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October 10, 2016

パターンを軸としたアパレル企画コンサルティング j-fashion journal(218)

1.パターンの重要性

 イタリアではモデリストをシェフに例える。シェフは食材を選び、メニューを決め、レシピを考え、調理をして、盛りつける。全ての工程を一人で行う。
 ファッションで言えば、クチュリエに相当する仕事だ。クチュリエとは、オートクチュールのデザイナーであり、仕立工房の親方である。お針子から修行し、型紙、デザインを担うようになる。最終的には、顧客と話し合い、デザインを提案し、職人チームを指揮して、作品を仕上げる。
 オートクチュールからプレタポルテになり、クチュリエの仕事は、スティリストとモデリストへと分かれた。スティリストは、生地を選び、デザインを行う。モデリストは、スティリストのデザインを立体にするためのパターンを制作し、縫製仕様を決定し、縫製工場とやりとりをしながらアパレル製品を完成させる。
 多くの場合、ステリィストは才能あふれる若い世代が多く、モデリストは技術を積み重ねたベテランが多い。どんなデザインが出てきても、そのブランドにあった服に仕上げるのがモデリストの役割である。

 そのため、欧米ではモデリストを非常に重用する。一方、日本のアパレル業界はモデリストの仕事が軽く見られている。というより、モデリストという職種が定義されておらず、未だに、デザイナーの指図の元にパターンを作成するパターンナーという職制から脱していない。欧米のモデリストが、スティリストと対等な専門職であるのに対し、日本のパターンナーは、デザイナーのアシスタント的な位置づけに留まっているのだ。 
  
2.パターンの統一感

 パターンメーキングは、ブランドイメージを決定する重要な要素である。しかし、パターンの知識がない人にとっては、パターンの善し悪しや、完成度を評価することができない。
 また、パターンは技術だけでなく、嗜好にも影響を受ける。同じスタイル画を基にパターン引いても、女性的な柔らかい線を好むパターンナーと、男性的なダイナミックな線を好むパターンナーがいる。勿論、両者のパターンには差が出てくる。
 欧米では、チーフのモデリストがマスターパターンを作成し、それを基本にアシスタントが展開する。その場合も、変えては行けないラインが明確に設定される。勿論、全てのパターンはチーフがチェックする。そのため、一つのブランドの全ての服のシルエットには統一感がある。
 しかし、日本のアパレル企業は、複数のデザイナーと複数のパターンナーが存在し、欧米ほどチーフとアシスタントの仕事が明確に規定されているわけでもない。そのため、同じブランドでも、様々なシルエットの服が出てくる。
 一部のアパレルでは、企画段階のパターンナーと生産段階のパターンナーが分けられており、量産する際にはゆるみをコントロールしているが、これは少数派である。
 現在は、企画会社が提案するサンプルを買いつけるだけのアパレル企業も増えている。こうなるとブランドの個性が服に表現するという発想そのものが希薄になっているに違いない。服は売るための「タマ」に過ぎないのだ。

3.パターンの客観的評価

 日本のアパレル企業は、チーフモデリストの職制が構築できていないので、同一ブランドの商品のパターンに統一感を持たせたり、商品全体のシルエットをコントロールすることが少ない。
 また、企画会社への依存が高くなるにつれ、企業内パターンナーが削減される例も多い。長年、カジュアルなトレンドが継続しているので、装飾的な服や、構築的な服のパターンを引ける人が少なくなっている。
 現在、ヨーロッパのトレンドは装飾的な方向に動いているが、このトレンドに対応できるパターンナーは少ない。
 パターン機能の低下は、中国アパレルなどアジアのアパレルにも共通している。中国アパレルも人件費の上昇と共に、付加価値の高い製品やステイタスの高いブランドを目指す動きが強まっている。
 実際に、中国の大手アパレルがブランドリニューアルのために、日本のパターンメーキング会社に協力を求めている。中国アパレル企業のアプローチは、消費者アンケートと共に、定番パターンを客観的に評価し、新たな基本パターンを作成しようというもの。パターンを客観的に評価することは非常に難しい。パターンはパターンナーの個人的技術に依存しているので、個人的な評価になりがちなのだ。
 客観性を求めるには、パターンについて客観的に議論し、試行錯誤する訓練が必要である。例えば、共通のトレンド情報を元に、何人かのパターンナーが議論し、オリジナルパターンを製作する。こうした訓練によって、個人の嗜好を超えた客観性が議論できるようになるだろう。 
 
4.パターンを軸としたコンサルティング

 服はパターンとテキスタイル、仕立てによって決定する。
 テキスタイルは、優秀なテキスタイルメーカーと組むことで確保することが可能だ。優秀なテキスタイルメーカーには、優秀なテキスタイルデザイナーがいる。
 縫製仕様や仕立ては、パターンナーと工場の技術者の話し合いによって決定する。縫製工場の技術者レベルが非常に重要である。
 デザイナーの仕事とは、テーマを決定し、テキスタイルを選び、パターンナーと共に最適なパターンを作り、魅力的な製品サンプルを作ることである。
 ブランディングはブランドイメージが問われるので、製品ばかりでなく、広告宣伝、ショップデザイン、グラフィックデザイン等が重要になる。これらの要素をコントロールするのも、デザイナーの仕事である。
 昔のデザイナーは、服を作る仕事が主体だったが、現在はイメージコントロールがより重要になっている。逆に言えば、製品のコントロールはモデリストが担っていると言ってもいい。と言うより担うべきである。
 マーケティング戦略も最終的には、パターンを通じて製品に反映される。顧客ターゲットの設定によって、パターンも変化する。従って、パターンメーキングはブランドイメージにや直結するのである。
 ブランドロゴやバッグなどは、全世界共通で良いが、洋服のシルエットについてはローカライズが必要である。民族や居住地域、年齢等によって体型にバラツキがあるからだ。洋服に関しては、各地域の顧客の体型に対応しなければならない。しかも、ブランドイメージを損なわずに、サイズグレーディングを行い、体型の違いをカバーすることが求められる。
 つまり、ブランディングに関しては、パターンメーキングを軸にしたコンサルテンィグが有効であり、マーケティング戦略においては、グレーディングを軸にしたコンサルティングが有効であるということだ。
 これらのメニューは、日本だけでなくアジア市場でも有効であると考えられる。

*有料メルマガj-fashion journal(218)を紹介しています。本論文は、2016.1.18に配信されたものです。リアルタイムでの講読をご希望の方は、http://www.mag2.com/m/0001355612.htmlよりお申し込みください。

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