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April 25, 2016

香料はケミカルの香り j-fashion journal(188)

1.柔軟仕上げ剤の香りで健康被害

 国民生活センターは、2014年10月14日更新の記事で「柔軟仕上げ剤の臭いに関する情報提供」を行っている。
 その理由は、以下の通り。

 ~10数年前までは、部屋干しのにおいや汗のにおいなどを抑えるため、微香タイプの柔軟仕上げ剤が主流でしたが、2000年代後半から香りの強い海外製の柔軟仕上げ剤がブームとなったのをきっかけに、現在は、芳香性を工夫した商品の品ぞろえが広がっています。
 一方で、PIO-NET(パイオネット:全国消費生活情報ネットワーク・システム)に寄せられる「柔軟仕上げ剤のにおい」に関する相談件数が増加傾向にあります。そこで、収集した相談内容を分析し、情報提供することとしました。

 
 危害に関する主な相談事例は以下の通り。
 
【事例】
柔軟仕上げ剤を使用し、室内干ししたところ、においがきつく、妻と2人ともせきが出るようになった。柔軟仕上げ剤を使用したタオルで顔を拭くとせきが止まらなくなった。メーカーに連絡すると、柔軟仕上げ剤を持参して医師の診察を受けるように言われたのでそのとおりにした。2人共アレルギーの反応が低かったため、原因不明とのことで、複数の薬を処方してもらった。

【事例】
隣人の洗濯物のにおいがきつ過ぎて頭痛や吐き気があり、窓を開けられなく換気扇も回せない。柔軟仕上げ剤のにおいではないかと思う。医師の診察は受けていないが、家族3人全員同じような症状で今まで特定の物質にアレルギーがあると言われたことはない。~
 
 国民生活センターは、「業界・輸入業者への要望」として、以下のように対応している。

 ~においが与える周囲への影響について配慮を促す取り組みを行うよう要望します。~
 
 要望先は、「日本石鹸洗剤工業会」である。
 
 この要望を受けた形で、日本石鹸洗剤工業会のホームページでは、「柔軟仕上げを使うときのポイント」を以下のように、掲載している。
 
 ~香りを心地よく楽しむために、周りの方に配慮した適正な使用をお願いいたします。
 最近では、着用時の香りを楽しむために柔軟仕上げ剤を使う人も増えています。ただし、同じ柔軟仕上げ剤を使い続けると、香りに慣れて弱く感じるようになり、つい使いすぎてしまう場合がありますのでご注意ください。使用量が多すぎると肌着やタオルなどの吸水性が低下し、使い心地が悪くなる恐れがあります。また、香りの感じ方や好みは人それぞれに異なります。周囲の方にもご配慮のうえ、製品に表示された使用量の目安を参考にしてお使いください。各メーカーでは、香りの特徴や強さなどの製品選びに役立つ情報もホームページ等で提供しています。
 また、部屋干し臭が気になって柔軟仕上げ剤を使いすぎる場合は、臭いの発生を抑えることで使いすぎを防ぎましょう。除菌効果や抗菌防臭効果のある洗剤で洗ったり、洗う時に漂白剤を加えると効果的です。すすぎにお風呂の残り湯を使うと、洗濯物に汚れが付着して臭いの原因になるので、必ずきれいな水道水を使うことも大切です。~

 国民生活センターの危害事例では、使用量が多すぎたとは書いていないし、この記事を読む限り、使用量を守れば良い、という論調であり、問題の本質を捉えているとは思えない。
 柔軟仕上げ剤のどんな成分に問題がありそうなのか。どういうメカニズムで、せき、頭痛、吐き気が出ると考えられるのか。当該物質の制限や禁止は考えているのか、等が全く分からない。

2.化学物質過敏症

 ウィキペディアによると、「化学学物質過敏症(かがくぶっしつかびんしょう)は、非常に微量の薬物や化学物質(主に揮発性有機化合物)の暴露によって健康被害が引き起こされるとする疾病概念。」とのこと。

 この名称に抵抗を感じるのは、化学物質が身体に良いのか、悪いのか、という原因を解明しようというものではなく、「一部の人間が化学物質に敏感で、変な症状が出ちゃうんですよね」というニュアンスが感じられることだ。大多数の人に症状が出なくても、一部の人に症状が出るのなら、その物質は問題ではないのか。

 いずれにしても、石鹸洗剤メーカー、化粧品メーカー等の石油化学関連企業にとっては、ビジネスを左右する問題であり、できれば疑いを潰したいだろう。そういう意味では、原子力問題と同様に既に政治問題化しているのかもしれない。
 そうなれば、我々は法令に期待することはできないので、自分の健康は自分で守るしかない、ということになるのだろう。

 アレルギーも化学物質過敏症と同様に、誰もがアレルゲン物質に反応するわけではない。しかし、身体に一定量以上の抗体が蓄積された段階でアレルギー症状が出るとも考えられている。
 アレルゲン物質に指定されていなくても、人体に有害な化学物質に対し、抗体ができることは十分に考えられるし、そうであれば、誰もがある日突然、化学物質過敏症にかかることもあるということではないか。
 
3.オーガニックは臭いもの?

