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December 26, 2016

バリエーションからディレクションへ j-fashion journal(228)

1.品揃え型専門店とデザインバリエーション

 昔、ファッション専門学校の学生だった頃、服飾事典が私のデザインソースだった。当時は、そういう学生が多かったようで、装苑賞候補作品を見て、「あ、これ服飾事典の写真にあった」と思うことも多かった。
 当時のオートクチュールメゾンもデザインソースは、服装史と民族衣装が中心だった。「ファッションデザインを学ぶなら、服装史と民族衣装を学ばなければならない」と言われたものだ。多くの学生は、ファッション雑誌をデザインソースにしていた。雑誌を見ながら、発想を膨らませ、デザイン画を描く。
 デザインソースと、自分の発想は相互に働く。同じ写真を見ても、ピンと来る人と来ない人がいる。あるいは、同じ写真でも、人によって注目する部分が異なる。景色に注目する人もいれば、小さな人影に注目する人もいる。写真から着想を得て、オリジナルデザインが浮かび、その人の着想で写真を選ぶ。
 このように、多くのものからイメージを得て、更に多くのデザインを生み出す。この手法は、デザインバリエーションを膨らませるのに役立つ。

 かつてのアパレル企業は、展示会をベースにしたビジネスを展開していた。多彩な商品を陳列し、小売店バイヤーに好きな商品を選ばせる。当時の小売店は、品揃え型専門店が主流であり、シーズンの立ち上がりに幅広い品揃えを行い、その中から売れ筋を見つけ出し、実需期には商品を絞り込んで奥行きを追求していた。
 バリエーションを広げる企画手法は、品揃え専門店を対象にした展示会に対応したものだった。
 
2.SPAとディレクション

 80年代に急成長したDCブランドの時代から、ブランドイメージ訴求と差別化が重要になった。
 イメージをまとめるには、一人の人間のフィルターを通すことが効果的である。DCブランドや欧米のブランドは、スティリスト(デザイナー)、アートディレクターやクリエイティブディレクターという人がブランドイメージの統一、シーズンテーマの設定を行う。
 日本ではDCブランドからSPAに転換するにつれ、店頭を起点に商品企画を行うようになった。
 展示会モデルのようにデザインバリエーションを広げることは、ショップのイメージが散漫になる。ショップ全体でブランドコンセプトとシーズンテーマを表現するには、商品群がブランドコンセプトとシーズンテーマのイメージでまとめなければならない。
 ビジネスモデルの変化により、商品企画はバリエーションからディレクションへと変化した。それに加え、店頭の設計が重要になった。すなわち、SKUの設計、VMD等である。
 
3.ファストファッションとトレンドディレクション

 ファストファッションとは、ファストフードのように手軽にトレンドファッションを展開する業態である。
 様々なトレンド情報を収集、分析し、それを商品企画に反映させる。
 カラートレンド、テキスタイルトレンド、コレクショントレンド、市場トレンド等を収集し、分析することから、商品企画が始まる。
 トレンドをいくつかのテーマに分類し、それを基に商品企画を進める。但し、ファストファッションも店舗販売を基本にしているため、イメージの統一が必要である。
 そこで、複数のトレンドテーマからシーズンテーマを選び出し、そこからイメージを広げていく手法が生まれた。あるいは、シーズンを細分化し、シーズン毎に異なるテーマを設定していく。
 この手法は、日本のSPAと共通している。但し、日本のSPAが日本国内市場だけを対象にしているのに対し、ファストファッションはグローバル市場を対象とし、商品調達もグローバルに行っている。そのため、コスト競争力が高く、日本市場においても急成長を達成したのである。
 
4.インターネット販売とスペック&キーワード設計

 現在は、店頭販売からインターネット販売へと販売チャネルが変化しつつある。店頭を起点にしていた商品企画手法は、WEB起点に転換しなければならない。
 WEBでは検索ワードが重要になる。トレンド情報でもワードが重要になり、顧客がどんなワードで検索するかを分析しなければならない。
 最近、コンビニスイーツ等でトロトロ、モチモチ等の擬音的な修飾語が増えている。アパレルでもフワフワ、モコモコ等で語られるケースが増えている。また、コーディガン(コート+カーディガン)、スカンツ(スカート+パンツ)、テレンチ(テレテレ+トレンチ)等の新語が次々に登場しており、それにも対応しなければならない。
 店舗販売ではスタイリング、トータルコーディネート訴求がポイントだったが、ネットでは単品のスペックが重要になる。
 同時に、圧倒的な資本力を持つファストファッションの存在を前提に考えなければならない。ファストファッションでは扱っていない、サイクリングウェア、レインウェア、パジャマ、インティメイト等が有望視されている。
 こうした単品訴求では、素材、テキスタイル、カラー、ディティール等のスペックが重要になる。そうなれば、スペック設計とキーワード設計が商品企画の中心になっていくのかもしれない。
 企画手法は、ビジネスモデルの変化に対応しなければならない。商品だけを変えるのではなく、常に組織、業務フローの見直しを行うことが求められる。

*有料メルマガj-fashion journal(228)を紹介しています。本論文は、2016.4.4に配信されたものです。リアルタイムでの講読をご希望の方は、http://www.mag2.com/m/0001355612.htmlよりお申し込みください。

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