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July 14, 2015

クラウドファンディング企画のポイント j-fashion journal(145)

1.クラウドファンディングとは?

 Wikipediaによると「クラウドファンディング(英語:crowd funding)とは、不特定多数の人が通常インターネット経由で他の人々や組織に財源の提供や協力などを行うことを指す、群衆(crowd)と資金調達(funding)を組み合わせた造語である。ソーシャルファンディングとも呼ばれる」とのこと。
 日本のクラウドファンディングサービスには、「READYFOR? https://readyfor.jp/」「CAMPFIRE http://camp-fire.jp/」「Motion Gallery http://motion-gallery.net/」などがある。
 基本は、事業者がプロジェクトと予算、募集期間を設定し、支援者を募る。支援者は、支援金額に基づいて設定されたサービスを受けることができる。支援金額が予算に達した段階でプロジェクトが成立し、手数料を差し引いた金額が事業者に支払われる。事業者は約束したサービスを実行する。
 プロジェクトが成立しない場合には、支援者からの支援金は受け取らず、プロジェクトが流れる。
 あるいは、集まった分だけ事業者が受け取り、支援者には約束したサービスを提供するというパターンもある。

 基本的に個人がプロジェクトを立ち上げ、個人が支援するという個人の顔が見えるサービスである。目的は、小規模の資金調達だが、同時に、プロモーション、マーケティングの効果も高い。ユニークな企画であれば、インターネットメディアで紹介されたり、そこからベンチャーキャピタルからの投資につながるケースもあるようだ。
 日本のプロジェクト規模は、10万から100万程度が多い。あまり大規模な予算を設定しても、支援者を集めることは難しい。
 極端な事例だが、 米資金調達サイト「キックスターター」で、「ポテトサラダを作る」というプロジェクトを目標10ドルで募集した結果、約7000人の支援者を得て、570万円集まったという。余りに馬鹿馬鹿しく面白い内容なので支援したくなったということらしい。
 銀行やVCならば、投資効率や収益性が問われるが、個人が対象のクラウドファンディングでは「共感」が重要なキーワードになる。収益性が低くても、共感できるプロジェクトなら応援しよう、という個人的な感情の動きが支援に直結するのである。
 クラウドファンディングでは、支援金額をいくつかに分けて支援を募る。
 例えば、1万円の製品を開発するプロジェクトなら、500円の支援には、制作者からのお礼メール、1000円ならロゴ入りハンカチ、2000円ならロゴ入りオリジナルTシャツ、1万円なら製品とハンカチ、Tシャツが受け取れる。2万円なら特注の刺繍入り製品、5万円なら上記の製品に加え、工場見学と製品発表パーティーご招待、というように、段階毎のリターンを設定し、募集する。

2.最小単位のプロジェクトに分割する

 これまでの資金調達では、銀行から融資を受けるにせよ、VCからの投資を受けるにせよ、中長期的な経営計画が不可欠だった。初期投資が大きくても、リターンが見込めれば投資する。反対に、投資金額が少なく、リターンも少ないのでは、投資する意味がない。
 また、継続的なビジネスを基本に考えるので、ビジネス環境の予測、市場調査等に基づくコンセプト立案が必要になる。
 しかし、クラウドファンディングは、独立したプロジェクトが対象であり、ビジネスが継続するか否かは結果に過ぎない。また、統計資料や市場調査よりも、顧客の感情に訴え、共感を得るような分かりやすいストーリーが重要である。
 極論すれば、クラウドファンディングの支援者は、事業者が利益を上げることには興味がない。プロジェクトが成立することにより、世の中にどんな影響を与えるのか。また、それにより、支援者がどんな満足や喜びを得るかが重要なのである。
 したがって、事業者は、事業、ビジネスをプロジェクト単位に分割することが求められる。
 例えば、プロモーションの費用を投資してもらうことを考える。通常ならば、広告代理店等を通じて雑誌広告を出すことを考えるが、クラウドファンディング的には、小さな参加型イベントを企画して、その費用を募る。そして、そのイベントに参加できる特典をリターンするという考え方だ。
 例えば、広告用写真用の撮影会を企画して、アマチュア写真家を募る。リターンは広告に名前を掲載する、撮影会に参加できる、デザイナーやモデルのサイン入りポスターを入手できる、モデル着用のサンプルを入手できる等を考えればいいのではないか。
 あるいは、個々の商品開発をプロジェクト化するのも良いだろう。但し、その場合は、利益が上がる商品ではなく、社会的意義のある商品であることが望ましい。普通の商品を作ることには共感できなくても、その商品が開発されることで何らかの社会貢献になるならば、支援する意義が出てくるからだ。
 通常のビジネスは長編小説だが、クラウドファンディングのビジネスは短編集である。短編をつなげながら、一つの大きなストーリーを紡ぎ出すことが、クラウドファンディング型ビジネスモデルと言えるかもしれない。
 