 オーガニックは有機の意味。有機の反対は無機である。
 有機肥料とは、有機剤を原料とした肥料。有機剤とは、油粕、ぬか、刈敷、魚粕、干鰯、堆肥、馬糞、牛糞、鶏糞、人糞尿、骨粉など。
 無機肥料とは、硫安、塩安、硝安、尿素、石灰窒素、硝酸カリ、過リン酸石灰、重過リン酸石灰、塩化カリ、硫酸カリなど。
 有機野菜とは、農薬、化学肥料、土壌改良剤を使わないで栽培された野菜を指す。
 農薬、化学肥料を大量に使用すると、土壌内の微生物が死滅してしまう。微生物が死滅した土は、単なる鉱物の集合体であり、最終的には砂漠化していくことになる。
 豊かな土とは、昆虫や小動物、微生物が生きていて、植物が成長する栄養素を大量に含んだ土である。
 日本には発酵文化がある。味噌、醤油、酒、納豆、漬物等、多様な発酵食品が作られている。発酵は微生物の存在が不可欠であり、無機物では発酵しない。つまり、合成添加物を入れなければ、発酵食品の多くはオーガニック食品である。
 こうして並べていくと、何となく感じられるのは、有機物は臭いということである。一方の無機物は臭いがないか、あるいは単一の化学的な臭いである。有機物の臭いは複雑で臭い。それが生命の臭いなのだ。
 私は、柔軟仕上げ剤の合成香料は、オーガニックの正反対の世界だと思う。オーガニックが生物礼賛の世界であるとしたら、柔軟仕上げ剤の臭いは生物を否定する世界の臭いだ。
 オーガニック食品にこだわる人が、柔軟仕上げ剤の強い香りを好むというのは矛盾している。
 強い合成香料が持て囃されることは、オーガニックな暮らしが否定されることである。
 
4.頭皮の皮脂も重要なのだ

 臭いという意味で、最近、やたらと攻撃されているのが、頭皮の皮脂である。特に、男の頭皮は皮脂が臭うというのだ。
 そもそも、シャンプーの頻度はどれくらいが良いのか。昔は、毎日髪を洗うと髪が痛むと言われたものだ。せいぜい週2~3回。女性は週に1~2回が普通だったと思う。
 それが毎日シャンプーするのが普通になり、サラサラの髪が良いとされたが、あれは、毎日シャンプーすることで髪が痩せたからに過ぎない。サラサラになりすぎて、薄毛になってしまう人もいる。
 そもそも、髪がベトベトになるのは、毎日シャンプーすることで、頭皮の皮脂が必要以上に落とされ、それをカバーするために毎日皮脂を過剰に出すようになるからだ。
 皮脂は、皮膚を滑らかでつややかに見せ、水分が必要以上に蒸発するのを防ぐ。また、皮脂の成分である“脂肪酸”は細菌の感染を予防し、"プロビタミンD"は紫外線を受けることによってビタミンDを作る。皮脂によるこのような膜がなければ、保湿機能が低下してカサカサ肌になってしまうのである。
 毎日洗髪したければ、シャンプーを使わずに、お湯だけで洗うべきである。そして、ブラッシングをする。
 そもそも、人間の身体が作り出す皮脂を洗い流し、人工で添加物が入った整髪料を使うというのは自然の摂理に反すると言ってもいい。もっと、自分の身体のメカニズムを信じようではないか。
 私は、この頭皮の皮脂を目の敵にする風潮も、アンチ・オーガニックだと思う。人間の髪には髪の匂いがある。それを臭いと思う人もいるかもしれない。そんなことを言ったら、花の匂いだって臭い。人工的な香料のように甘い匂いばかりではないからだ。
 多少臭くてもいい。そういうおおらかな気持ちがないと、ケミカルな潮流に押し流される。潔癖症もケミカルな環境に毒されている人だと思う。
 菌なんてどこにでもいる。完全に殺菌してしまう方がはるかに危険だ。我々は菌とも臭いとも共存して生きている。我々の身体の中にも、数多くの菌が生息しているのだ。そして、互いに共生している。
 それを信じて、できるだけケミカルな物質を排除していくことが、健全な生活につながっていくのである。 

*有料メルマガj-fashion journal(188)を紹介しています。本論文は、2015.6.22に配信されたものです。リアルタイムでの講読をご希望の方は、http://www.mag2.com/m/0001355612.htmlよりお申し込みください。

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