伝えるセミナー

 ピッティフィラーティのセミナーに加えて、ニットの基本セミナーも開催したいと思っている。こちらは、一般のアパレルデザイナー、バイヤー、販売員等を対象に、ニットの基本を教えるというものだ。
 但し、ニットの講義は技術的になりがちなので、実物の見本を添付した教材を配布し、実際の糸、編み地を見ながら、解説したいと思っている。
 ニットの基本は、まず糸とゲージの関係を知る必要があるだろう。ニットは糸の質感そのものが製品になる。ざっくりと太い糸で編まれたセーターは、糸そのものに包まれる感触がある。また、細い糸で緻密に編まれたニットは布帛のような質感を見せる。
 一台のニット編み機は、特定のゲージのニットしか編めない。太い糸は粗いゲージの編み機、細い糸は細いゲージの編み機でしか編めないのだ。そのため、糸とゲージの関係を知ることがニット企画の基本となる。
 次に、ニットの編み組織を知らなければならない。平編みは、メリヤス編み、天竺編みとも呼ばれる最も基本的な編み組織だ。これを表で使うか、裏で使うかによって表情が変わる。
 セーターの裾や袖口に使われるのがリブ編み、ゴム編みである。
 その他に、畦編み(方畦、両畦)、鹿の子編み。ミラノリブ。レース編み、アイレット編み。ケーブル編み。シングルジャカード編み、ダブルジャカード編み。インターシャ編み等がある。
 ここまで理解できれば、ニットに詳しいと言われるようになるだろう。ニッターと話し合いながら商品開発をする最低限の知識でもある。
 その他に、リンキングやロックミシンによる縫製の知識。
 製品のデザイン、ディティール、アイテム等について解説もしたい。これが分かれば、バイヤーにも役立つだろう。
 私たちは、一人でも多くの人にニットについて知っていただきたいと思っている。それにより、高度なニット製品が求められ、ニットの技術が向上することを期待して。(本ニットセミナーは、2016年8月20日に東京ニットファッションアカデミーにおいて実施されました)

*有料メルマガj-fashion journal(231)を紹介しています。本論文は、2016.4.25に配信されたものです。リアルタイムでの講読をご希望の方は、http://www.mag2.com/m/0001355612.htmlよりお申し込みください。

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