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July 13, 2015

新たなショールームのあり方 j-fashion journal(139)

1.ショールームの存在意義

 なぜ、小売店ではなく、ショールームを設置するのか?
 第一は、直販できない事情がある場合。
 例えば、インテリアファブリックスでは、代理店流通が主流であり、代理店を飛び越して顧客に販売しない。
 長年、メーカーが直営店を出せなかったのも、同様の理由だ。直営店を出すことは、得意先である小売店の商圏を侵すことになる。しかし、メーカーがショールームを設置して、小売店に顧客を誘導することは喜ばれる。
 第二は、顧客が現物サンプルを確認するためのショールーム。自社でネット通販をしている場合、受注はネットで受注するほうが合理的だ。在庫確認もできるし、受注データも自動的に処理される。
 しかし、テキスタイルやアパレル製品は、現物を確認しなければ、風合いや着心地が分からない。だから、ショールームで商品を確認して、ネットで注文するニーズはある。
 小売店が直面しているショールーミング現象は、ネットの出現により、リアル店舗の機能を見直す必要があるということだ。

 ネットが出現しているにも関わらず、ネット以前の時代同様に、商品を並べているだけの店舗は淘汰されるだろう。ネットにない魅力をどのように訴求するのか。あるいは、メーカーの商品を販売するだけでいいのか、という根本的な問題にもつながる。
 量販店がPB戦略に舵を切ったように、家電量販店もPB戦略を強化すべきかもしれない。
 メーカーや卸商の代理店戦略も曲がり角を迎えている。アパレル業界では、製造卸にこだわった企業は淘汰された。自ら直営店を運営し、製造小売業に舵を切った企業が生き残ったのだ。同様のことが、インテリアファブリックス業界でも起きることは想像に難くない。
 小売店もショールームも、ネット以前のままでは存在意義を失う。ネット時代の小売店、ネット時代のショールームが求められているのだ。

2.ネットを補完するショールーム

 ネットには検索という武器がある。どのような検索ワードを立て、どのように検索させるかが勝負だ。
 リアル店舗やショールームは、編集が武器になる。ターゲット顧客をどのように設定し、それに対応する商品をどのように分類するか。それを、どのように戦略的かつ視覚的に演出するかが問われる。
 ネットは分類より検索。リアル店舗やショールームは編集と視覚的演出が重要だ。
 したがって、ネットで売れる商品とリアル店舗で売れる商品は異なる。ネットでは際立った検索ワードを持った商品が検索に引っかかる。一般的な商品よりも、徹底的に特徴のある商品が好ましい。全体の調和より尖った個性が重要だ。
 一方、リアル店舗では、店舗全体の調和が重要だ。店舗全体でどのようなイメージを表現するかが問われる。その意味では、尖った単品よりも、トータルコーディネートが重要になる。
 そう考えると、「ネットで販売する商品をそのままショールームに並べればいいのか」「店頭で販売している商品をそのままネットで紹介すればいいのか」という問題意識も出てくる。両者は徹底的に異なるものではないのか。
 例えば、最もショールーミングで悩んでいるのは、家電量販店だろう。もし、家電量販店がインテリアデザインとしての家電製品を手がけるならば、店舗販売が相応しい。しかし、機能と価格だけの単品の魅力を訴求するのならば、ネットで十分だ。
 逆に言うと、ネットだけで売れない商品はショールームや店舗で販売すれば売れるかもしれないし、店頭で売れない商品も徹底的に検索にこだわってネットで販売すれば売れるかもしれない。
 「クリック&モルタル」「オムニチャンネル」では、同じ商品を多様な方法で販売するというイメージがあるが、それが正しいかどうかは分からない。むしろ、一度疑うべきかもしれない。

3.顧客とのコミュニケーション機能

 店舗やショールームのあり方を考える前に、顧客とのコミュニケーションの手段や方法をトータルに考える必要があるだろう。
 現在、顧客に情報を伝達するにはいくつもの方法がある。インターネットだけに限定しても、WEB、ブログ、facebook、twitter、YouTube、USTREAM等は全て性格が異なる。
 リアルな空間を考えても、工房、物販店、ギャラリー、飲食店、カフェ、イベントスペース等では、それぞれ顧客とのコミケュニケーション方法とその内容が異なる。
 収益を上げるビジネスモデルについても、物販だけでなく、加工、スペース貸し、設備貸し、広告収入、アフィリエイト等、様々な可能性がある。
 私は「店舗は物販による収入だけに依存する」という固定概念から脱するべきと考えている。
 なぜなら、都心の一等地では物販だけで採算を取ることは非常に難しいからだ。しかし、ネットにおける情報発信にリアルな空間か生かせるのであれば、話は変わってくる。
 つまり、直営店戦略や新業態戦略を立てる場合、店舗の独立採算にこだわり過ぎるとビジネスが成立しないということだ。独立採算で考えるならば、売りやすい商品を揃えなければならない。そうなると特徴がなくなるし、
周囲の店舗との差別化ができない。また、ブランド訴求は非常に難しい。
 ブランド訴求するには、特徴が明確な商品でなければならない。そうしないと話題性が取れない。しかし、話題性のある商品は顧客を限定する。店舗の商圏内の顧客だけでは採算が取れないのだ。その場合、ネットで補完
することになる。ネットのコンテンツとしてショップ情報は重要なのだ。
 つまり、ネット販売を前提にしない限り、ショップの採算は取れないということだ。

4. ショールームに教育機能を付加しよう

 ショールームに話を戻そう。ショールームは物販を目的としない。物販を目的としないのなれば、「教育」という視点が重要になる。教育は、最大のコミュニケーションである。商品を与えるのではなく、体験、感動、知識、
情報を与えるのが教育だ。
 ショールームで行う「教育」とは、小売店に対する教育であり、顧客に対する教育でもある。
 通常の学校は、教育の対価として授業料を支払うが、ショールームでは教材としての商品を購入する。そして、教育を受けるのだ。
 その意味では、学校教育というよりワークショップというべきかもしれない。
 たとえば、テキスタイル卸のショールームでテキスタイル教育を行う。そして、テキスタイルを理解した上で商品を作るワークショップを行う。
 例えば、テキスタイルと既存の基本パターンを選んで組み合わせる。その上で、細部をアレンジしたり、仕様変更を行うワークショップを行う。
 そして、実際にサンプルを作成し、展示会にかけてみる。サンプル作成費は受講者が負担する。もし、展示会でバイヤーから受注することに成功すれば、売り上げの歩合を受け取る。もし、受注できなければ、サンプルを自分で着用することになる。
 このワークショップはファッションビジネスの教育でもあり、インキュベーターでもある。そして、テキスタイル卸にとっては、顧客創造でもある。
 これを教育と考えれば、非常にリーズナブルだ。支払うのは実費のみであり、最悪でも、オリジナルの服が手に入る。その上で、良い作品ができれば、起業にもつながるのである。
 まさに企業とユーザーとのWIN-WINの関係が構築できるのだ。

*有料メルマガj-fashion journal(139)を紹介しています。本論文は、2014.7.21に配信されたものです。リアルタイムでの講読をご希望の方は、http://www.mag2.com/m/0001355612.htmlよりお申し込みください。

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