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June 18, 2016

ファッションは大人を救う! j-fashion journal(200)

1.リタイヤカジュアルの提案

 大学生が就職活動時に着ていくのがリクルートスーツ。なぜか、入社するとフレッシュマンスーツとなる。
 それから、年齢と立場が上がるにつれ、スーツも変化していく。大手企業になると、「部長になったらAテーラーでオーダー」「役員になったらSテーラー」のように決まっているケースもあるとか。
 サラリーマンにとって、スーツはビジネスユニフォームであり、会社のステイタスを表す看板であり、自分のアイデンティティを表現する名刺でもある。
 こうしたビジネススーツについては、それなりに勉強を重ねているのだ、定年後のファッションには無防備な人が多い。ある日、とつぜん定年となり、送別会が行われ、花束と共に帰宅する。
 翌朝、起きると愕然とする人が多いという。私は何を着て、何をすればいいのか。何日か何もしないと、奥さんに邪魔にされ、「何かすることないの?」「どこかに行ってくれば?」と言われる。

 私は、定年後こそファッションが重要になると思っている。そして、ファッションに気を使うことが、定年後の人生の方向を決めることになる。
 定年になってもスーツ以外に着る服がないという人もいるだろう。持っているのは、スーツとゴルフウェア、ジャージーだけ。仕方ないから、「ユニクロにでも行って、何か見繕うか」ということになるが、行ってみると、何をどのように選んでいいのか分からない。
 私は、スーツからいきなりジーンズカジュアルに移行するのは難しいと考えている。落差が大きすぎるのだ。できれば、スーツから少しずつドレスダウンしていくことを勧めたい。
 まず、基本となるパンツを決める。学生時代を思い出して、いきなりジーンズを選ぶのは危険だ。といって、ゴルフパンツを街ではくのもおかしい。
 私が勧めたいのは、まず、ドレスカジュアル、ビジネスカジュアル等と呼ばれているスタイルに移行することだ。とりあえず、「ランズエンド」「エディバウアー」から選べば間違いないと思う。
 最初にパンツから選ぼう。ノーアイロン(リンクルフリー加工)・チノパンツがお勧め。最初だけショップに行って試着し、自分のサイズを確認すれば、その後はネットで購入することもできる。ノータック、ワンタック、ツータックは自分の体型と好みで選べばいいが、販売員に相談するのも良いと思う。
 パンツの色はベージュ系を基本にする。そうすれば、靴はブラウン系で良い。
 ビジネススーツの時には、黒の革靴が多かったと思うが、思い切ってカジュアルなブラウンの革靴に替えよう。革製のウォーキングシューズも履きやすいものだ。
 ソックスは、コットンを基本にする。しかし、学生時代のような真っ白いソックスは避けよう。見える面積が小さいので、キレイな色を選んが方がお洒落なイメージになる。ボーダーや柄物も楽しいものだ。
 これで下半身は決まったので、次は上半身である。わたしみジャケットを着ることを基本にした方が良いと思う。スーツからジーンズカジュアルに行くのではなく、カジュアルなジャケットを合わせるスタイルを基本にする。
 デザインは、シングルのテーラードジャケット。春夏から、綿、麻を中心に。秋冬は、コーデュロイ、ツイード、ウール混、起毛した綿など。カラーは、ネイビーを基本として、ブラウンのバリエーション。深みのある赤、グリーンも良い。気をつけるのはグレーだ。グレーはとてもお洒落な色だか、コーディネート次第では年寄り臭くなってしまう。
 次にシャツを選ぶ。ビジネススーツの下に着るのは、無地のブロード生地か、白地のストライプのレギュラーカラーが基本だが、ここでもイメージを替えたい。
 デザインはボタンダウンを基本にする。ブロード生地ならチェック。厚手のオックスフォードなら、無地、ストライプも良い。
 ここで注意したいのは、いきなりデニムやダンガリーに行かないということだ。
 以上のコーディネートができれば、ジャケットの代わりにレザージャケットを合わせたり、ニットを合わせるとこで、更にドレスダウンになる。
 少し改まったパーティーに行くなら、ZARA、H&Mで、ベルベットのブレザーや、タキシード風のジャケットを探すことをお勧めしたい。
 最初に、基本的なコーディネートを選び、ある程度慣れてから、ジーンズアイテムを加えることは問題ない。大切なことはスーツから少しずつドレスダウンしながら、自分に似合うファッションを選び、コーディネートのトレーニングをすることである。
 定年になった直後に、とりあえず対応するファッションということで、ドレスアップカジュアル、ビジネスカジュアルを提案したが、私はこれを「リタイアカジュアル」と呼びたい。アパレル業界には、新しいジャンルを確立してほしいと思う。
 
2.どんなキャラクターを演じるか?

