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October 19, 2015

インターネット時代の究極の単品 j-fashion journal(172)

1.店舗の魅力は集積、編集にあり

 店舗に顧客を引き寄せるには、店の存在を知らせなければならない。従って、宣伝広告が重要になる。
 人通りの多い道路に面していれば、店を眺めて、視覚的な魅力に惹かれ、店内に入って来る顧客もいるだろう。視覚的な要素をコントロールするのがVMD(ビジュアルマーチャンダイジング)である。
 視覚的要素とは、建物全体、ファサード、ショーウインドー、照明、床や什器等の全てが含まれるが、最大の視覚的要素は商品だ。
 店内には、多くの商品がある。商品全体のイメージ、商品の組み合わせ、そして、個々の商品に魅力があれば、商品の購入につながるだろう。従って、商品構成、商品計画(商品MD)が重要である。
 商品の魅力は、視覚的魅力では十分に伝えられないこともある。素材、デザイン、仕立ての説明。顧客に似合うか否か、どんなTPOに相応しいか、等のアドバイス。手入れの方法などの商品知識。こうした情報を伝達し、試着に誘導し、最終的に購買を決定させるのが販売員の役割である。

 店舗の魅力とは、これら全ての要素が複合的に組み合わされたものである。それにより、店内で味わう体験やコミュニケーションが顧客の感動につながるのである。

2.ネットショップの魅力はモノ語り

 ネットショップには、実店舗のような空間がない。二次元の平面があるのみである。
 二次元の世界では、視覚的要素だけでなく、タイトルや説明文等が重要である。特に、WEBのタイトル設定は、検索に直結している。検索で引っかからなければ、顧客にWEBの存在を認知させることができない。
 店舗のVMDに相当する、WEBショップの吸引力はタイトルやキーワードである。
 商品MDに相当するのは、商品の画像だろう。購入を決める最大の要素は、画像である。そして、接客に相当するのは、説明文である。販売員のセールストーク以上に詳細な説明を求められる。
 私は、WEB上で商品を説明するには、一つの短編小説を書き上げるような努力が必要だと思う。
 オフラインの世界において、人間の認識のほとんどは視覚的要素に依存している。より感覚的であり、感情的である。理屈より感性が重要なのだ。
 しかし、オンラインの世界では、感性と同じくらい理論や理屈が重要である。オンラインの世界は、現実以上に論理的な世界である。
 オンラインの世界では、実物の商品に触れることができない。商品の写真があっても、それは視覚的情報に過ぎない。触覚や着心地が認識できない世界で商品を説明するには、文章の力が重要になる。

3.一つの商品に一つのWEB

 かつて、WEBを立ち上げるのは容易ではなかった。ドメイン登録、サーバーホスティング、HTMLでWEBを作成し、FTPでサーバーにアップする。大企業は、専門業者に依頼し、何千万かの費用を支払っていた。中小企業や個人でも数十万から数百万の費用が掛かったし、一ページ更新するだけで一万円以上掛かった。
 そのため、WEBコンテンツは簡単に変更できないもの、とされていた。その後、ブログが登場し、簡単に内容を更新できることに驚かされた。中小企業や個人は、ブログをWEBの代わりに使うようになった。
 その後、WEBもプログ並に簡単に更新ができるようになり、テンプレートは洗練され、無料のWEBサービスも増えてきた。現在では、無料で簡単にWEBを作成し、公開できる。加えて、パソコンの性能は向上し、通信回線は太くなり、同時に低価格になっている。
 私は、試しに、電子書籍のコンテンツを無料WEBサイトにして公開してみた。一日で4つのドメインを設定し、4冊の電子書籍のコンテンツを元に4つのWEBを作成、公開した。
 最早、WEB制作は無料で簡単にできる。同様に、WEBショップでさえも、無料で作成し、公開できるのである。
 しかし、現在でも、WEBが高価だった頃の常識に縛られている人は多い。一つのWEBに様々な機能を持たせ、混乱しているWEBを多く見る。WEBショップも雑多な商品を掲載し、特徴が曖昧になっているケースは多い。また、多くのコンテンツを詰め込むせいで、タイトルまでも曖昧になり、それが検索を妨げている。
 店舗は集積が魅力になるが、WEBは深い情報が魅力だ。その意味では、商品を絞り込み、分厚い情報を盛り込んだ方が良い。
 極論すれば、一つの商品で一つのWEBを作ることも可能である。一つの商品でWEBを作れば、その商品名が検索で引っかかる可能性も増えるはずだ。
 
4.継続可能で変わらない商品

 ファッションとは変化するもの。しかし、消費者は変化に疲れ始めているのではないか。
 ファッションの本場、フランスでは、軍服や制服のようなお仕着せを拒み、自由にファッションを楽しむことがレジスタンスだった。それは、単に感情的な要素だけではない。自由を重んじるフランス人の人生哲学でもある。
 現在の日本を見る限り、ファッションは供給側の都合で変化を続けている。それが、日本人の人生哲学につながっているとは思えない。むしろ、市場が高齢化すると共に、変化に飽き、変化に疲れているのではないか。
 私自身、変化するものよりも、継続可能で変化しない商品に魅力を感じるようになっている。
 一つのWEBで一つの商品を訴求するのであれば、変化する商品よりも、変化しない商品に向いているのではないか。変化しない商品に対して、想いや情報を積み上げていく。そして、その商品を中心にしたコミュニティを作り、コミュニケーションを楽しむことはできないだろうか。
 例えば、私が取り組んでいる、天然発酵建て本藍染めのタオルだけを紹介し、販売するWEBを作るのはどうだろう。この商品は、大量生産はできない。一日で染色可能な量は決まっている。完全に限定発売になる。
 できれば、会員制にして、年間何枚ずつ配給するような販売をしてみたい。商品の売上は有限だが、その情報から広がる世界は無限である。藍染め工場の見学や、藍染めに関するセミナーやワークショップ。それらをトータルでプロデュースできないだろうか。
 私は、WEBは情報を伝えるメディアであり、情報を販売するツールに適していると思っている。商品を売るのではなく、商品に乗せた情報を販売するのだ。
 そして、継続可能な商品を使い続けるライフスタイルを販売するのである。商品群がブランドになるのではなく、一つの商品からライフスタイルを訴求し、それをブランド化していく。それから商品を広げていくという方法論があってもいいし、それがWEB的なアプローチかもしれない。

*有料メルマガj-fashion journal(172)を紹介しています。本論文は、2015.3.2に配信されたものです。リアルタイムでの講読をご希望の方は、http://www.mag2.com/m/0001355612.htmlよりお申し込みください。

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