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October 12, 2015

パターン販売でアパレルメーカーズムーブメントを起こそう! j-fashion journal(171)

1.パターンの重要性が理解されていない

 イタリアでは、モデリスト(パターンナー)はレストランのシェフに例えられる。料理のメニューを考えるのはデザイナーだが、実際に調理をするのはモデリストというわけだ。
 モデリストの技術は、ピンキリである。デザイン画で描かれたシルエットに似せるだけのパターンから、ブランドの個性を決定し、着心地を調整する高度なパターンまでと幅広い。しかし、多くのアパレル経営者や管理職はその区別がつかない。そのため、欧米のように、モデリストに高い給料を支払う企業が少ない。
 パターンの重要性を理解していないということは、服の構造を理解していないということである。残念なことだが、アパレル業界には、洋服を金儲けの道具としか考えていない意識の低い人も少なくない。
 特に、90年代半ば以降、日本のアパレル市場は、低価格のカジュアル商品が中心になり、高度なパターンのニーズも減ってしまった。

 最近は、顧客の年齢層が上がり、上質なアパレル製品のニーズが高まっている。しかし、肝心の人材育成は遅れたままだ。パターンナーの供給元であった、ファッション専門学校の学生は減り続け、次第に淘汰されている。同時に、アパレル業界を目指す若者も減っている。
 アパレル業界全体が活力を失い、質が低下している。このままでいいのか。

2.マスターパターン設計とパターン展開

 デジタル技術は、コピー&ぺーストを容易にする。イラストも白い紙にデッサンから始めるのではなく、既存の画像を入力するところから始まる。
 音楽も同様だ。真っ白い五線譜に音符を書き始めるのではなく、リズムとコード進行を指定して、ラップでメロディアを乗せていくという技法が生まれた。
 アパレルのパターンも、原型からパターンを引くのではなく、マスターパターンを基本に展開することで、高度なパターンが簡単に引けるようになる。
 欧米のアパレル企業では、日本以上にパターンCADが普及しており、一人一台の体制だできている。そして、チーフパターンナーがマスターパターンをCADに入力し、アシスタントパターンナーは、そこからパターンを展開するのだ。
 パターンメーキングでは、マスターパターンを引く人と、マスターパターンから展開する人とでは、要求される技術レベルが異なる。
 熟練者がいないアパレルでも、しっかりとしたマスターパターンがあれば、そこからデザイン展開していくことは比較的容易だ。
 また、デザイナーも、プロトタイプからデザインパリエーションを広げるという考え方を基本にすれば、全体の統一感を持たせることもできるし、作業効率も上がる。こうした手法は、欧米アパレルでは当たり前だが、日本では一般化されていない。
 また、イタリアのアパレルでは、ブランドにより、パターンのゆるみをコントロールしている。ブランドによりターゲットは異なるし、フィット感の設定も異なる。それらを、パターンのゆるみでコントロールするのである。
 私は、マスターパターン設定、ブランドによるサイズ&ゆるみ設定と、パターン展開は分業化するべきと考えている。
 それがパターン作業の効率を、欧米並に高めることにつながるからだ。
 
3.パターンというボトルネックを解消する

 服作りにおいてパターンメーキングはボトルネックだった。服のパターンさえあれば、服作りがもっと身近なものになるだろう。
 例えば、テキスタイルメーカーが展示会をする際に、製品を展示することが多いが、そのデザインが古くさいイメージでは、テキスタイルそのものが古く見えてしまう。
 トレンドに沿った現代的なパターンを使うことにより、テキスタイルのイメージも新しく演出できる。
 縫製メーカーも同様だ。自らの技術を訴求したくても、オリジナルのパターンがないために、表現できない。しかし、オリジナルのパターンがあれば、同じデザインでシフォン、ベルベット、厚手ウール等を仕様を変えて、縫製してみせることもできる。
 新人デザイナーや、起業したてのアパレルは、ベテランのパターンナーを確保することも難しい。しかし、新人のパターンナーであっても、マスターパターンの完成度が高ければ、複雑な服でも対応できるだろう。
 グラフィックデザイナーや、イラストレータもパターンさえ入手できれば、服を作ることが可能になる。
 ユニフォームメーカーは、デザインコンペにノミネートする際、やはり、時代に対応した新しいパターンで提案することが求められる。その場合に、トレンドに対応したパターンがあれは、提案しやすいはずだ。
 OEMアパレルや商社の場合は、トレンドの形だけをコピーするのであれば、熟練したパターン技術は必要ないのかもしれない。しかし、着心地の良い上質な製品を提案するのであれば、やはり確かな技術のパターンが必要になる。
 
4.クラウド上のパターンデータ活用

 「メイカーズムーブメント」とは、デジタル技術と、グローバルネットワークを活用することで、誰もがメーカーになれるということだ。
 象徴的なのが、3Dプリンタである。クラウド上の3Dデータをダウンロードして、3Dプリンタに入力すれば、リアルな立体が出来上がる。そのデータを金型メーカーに渡せば、量産品を作ることも可能になる。
 クラウド上にパターンデータがあれば、同様のことがアパレル業界で起きるかもしれない。
 服の基本データであるパターンデータを選び、クラウド上のデータベースからダウンロードする。パターンを立体に組み立ててくれるソフトを使い、テキスタイル画像データでマッピングすれば、見本を作らなくても、イメージを伝えることができる。
 また、パターンのデータと、プリントデザインのデータを組み合わせ、インクジェットプリンタで生地にプリントすれば、一枚もののオリジナル製品ができる。
 自分で縫製するか、サンプル屋さんに頼めば、一枚サンプルもできるし、それを展示会にかけて、受注することができれば、受注生産も可能だ。
 もし、量産したければ、中国の工場に発注すれば、数千枚、数万枚のオーダーも可能である。
 こうしたアパレルのメイカーズムーブメントを実現するには、パターンデータが鍵を握っている。パターンの販売ビジネスは、その第一歩なのである。 

*有料メルマガj-fashion journal(171)を紹介しています。本論文は、2015.2.23に配信されたものです。リアルタイムでの講読をご希望の方は、http://www.mag2.com/m/0001355612.htmlよりお申し込みください。

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