 本来なら、定年前の1~2年間で、定年後のライフスタイルを考えなければならない。
 定年後、会社の名刺を取り上げられた後、あなたはどんな人になりたいのか、ということである。「どんな人か」という定義には、精神的な面だけでなく、行動や外見も含まれる。
 そのイメージが固めることが、定年後の人生を充実させることにつながる。
 私は、個人の名刺を作ることを提案したい。そこに、自分の肩書を付ける。どんな肩書をつけるかは、本人の自由だ。サラリーマンなら、会社から仕事を与えられる。その生活が40年以上続くと、仕事や肩書は与えられるもの、と思い込んでしまう。しかし、私のようにフリーランスの生活をしている人間はに、仕事や肩書を与えてくれる人はいない。自分で肩書をつけて、自分で責任を負うのだ。
 例えば、「コンサルタント」という職種は便利だ。欧米では、組織に所属しないて活動している人は、皆,コンサルタントである。だから、コンサルタントと名乗るのに何の資格もいらない。自分はプロのコンサルタントなのだ、というプロ意識があればいい。
 ある著名なコンサルタントは、こう語っていた。「私がコンサルタントと認める最低条件は、単独で本を書いて、出版することだ」
 確かに、文章を書くというのは、一つの条件になるだろう。紙の本を出版社から出すのは大変だが、電子書籍なら自由に出版できる。しかも、文章も短くていい。
 文章が苦手な人は、自分でテーマを決めて、10~20分程度ビデオカメラに向かって、しゃべり、それをYoutubeにアップするという方法もある。そのリンクをブログに張れば、立派な作品になる。
 コンサルタントより柔らかいイメージを好むならば、「研究家」というのはどうだろうか。日本酒が好きならば、「日本酒研究家」という肩書を名刺に書いて、日本酒のブログを立ち上げる。文章が苦手ならば、日本酒の一升瓶の写真だけをアップしても良いと思う。そして、簡単な印象や感想を書くだけでも、研究家としては十分ではないか。
 「アナリスト」は分析家という意味だが、これもよく分からない職業だ。証券会社のアナリストというと、プロフェッショナルなイメージだが、自分の趣味の内容を分析して、アナリストと名乗るのは自由だ。
 最近、私が驚いたのは「女装家」という肩書だ。つまり、何でもいいのだ。こういう人に思われたいと思えば、それを言葉にすればいいし、なんだか分からない肩書でも、初対面のつかみになればいいではないか。
 固く考えずに、自分のイメージを表現してみよう。試してみて向いていないと思えば、変えればいいし、定期的に肩書を変えてもだれも文句は言わない。
 そして、それに相応しいファッションを選ぶことで、自分の個性として固まってくるのである。

3.形から入って、幸せになる

 人間は何らかの役割を演じている。サラリーマンはサラリーマンの役割を演じ、サラリーマンに見える格好をする。芸能人は芸能人の役割を演じ、芸能人に見える格好を選ぶ。多くの場合、何かのきっかけで職業や会社を選び、その役割を演じるのだが、定年になったら自由に役割を決めて、それを演じることができるのだ。
 例えば、若い男性が「女性にモテたい」と思うのなら、女性にモテる仕事やタイプを分析して、なりきればいい。アイドルが良ければ、アイドルになった気持ちになり、アイドルを演じる。
 アイドルはどんな格好をして、どんな場所でどんな食事をするのか。それを真似して、その場所に実際に出掛ける。それを繰り返しているうちに、アイドルの気持ちも分かるようになるし、アイドルと同じ話題で話ができるようになるだろう。そして、アイドルを追いかける女性と接する機会も増えるはずだ。
 その人になりきるという意味では、「詐欺師」は手本になる。勿論、誰かを騙して犯罪を犯すことは悪いことだし、してはならない。しかし、自分で何らかの存在になりきることは犯罪ではないし、その気分になることも悪くはない。
 詐欺師はなぜ相手を騙せるのだろう。それは、自分の本心を漏らさず、何らかの役割になりきるからである。詐欺師と言うのが嫌なら、役者と言い換えてもいい。役者に憧れる女性は、役者本人の性格や人柄ではなく、演じている役に憧れる。
 人間は、大人になるまでに、様々な経験をし、教育を受け、自分を演じるようになる。それは、必ずしも、その人の本質ではないし、それで苦しむことも多い。誰も本当の自分を分かってくれないという悩みだ。しかし、誰しも、相手には自分の好ましいイメージを持つものだし、それが本質とは限らない。それをコントロールすることが、大人になるということとも言えるだろう。
 定年を迎えるような年齢であれば、アイデンティティの危機に陥らずに、何らかの役割を演じることができるのではないか。そして、その役割を決めるのは、自分自身なのだ。
 老後の生活に対して、どんな生活が幸せな生活かを具体的にイメージしよう。1年をどのように過ごすのか。1日24時間をどのように過ごすのか。どんな人と、どんな活動をするのが幸せなのか、を考えよう。そして、それを実現するのだ。まず、形から入って、幸せの形を作る。幸せな時間はそこから始まるのだ。

