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August 09, 2015

TOKYO KNIT FABO j-fashion journal(159)

1.日本のニット業界の現状と課題

 日本のニット業界は、最も早く中国生産の影響を受け、最も早く国内メーカーの淘汰が始まった。現在では、ニット製品の輸入浸透率は98%以上と言われている。
 ニット製品の生産は、特殊な知識、技術が必要であり、多くのアパレルは、OEMメーカーに生産を委託している。アパレルにとって、OEMメーカーが日本企業から中国企業に変わっただけとも言えるだろう。
 日本のニッターは、中国企業に比べてコストが高い。これはどうにもならないことだ。コストが高いのだから、中国メーカーにはできないことをしなければならない。しかし、OEMメーカーとしての企画提案程度ならば、中国メーカーも対応している。
 輸入浸透率が98%を超えているということは、日本市場の大多数のニット製品は中国製ということだ。そうした状況の中で、流通も顧客も不満は感じていない。
 そんな状況の中で生き残るには、いくつかの方法があるだろう。

 第一は、「中国メーカーでは生産効率が悪くて受注しないような複雑な製品を少量生産し、単価を上げること」である。
 第二は、「中国の量産向上を前提として、中国工場の技術指導、生産管理、サンプル生産等を受託すること」である。そして、何らかの方法で中国工場の売上の一部を確保することを考えなければならない。
 第三は、「販売先を商社やアパレルから、小売店や消費者に切り換えること」である。小売店のPBを生産するか、オリジナルブランドを展開する。
 どの方法も過去のビジネスモデルからの脱却を意味する。新しいことに挑戦しない限り、生き残りは難しいだろう。
 
2.ニットトレンドセミナーの開催

 直接、小売店、消費者とビジネスするということは、商品の企画を自社で行うことである。
 一つのブランドの商品構成を行うには、デザイナーの存在が不可欠だ。勿論、外部のデザイナーと契約せずに、ニッターの社長がデザイナーでもいいし、社長の奥さんがデザイナーでもいい。イタリアのニッターには、社長自身や奥さんや娘がデザイナーを担当しているケースは珍しくない。しかし、デザイナーとしての仕事をするには、それなりの情報収集と分析が欠かせないだろう。
 オリジナルブランドを展開せずに、小売店のPB生産する場合でも、トレンド情報を理解し、バイヤーに企画提案することが必要になる。
 ニット業界で最も有名な展示会は、イタリアで開催される「ピッティフィラッティ」である。
 アパレル企業がフランスのテキスタイル展示会「プルミエールビジョン」を重視するのは、テキスタイルトレンドの中に、次のアパレルトレンドが潜んでいるからである。同様に、世界のニットメーカーは、世界中の最新トレンドの糸や編地が提案される「ピッティフィラッティ」を重視する。
 ニット業界全体の底上げ、あるいは、ニッターの自立化を推進するためには、定期的にニットトレンドのセミナーを行うことは非常に重要である。幸いにも、東京ニットファッションアカデミーの学校長である師田範子さんは、長年ピッティに通い続け、トレンドを分析し、資料を作成している。しかし、これまでは関係者に資料をプレゼントするだけで、本格的なセミナーを開催することは少なかったらしい。
 これほどもったいないことはない。セミナーを定期的に開催することで、ニット情報の発信基地になることができる。その意義を再確認し、セミナーを実現ていただきたいと思う。
 
3.サテライト・デザインオフィス

 ソーシャルファブを考える時に、設備以上に重要なのが、人的ネットワーク、企業間ネットワークである。それらが揃わなければ、誰もがファクトリーのように製品を企画生産することはできないからだ。
 その意味では、東京ニットファンションアカデミーは、既にニットファブの条件を満たしている。設備は全て揃っており、サンプル生産が可能である。企画に必要な資料を完備している。
 また、ニッター、付属卸、糸商とのネットワークもあるので、ニット製品を生産する上で困ることはない。
 こうした機能を活用することで、地方のニッターも脱OEM生産を目指すことができるのではないか。
 地方のニッターに、シェアオフィスのスペースとファブの機能を提供するのが、サテライト・デザインオフィスである。
 オフィスが必要でも、都内にマンションや事務所を借りるのはコストが掛かる。出張時や商談に使うだけなのだから、フレキシブルに使えるデスクと椅子。FAX付きコピー複合機、WiFiと電源、郵便物や宅配便の受け取り機能があれば十分だろう。場所を固定しないことで、経費を抑えることができる。
 ニッターに限定し、月1万円程度の会員制にできないだろうか。
 
 
4.ニットベンチャー育成プログラム

 国内ニッターを活性化するには、ニッターの機能を活用してビジネスをするベンチャーの育成が不可欠である。
 どんなに高い技術を持っていても、その技術を活用した製品に魅力がなければ意味がない。そういう意味では、ニッターはアパレル企業の注文を待つのではなく、自社の設備や技術を活用してくれるベンチャーを育成すべきではないのか。
 ニットの生産技術については、東京ニットファッションアカデミーで勉強してもらうのが最も良いが、ニットのビジネスを教えることも重要だろう。
 例えば、ニッターの社長を講師として、自社のプレゼンテーションをしてもらう。そして、そのニッターの特性を生かしたブランドや商品を考える。
 そして、イベントやネットで販売するためのノウハウを教える。
 同時に、ビジネスを開始するのであれば、シェアオフィスを使えばいい。シェアオフィスには、製造を担当するニッターと、ニッターの機能を活用してビジネスを行うベンチャーやデザイナーが混在していることが重要だと思う。それにより、WIN-WINの関係が築けるのではないだろうか。

*有料メルマガj-fashion journal(159)を紹介しています。本論文は、2014.12.1に配信されたものです。リアルタイムでの講読をご希望の方は、http://www.mag2.com/m/0001355612.htmlよりお申し込みください。

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