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May 20, 2016

クラウドファンディング的新人デザイナーコンテストの提案 j-fashion journal(195)

1.デザインコンテストの次は?

 これまで、新人デザイナーコンテストはファッションデザインコンテストだった。これは、ファッションデザイナーという職業が前提であり、ファッションデザイナーの仕事を基本にコンテストが行われたのである。
 しかし、時代は変わった。ファッションデザイナーの仕事は、服をデザインすることから、ブランド全体のクリエイティブなディレクションへと変化している。欧米では、デザイナーより、「クリエイティブディレクター」「ディレクターアーティスティック」という職業が定着し、服のデザインだけではなく、市場分析、プランニング、プレゼンテーション、マーケティング等をトータルにディレクションする仕事を担当している。
 もちろん、デザイナーという職種も存在するが、デザイナーより上位のクリエイティブな職種が生まれたということだ。
 新人デザイナーの起業が難しいのは、自分が作りたい服を作っているだけで、それがビジネスになるまでのプロセスが不在であることに起因している。好きな服を作るだけでなく、市場を分析し、予測し、コンセプトやテーマを決定し、ビジネスとしてのプレゼンテーションを行うこと。そして、投資を受けることが決定して初めて、コレクションの制作にかかれる。

 新人デザイナーコンテストを行うならば、デザインのコンテストではなく、分析、コンセプト企画、デザイン、試作、プレゼンテーシイョンまでのコンテストを行うべきだ。
 これらの要素を分割してコンテストを行うのも可能だろう。例えば、分析、コンセプト企画までを「ファッション・アイディアコンテスト」として設定する。最も簡単なコンテストならば、テキストと画像、あるいは、動画により、市場分析から、コンセプトプランニングまでを競い合う。
 次のステップは、デザイン、試作、プレゼンテーションまでを行うコンテストを設定する。こちらは、「ファッション・プロジェクトコンテスト」でも良いかもしれない。
  
2.ファッション・アイディアコンテスト

 既存のファッション・デザインコンテストは、著名なデザイナー等が審査員となり、審査する。チーフデザイナーがアシスタントデザイナーのデザインを審査するイメージだろうか。
 ファッション・アイディアコンテストは、専門家の審査だけでなく、一般消費者の審査も重要になる。ビジネスとして成功するか否かは、消費者が決定するからだ。
 ここに、クラウドファンディングの仕組みを活用する意義が出てくる。
 前述したように、ファッション・アイディアコンテストは、テキストと画像、あるいは、動画により、市場分析から、コンセプトプランニングまでを競い合う。 
 コンテスト応募者は、クラウドファンディングにプロジェクトをアップするように、自ら企画案をアップする。クラウドファンディングのプロジェクトページは、テキスト、画像、動画が挿入できるし、裏側には掲示板が設置されている。既存のシステムをそのまま活用することが可能だ。
 通常のクラウドファンディングでは、多段階にリターンを設置するが、コンテストなので、リターンは二つに絞るのはどうだろうか。
 第一のリターンは、500円で、お礼のメールと、デザイン画、イラスト、写真等のグラフィックな作品(デジタルデータ)一点を送付する。
 第二のリターンは、3千円。コンテストのオリジナルTシャツと、表彰式と懇親会への出席。席数の関係から限定数量となる。
 第三のリターンは、5万円。これは、特別に依頼する専門家審査員のみ購入が可能で、一般入札の前に行われる。審査員は、コンテスト参加者の中からベストな一人を選び、5万円を投資する。そして、講評を掲示板に書き込むことができる。審査員にはコンテスト主催団体から審査員の報酬が支払われる。
 一般に審査が開放される時には、専門家の審査は終了していて、既に購入金額が公開されている。
 最終的には、売上総額が最も高かったアイディアが、「グランプリ」の栄冠に輝き、売上から手数料を差し引いた金額が賞金となる。
 