3.事例「天然発酵建て本藍染めを良さを現代人に体験してもらうプロジェクト」

 ここで事例を考えてみたい。埼玉県羽生市にある武州藍染め工場を想定したプロジェクトである。
 まず、藍染めの歴史を説明する。ヨーロッパには古来よりウォード(アブラナ科)による藍染めがあり、日本には古来よりタデ藍(タデ科)の藍染めがあった。しかし、インドよりインディゴ(マメ科)による藍染めがヨーロッパに伝わると、ヨーロッパのウォードは絶えてしまう。日本でも、デニム等はインディゴ染めだが、かろうじて、伝統的なタデ藍も一部に残っている。
 江戸時代は、日本人の8割が農民と言われ、農民の大多数は藍染めの野良着を着用していた。藍染めの野良着は、実質的な日本人の民族衣装である。当時の藍染めは、ヨーロッパ人にとっても強烈な印象を与えたらしく、彼らは日本の藍染めを「ジャパンブルー」と呼ぶようになった。
 しかし、野良着が廃れると共に、藍染めは激減する。現在、産業として残っているのは、高級剣道着、作務衣、半纏、浴衣、風呂敷等に過ぎない。
 天然発酵建て本藍染めは、一日に染織できる量が決まっているため、大量生産はできない。しかし、糸染め、機織、縫製等が分業化されているため、あまり少量でも生産することかできない。
 最早、藍染め工場では、利益を上げることよりも、伝統的技術をいかに存続させるかが大きな課題となっている。
 以上がプロジェクトの背景である。
 もうひとつ重要なポイントが藍染めの薬効である。これは私が個人的にも体験したことだが、藍染めは蛇除け、虫除けになるだけでなく、汗疹等の肌のトラブルにも効き目が大きい。また、炎天下の農作業等においては、熱中症予防の効果もある。
 藍染めは色落ちしやすいが、なぜ、色落ちするほど、濃色に染色するのだろうか。武州藍染めでも、糸を30回も藍液に浸しては絞るという工程を繰り返す。着用する時には、水洗いや湯通しすることか多いのだが、それならもっと染色回数を減らしても良いのではないか。
 私の私見だが、藍染めは、その美しい色よりも、その薬効を期待されていたのではないだろうか。実際、青く染まるような藍染めの布でかぶれた皮膚を擦ると腫れが引き、痒みもなくなる。
 だから、肌が青く染まっても、嫌がらず、むしろ薬を塗ったような印象を持ったのではないか。これを、特に肌が弱くなった高齢者に経験して欲しいと思う。
 また、山歩き趣味とする人が藍染めの手拭いを首に巻いているだけで虫が寄らないと言うし、農作業でも藍染めのモンペを穿いていれば、蚊に刺されない。
 江戸時代の農民の多くが藍染めの野良着を着ていたのには理由がある。それは色ではなく、機能性なのだ。
 その藍染めを体験してもらうために、藍染めの生活着のブランドを開発する計画である。
 藍染め工場には、商品を生産する能力はあるが、プロモーションとマーケティングの経験はない。
 そして、大量生産ができないので、大量生産大量販売はできない。藍染めの良さを理解していただき、伝統的技術の継承を支援してもらうことがクラウドファンディングの目的である。
 第一のプロジェクトは、「藍染めの工場見学」である。工場見学してもらい、藍染めの工程を理解した上でなければ、製品を販売したくない、と考えているからだ。単純な工場見学だけでなく、藍染め業者の信仰を集めた「愛染明王像見学」、地元の季節野菜の会などを組み合わせたプロジェクトにしたいと考えている。
 第二のプロジェクトは、予約会である。藍染めの筒袖半着と野袴のセット、手甲脚絆、褌、ストール、シャツ、パンツ等を試着し、予約販売するイベントである。
 第三のプロジェクトは、藍染め生活着を愛用する人のコミュニティ作りとイベントである。できれば、藍染め愛好家の方を取材して、「藍染めと暮らす」という書籍を作成したい。
 第四のプロジェクトは、藍染めカフェの開設。藍染めの良さを伝えることを目的としたカフェであり、藍色、ジャパンブルーがコンセプトの生活用品の開発と販売も行う。
 以上のように、定期的にプロジェクトを企画運営し、愛用者を増やし、一定量の継続的生産を可能にすることが最終目的である。

*有料メルマガj-fashion journal(145)を紹介しています。本論文は、2014.8.25に配信されたものです。リアルタイムでの講読をご希望の方は、http://www.mag2.com/m/0001355612.htmlよりお申し込みください。

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