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September 24, 2015

オムニチャンネル時代のマーケティングアプローチ j-fashion journal(170)

1.WEBの役割が変わってきた

 時代の変化と共に、企業のWEBの役割も変わっている。初期の企業WEBは「会社案内」をネット上に公開するものだった。
 内容は、会社の写真、社長の挨拶、会社の沿革、本社及び営業所、社内組織、設備、業務内容、商品紹介等であった。
 「ホームページも作っていないのか」と言われないように、何となくWEBを立ち上げていた時代である。
 次に、「企業のWEBは株主のための情報公開(IR)を目的にすべきだ」という意見が目立つようになった。土地を担保に銀行から資金調達するのではなく、株式市場から資金調達ができるようになり、株主に対する情報公開が必要になったためだ。

 内容は、決算書、及び新商品発表等の種々のプレスリリース等である。
 並行して、リクルート対応にWEBを利用する企業が増えた。以前は、会社に会社案内や入社に必要な書類を取りに行くか、郵送で取り寄せるのが一般的だった。それをWEBに置き換えることにより、会社も学生も手間と労力が省けるようになった。
 WEBが在庫確認や商品の受発注に使われるようになったのは、WEBとデータベースが連携するようになってからである。


2.WEB構築のコストの変化
 役割だけでなく、WEB構築のコストも大きく変化した。かつて、WEBを構築するには、ドメインを取得し、WEBサーバー、メールサーバーをレンタルしなければならなかった。WEBを作成するにも、WEB制作用のソフトを購入して、自分で作成するか、外部業者に依頼する必要があった。自分で作れば安上がりだが、出来上がりも安っぽくなる。
 WEBを作成するだけで、数十万から数百万のコストが掛かった。WEB制作会社は増え、大きなビジネスになっていた。
 現在は、レンタルサーバーのコストも劇的に下がり、回線速度も早くなり、PCの性能も著しく向上した。その結果、無料でWEBが構築できるサービスや、無料でネットショップが開設できるサービスが続々と登場している。
 この変化は、WEBの役割を大きく変えようとしている。WEB構築コストが高かったから、一つのドメインの中にあらゆる情報を詰め込んでいたが、安価に構築できるならば、目的別にWEBを作成した方が良い。
 例えば、会社全体のWEBの他に事業部別のWEBを独立させることができる。
 アパレル企業であれば、コンセプトの異なるブランドを共通のフォーマットでWEBデザインするには無理がある。ブランド別にコンセプトに合ったデザインを選ぶべきだ。
 更に言えば、商品別にWEBを構築しても良いかもしれない。あまり深い構造だと検索で引っかかってこないが、独立したWEBを構築して、WEBタイトルを検索ワードに近づけることで、検索上位に上げることもできるからだ。
 私は、試験的に一冊の電子書籍を独立したWEBにしてみた。2万字程度のボリュームの電子書籍ならば、見出し毎にページを構成することで、タイトルだけでなく、見出しも検索で引っかかるようになるだろう。
 
3.SNSと世論

 SNSの普及により、情報の流れが変化している。現在、最も早くニュースが流れてくるのはSNSであり、新聞やテレビは遅れを取っている。
 また、SNSでは自分が選んだ人のコメントやツイートだけを読んでいるので、趣味嗜好が似ている人同士で意見交換が行われる。そのため、特定の意見が増幅され、それがあたかも世論のように感じてしまうことがある。
 客観的な情報よりも、主観的な情報が面白がられ、感情的な意見に集約されることも多い。
 書籍のような長い文章は嫌われ、ツイートのような短い文章が好まれことは、論理的な説明より、感情的なアジテーションの方が効果的だということにもつながる。
 最早、「万人向け」はなくなっている。商品もサービスも特定の人々の感情に訴求することが重要になっていく。これまで、日本市場を調査しても、欧米のように明確なクラスターには分類できなかったが、SNSの発達に伴い、思想的クラスター、精神的クラスターが生まれるのではないだろうか。そうなると、マーケティング戦略そのものが根底から変化する。
 インターネットマーケティングとは、居住地やショップのエリアではなく、精神的なマップの中のエリアで分類することになるのかもしれない。
 
4.オムニチャンネルの時代

 日米の流通業界で「オムニチャンネル」がキーワードになっている。「インターネット流通と店舗流通を分けて考えるのではなく、統合して考え、あらゆる手段で買い物ができるようにする」ということのようだ。
 情報システム業者が在庫管理や商品移動管理、WEBによる受発注を仕掛けようとする動きが目立つが、オムニチャンネルによる新業態開発や、オムニチャンネルによって生まれる商品MDについては、ほとんど触れられていない。
 オムニチャンネルでは、ネットで発注して、コンビニ等の店舗で商品を受け取る。あるいは、店頭で商品を確認し、WEBで発注し、宅配で商品を受け取るなどが考えられる。
 現在、問題になっているショールーミングは、小売店で説明を受け、品番を控えて、最も安い価格で販売しているネットショップから購入するというスタイルだ。これを防ぐには、小売店がプライベートブランドを販売するか、独占販売的な取り組みをするしかない。そして、小売店自身がネットショップを整備し、どちらにも対応することが必要である。
 最も重要なことは、既存の問屋流通では対応できないということである。逆に言えば、強固な問屋流通が支配している業界ではオムニチャンネルは進まないということでもある。
 私はむしろ、「オムニMD」が進むのではないか、と考えている。つまり、既存の商品分類ではなく、特定の顧客に対応して様々な商品やサービスを雑貨店のように組み合わせて提供するというスタイルである。
 元々、ネットショップであれば、空間やサービスの制限もないので、どんなMDミックスも可能なはずだ。
 例えば、アパレルブランドのワインやチーズをアパレル製品と共に展開する。あるいは、アパレルブランドのツアー企画はどうだろうか。コレクションのテーマと共通したツアーがあっても良い。また、ファッションショーで見せたヘアメイクのスタイルを美容院と提携して、提供することもできるだろう。
 このように、異業種、異分野の商品をサービスをオムニバスのように集め、一つのイメージで販売していく、という業態もできるのではないか。

*有料メルマガj-fashion journal(170)を紹介しています。本論文は、2015.2.16に配信されたものです。リアルタイムでの講読をご希望の方は、http://www.mag2.com/m/0001355612.htmlよりお申し込みください。

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