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August 16, 2016

アパレルがファッションでなくなった年 j-fashion journal(215)

1.ファッションとは何か?

 私なりに「ファッション」を再定義してみた。これまでの、ファッションは流行、ファッションはラライフスタイルという定義には違和感を覚えていたからだ。

 私の「ファッション」の定義は以下のようなものだ。
 「ファッション」とは、「革新(イノベーション)とデザインにより、人々のライフスタイルに動き(ムーブメント)をもたらすモノやコト」の総称である。
 
 大昔、ショルダーフォンが出た時、真っ先に使った人や用例を紹介したメディアは、人々のライフスタイルに変化を与えた。当時のショルダーフォンはファッションだった。しかし、それが定着した段階でファッションではなく、単なる機能商品になった。
 携帯電話が小型化し、デザインバリエーションが増え、シーズン毎に新作が出るようになって、ケータイはファッションになった。現在はスマホがファッションであり、ガラケーはファッションの要素が減少している。

 ファッション産業とは、「ファッション」を継続的に創造し、ムーブメントを引き起こす産業である。飲食、インテリア、アパレル、雑貨等全てが含まれる。
 それなら「ファッションはライフスタイルである」ということになるが、スタイルとは様式である。変化しないことがスタイルなのだ。一定のスタイルを頑なに守る人やそのスタイルはファッションではない。しかし、でそのスタイルを知らなかった人が、自分なりに新たなスタイルを発見し、それを取り入れることで、自分のライフスタイルが変われば、ファッションになる。スタイルの変化をもたらすことがファッションであり、スタイルそのものはファッションではない。ファッションのポイントは、変化とデザインとムーブメントである。
 繊維産業は、綿(わた)、糸、織物、編物、染色加工、縫製等による繊維製品を生産、流通、販売する産業であり、変化、デザイン、動きとは直接関係ない。同じ糸を作り続けること、同じユニフォームを作り続けることは、繊維産業だが、ファッション産業ではない。
 ファッション産業は、素材や商品の種類によって規定されない。広告、エンターテインメント、レジャー、リゾート、教育、建築等のあらゆる業種業態が、時代の変化に対応し、革新とデザインにより、人々の暮らしにムーブメントを起こせばファッションになり、それが継続的な活動になればファッション産業の範疇に入ると考える。
 以上のように定義を変えれば、ファッションは常に時代の先端を行く存在であり、現在のアパレルがファッションと言えるかは微妙になる。

2.ファストファッションはファッションか?

 ファストファッションはファッションだろうか。流行を素早く取り入れ、低価格で販売する。そのことが、新興国の中間層のライフスタイルを変え、先進国のファッション意識とファッション市場を変えたのだから、間違いなくファッションである。
 ユニクロも原宿店がオープンした頃は、明らかに人々のワードローブに大きな影響を与え、ライフスタイルを変えた。従って、ユニクロもファッションだった。
 しかし、ファストファッションのショップが増え、トレンド変化に人々が驚くこともなくなった。最早、完全にワードローブの一部として定着したと言える。こうなると、最早ファストファッションはコモディティ商品であり、ファッションの要素が減少してくる。
 ファッションとは、個人の感情を動かし、社会を動かすことである。毎年、人々の感情を動かす工夫がトレンド情報だったが、次第にこの魔法は効力を失っている。みんなが一斉にトレンドを追いかけてしまうと、その変化さえも見慣れたものとなり、ありふれた日常になってしまうからだ。
 最早、トレンドを追いかけても付加価値はつかない。つまり、価格に反映できないのである。
 
3.和食がファッションになった

 定期的に新作が出て、新作が出る度に人々が驚き、こぞって買い求める商品こそファッション商品である。
 その基準で見ると、現在の日本市場においては、ラーメン、デパ地下スイーツ、パンケーキ、ポップコーン等がファッション商品と言えるだろう。スマホ、タブレットも次第にコモディティになりつつあるが、それでもファッション的要素は存在している。
 グローバルに見れば、「和食」がファッションになったと言えるかもしれない。日本の美味しい食材、独自の調味料、日本酒や発酵食品等が「健康志向」とも相まってファッションになっている。
 更に拡大解釈すれば、「日本」「日本文化」がファッションになったとも言えるだろう。伝統的な文化からアキバのポップカルチャー、あらゆるジャンルのオタク文化がファッションになろうとしている。
 オタクは、日本国内ではごく小さな市場に過ぎないが、海外に目を転ずれば、何もない地域にオタクを生み出し、市場を生み出したのだから、明らかにファッションである。
 日本のアパレル業界では、ほとんどの企業が欧州のトレンドを追いかけている。これはファストファッションと変わらない。現代という時代においては、限りなくコモディティに近づいている。
 真のファッションは、日本文化に根ざし、独自の変化を継続し、海外に新たな市場を生み出しているジャンルだろう。
 その意味では、浴衣はファッションに近い。しかし、変化を続ける仕組みと、デザインを価格に反映させる仕組みを持っていないので、ファッションになりきれていない。浴衣をファッションにすれば、世界に発信できると思う。
 
4.あらゆる業種業態をファッションに変えよう!

 アパレル産業はコモディティ産業になってしまった。ファッション産業に戻すには、思い切った変革が必要になる。
 例えば、トレンドを後追いしたのではファストファッションになってしまう。また、原価率ありきの価格設定も通用しなくなっている。原価を抑えることは、テキスタイルや縫製の質を落とすことを意味する。これもファストファッションの常識ではあるが、コモディティ化の一因にもなっている。
 ファッションとはイノベーション、デザインにより、パーソナルとソーシャルの双方にムーブメントを与えることである。そして、それを継続することでビジネスと産業が生まれる。
 例えば、オタクはファッション化しつつある。かつてのオタクは小さなコミュニティ内で完結していた。しかし、最近はSNSによって、情報が爆発的に一般化していく。
 例えば、戦国武将や日本刀に興味を持つ人が増えている。もし、このムーブメントにデザインとイノベーションが加われば、ファッションになるだろう。
 例えば、戦国武将や日本刀を表すシンボルデザインを創造し、それを商品化して発表する。あるいは、戦国武将をテーマにした飲食店をプロデュースする。あるいは、ブランド化する。
 こうしたアプローチは、鉄道マニア、工場マニア、廃墟マニア、猫マニア、うさぎマニア等々、どんな分野にも応用できるはずだ。
 ファッションビジネスとは、あらゆる業種業態をファッション化することではないだろうか。
 そのノウハウはアパレル業界の中に潜んでいると思う。コレクションと批評、メディア、ショップ、テキスタイルと色彩、モチーフ等々な要素の中にニューヒジネスのヒントが隠されている。

*有料メルマガj-fashion journal(215)を紹介しています。本論文は、2015.12.28に配信されたものです。リアルタイムでの講読をご希望の方は、http://www.mag2.com/m/0001355612.htmlよりお申し込みください。

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