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February 10, 2016

クリエイティブを取り戻そう j-fashion journal(176)

1. 渋谷から熱狂が消えた

 「渋谷109」が元気だった頃、渋谷はトレンドを追いかけていなかった。目の前のファッションの変化が目まぐるしく、変化の波に乗るのに忙しかったからだ。そして自ら次の変化のきっかけを作り、それが大きな波に育ち、また、その波に乗っていく。デザイナー、販売員、顧客の区別は曖昧で、互いが互いに影響し合って、トレンドを生み出し、育て、楽しんでいた。
 やがて、売上が上がり、店舗数も拡大する。会社は成長し、学歴の高い「優秀な人材」が集まるようになる。
 しかし、「優秀な人材」は、ファッションが好きで入社したとは限らない。安定した企業に就職したいから、入社したいという人が多いのだ。
 しかし、高学歴の人は本当に優秀なのだろうか。ブームを巻き起こすのは優等生ではない。むしろ、落ちこぼれ、自分のアンデンティティをファッションに見いだした人達ではないのか。それが共感を呼び、熱狂までに発展する。それはホットであり、クールではない。

 会社が成長するとクールになる。アパレルの企画には海外のトレンド情報が必要だと考える。会社のヒエラルキーを強固にして、管理することが経営だと考える。そして、原価率を抑え、計画的に商品を投入することが正しいと考える。
 しかし、こうした正解を追求すればするほど、商品から熱が感じられなくなり、冷めていくのだ。そして、在庫を残し、熱狂的なファンは消え去っていく。
 もし、熱狂を持続したければ、店舗を増やしてはならない。売上も一定以上には増えないだろう。しかし、世界中から一つの店を目指して熱狂的なファンが集まるかもしれない。顧客と共に社内の人材も成長し、自然とブランドのステイタスも上がっていくだろう。
 我々は成長という妄想にとらわれすぎているのではないか。
  
2.同質化するネット社会

 リアルな市場だけでなく、変化はネットにも現れている。そのことを話す前に、私自身のWEBについて語らなければならない。
 私はWEBを個人でコントロールできるメディアであると考えている。だから、書きたいことを書く。それがデータベースとなって、ネット上に保存しておけば、将来、誰かが見つけて役に立つかもしれない。そう考えていた。
 しかし、SEOに関するビジネスと関わるようになり、自分のWEBを見直す機会を得た。アクセス数を見ると、想像以上に少ない。最早、存在している意義があるのか、というレベルだった。
 私は、タイトルを修正し、キーワードを設定し、内容を見直した。そして、具体的にアクセス数が増えるような対策を講じた。その結果、3カ月で「ファッションビジネスコンサルタント」でグーグル検索一位にまで持っていくことができた。
 更に、私はSEOについて何冊かの本を読んだ。そこに書かれていることは、私の考えと正反対のものだった。
 WEBは書きたいことを書くためのものではない。閲覧者が読みたいことを書くものだ。それには、トレンドキーワードをチェックし、文章の中にはキーワードを散りばめなければならない。但し、文章の量も多過ぎず少な過ぎず。キーワードの数も多過ぎず、少な過ぎず。そうすることによっで稼げるWEBになります・・・。
 ここで語られていることは正しいと思う。独りよがりのWEBは誰も読まない。顧客の視点に立つというのも、マーケティングの基本中の基本だ。
 しかし、どこかで聞いたことのあるフレーズだとも思った。ファストファッションのアパレルの商品MD手法とそっくりなのだ。簡単に言えば、「売れ筋を追いかけろ」ということだ。そして、「売れ筋を把握するためには、市場調査をしろ」なのだ。
 しかし、皆が同じことをするから商品も売場も同質化してしまった。そして、価格競争に陥っているのだ。
 WEBもそれと同じ動きをしている。そう思って、WEBを見て見ると、善人ぶった歯の浮くような美辞麗句であふれたブログばかりが目につく。アフィリエイトや広告収入を狙ったものだ。
 SNSでさえも、本音を目にすることが少なくなったように感じる。振り返ってみれば、私も個人的なことをつぶやくのを止め、電子書籍のPRを流しているだけだ。なぜ、みんなつまらないことしか書かないのか。
 
3.正解を求め過ぎるな

 渋谷から熱狂が消えたのは、優秀な人材が正解を求めた結果だと思う。そして、ネットが同質化しているのも正解を求め過ぎているからではないのか。
 ファンションもWEBも正解はない。リアルな店舗もWEBショップも正解はない。
 ファッションは常に相対的に動く。同じ商品でも、最先端になったり、流行遅れになったりする。カッコイイものがカッコ悪くなり、トレンド最先端が陳腐なものに変わる。逆に、時代遅れのものが、最新のライフスタイルになることもあるのだ。
 どんなに優秀な商品でも、需要以上に供給すれば、価格は崩壊する。そういう意味では、全てが正解で、全てが不正解。ファッションビジネスに正解があるとしたら、「需給バランスを読め」ということだ。
 トレンドキーワードは、需給バランスではない。トレンド情報も需給バランスではない。皆がトレンドだと思っている情報は供給過剰になることも多い。
 ファンションには正解がない。正解がないからこそ面白い。そして、感情の動きがビジネスに直結しているところに、他のビジネスとの大きな違いがある。
 しかし、規模が大きくなれば、顧客の数も増える。店舗が増えれば狭い商圏の中で売上を取らなければならない。感情的な消費よりも、理性的な消費を優先する。誰でも着られる商品、あまり尖っていない商品の比率が高くなる。
 このバランスを誤ると、ファッションからコモディティへと転落してしまう。そして、熱狂は消えてしまう。

4.個人が主役のクリエイティブビジネス

 人間には感情がある。喜怒哀楽がある。過度に感情的になることは、社会生活に悪影響を及ぼすが、過度に感情表現ができなくなるとコミュニケーションが取れなくなる。
 私たちが幸せだと感じるのは、適度な感情の発露があってこそだろう。それは、文学でもアートでも演劇でもファッションでも同じだと思う。
 量販店の商品がつまらないのは、感情が動かないからだ。誰がどんな気持ちで作っているのかを窺い知ることもできないし、個人の情熱もこだわりも感じられない商品。
 私たちは、それに辟易としている。最早、個人が作り、個人が販売し、個人が楽しむ時代が来ているのではないか。少なくとも条件は整いつつある。
 個人のビジネスを活性化するには、新たな組織と役割分担が必要になるだろう。それは、現在の会社組織のようなヒエラルキーではなく、もっと緩いネットワークのようなイメージだ。
 個人がりんとして主張するから、クリエイティブなのだ。そのデザインがアバンギャルドであるか、ベーシックであるかは関係ない。どれだけ個人を立てられるか。そこに未来があるような気がする。

*有料メルマガj-fashion journal(176)を紹介しています。本論文は、2015.3.30に配信されたものです。リアルタイムでの講読をご希望の方は、http://www.mag2.com/m/0001355612.htmlよりお申し込みください。

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