4.孤独から脱するファッション

 定年後に孤独感にさいなまれる人は少なくない。会社に通っていれば、同僚や部下に囲まれる。互いの役割とポジションが固まっているので、不安に陥ることはない。定年間近な時期になれば、それなりの地位にいるのが普通だ。
 社外でも、仕事上の付き合いから、多くの会社の人と知り合うはずだ。相手は、あなたの会社、あなたの肩書に敬意を払ってくれただろう。
 定年になって、それらの一切がなくなる。あなたはどんな組織にも所属していないし、肩書もなくなる。
 新たな仕事に就こうと思っても、既に自分の経験が生きるような就職先はない。あるのは、駅前の自転車整理、清掃、警備の仕事などだけだ。これらの職場の多くは、他人とのコミュニケーションがない。一日のほとんどを誰とも会話せずに、一人で作業することになる。
 そこから鬱になる人もいるし、健康を害する人もいる。そうなると、積極的に人間関係を構築していく意欲もなくなるし、家族との人間関係もギクシャクしてくる。
 こうした悪循環を防ぐには、自分が主体となることである。仕事は与えられるものではなく、見つけるものだ。就職はなくても、世の中にやるべき仕事は沢山ある。ただ、それを事業として会社経営できる人が少ないということだ。
 しかし、退職金による蓄えや年金があるのなら、収益性が低い事業を行うことは可能だ。社会的に意義のあることならば、協力や支援を申し出る人も出てくる。
 気持ちが滅入る仕事で10万稼ぐより、周囲の人に喜ばれて、2~3万円稼いだ方が精神的には救われる。もしかしたら、2万円が20万円になるかもしれない。そうした夢も出てくるだろう。
 孤独から脱するには、どこかの組織に所属することだ。組織といっても、会社だけではない。
 元気なオバサン達を見習おう。彼女たちは、若いタレントや歌手、俳優を追いかけ、そこで友達を増やし、生きがいにしている。ファンクラブも立派な組織だ。何らかの組織に所属することで、所属欲求を満足させることができる。
 経済的に余裕があるなら、再度、大学や大学院に通うのも良い。友人もできるし、新たな発見もある。
 セミナーや勉強会に出て、現役の人たちにアドバイスするのも良いだろう。都内ならば、多数の勉強会やセミナーがある。
 習い事を始めるのはどうか。社交ダンス、日本舞踊、邦楽、俳句や短歌、油絵等々。そこには、組織もあるし、仲間もいる。
 そうした組織に所属することで、ファッションも変わってくる。ファッションが変われば気分も変わるし、出会いも増えるのだ。

5.新たな出会いを生み出すイベント

 既存のイベントに参加するのも良いが、自分が主催者として新たなイベントを立ち上げるのも楽しい。
 これまでのようなサラリーマンの発想では、イベントなんて単なる道楽のように見えるかもしれない。しかし、人を集めることはビジネスの基本だ。楽しくなければ、人は集まらないのだから、何らかの楽しみを生み出したことになる。人が集まれば、スポンサーを募ったり、参加費を取ることもできる。人が人を呼ぶのだ。
 人が集まることは、様々なファションが集まることだ。現在、服が売れないのは、買った服を着ていく場がないからだ。みんなが募って、互いのファッションを褒めあうイベントができれば、需要創造にもつながる。
 しかし、最早、我々が欲しいのはビジネスではないのかもしれない。少なくとも、ビジネスを目的としたイベントは楽しくないだろう。あくまで楽しい場を作り、それが参加者の幸せを膨らませることが重要なのだ。そして、これこそが大人に求められる重要な仕事ではないだろうか。

*有料メルマガj-fashion journal(200)を紹介しています。本論文は、2015.9.14に配信されたものです。リアルタイムでの講読をご希望の方は、http://www.mag2.com/m/0001355612.htmlよりお申し込みください。

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