3.ファッション・プロジェクトコンテスト

 ファッション・アイディアコンテストの第2シーズンがファッション・プロジェクトコンテストとなる。
 このコンテストは、ファッション・アイディアコンテストにアップしたアイディアをもとにサンプル制作を行い、サンプルを掲載して実際にオーダーを受け付ける。
 サンプル制作に関しては、協賛企業を募る。協賛企業は、素材協賛企業、縫製協賛企業に大別される。
 素材協賛企業は、テキスタイルメーカー、テキスタイル卸、付属卸、付属メーカー、商社等が対象だ。素材協賛企業は、アイディアコンテストを確認し、このアイディアならば素材提供をしてもいい、というアイディアにノミネートする。縫製協賛企業も同様である。
 コンテスト参加者は、協賛企業を選び、あるいは、自身が調達してサンプルを作る。
 サンプルをアップする時には、販売価格と生産数量を設定しなければならない。そのためには、原価と最低生産ロットをを確認する必要があるが、協賛企業がつけば、原価計算、最低生産ロット設定に協力を要請することができる。
 サンプルの画像、動画、説明のテキスト、画像、動画等をクラウドファンディングのプロジェクトとしてアップし、購入者を募る。
 ここでは、協賛バイヤーを募り、登録してもらう。一般消費者の購入の前に、登録バイヤーが発注し、掲示板にコメントを書き込む。
 登録バイヤーは複数の作品を発注することも可能だし、何枚発注しても良い。コンテスト作品の発注は、登録バイヤーだけであり、あとは、消費者への直接販売となる。
 リターンは、三種類。
 第一は、登録バイヤーを対象にした卸売価格での販売。かけ率は、全てのコンテスト参加者共通とし、一般消費者にも公開する。
 第二は、500円で支援のみ。お礼メールとグラフィックデータを送付する。
 第三は、小売価格での販売。これは、一般消費者を対象とする。
 プロジェクト成立金額は、基本的に最低生産ロット×小売価格として設定する。限定素材等を使用する場合は、数量を限定することも可能。
 但し、審査は売上総額で競い合う。プロジェクトが不成立でも、支援のみで資金が集まれば、製品を生産することができる。支援が多ければグランプルを取る可能性も残されるということになる。
 プロジェクトが成立すれば、素材協賛企業が素材を提供し、縫製協賛企業が縫製加工をして製品にして、購入者に送付する。
 協賛企業は、サンプル制作時の価格で有償提供となるので、経済的な負担はない。
 物流等については、協賛企業等と相談して決定する。
 利益は賞金として公開される。

4.コンテストを前提とした教育プログラム

 コンテストの開催と同時に、コンテストを前提とした教育プログラムを実施する。これは有償であり、受講料は講師料、会場費等に充当される。
 このコンテストは、起業モデルでもあり、新しいビジネスモデルでもある。それだけに、経営の基本、原価計算、商取引の基本、クラウドファンディングの仕組み、共感を得るためのプレゼンテーション、ファッション業界の現状の課題等を理解しなければ、コンテストを勝ち抜くことは難しい。
 また、これらの知識やノウハウは、コンテストに参加しなくても、必ず必要とされることである。
 そして、教育プログラムもコンテストも全て独立採算を基本としている。かつてのデザインコンテストは、数十万の賞金を用意し、プロの審査員を集めなければ実行できなかった。しかし、現在は既存のサービスを組み合わせることにより、実現が可能である。
 コンテストの目的も変わってきている。これまでのコンテストでは、入賞者に名誉と知名度を与えた。
 しかし、賞金は起業するには少なすぎ、名誉と知名度だけではビジネスにつながらなくなっている。
 今回の新しいコンテストなら、単なる名誉だけでなく、ノウハウとテストマーケティング、協賛企業との出会いがあり、支援者とのコミュニケーションも可能である。
 正に、起業のシミュレーションなのだ。コンテストでグランプリを取れば、ビジネスで成功する可能性は高まり、コンテストで支持されなければ、デザイナーとして成功するのも難しいだろう。

*有料メルマガj-fashion journal(195)を紹介しています。本論文は、2015.8.10に配信されたものです。リアルタイムでの講読をご希望の方は、http://www.mag2.com/m/0001355612.htmlよりお申し込みください。

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