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July 29, 2015

ニットファブ、ニットフェスを考える j-fashion journal(156)

1.ニットファッションの独自性

 ファッション専門学校は、洋裁学校からスタートしており、布帛のアイテム(ワンピース、ジャケット、ブラウス、スカート、パンツ等)は教えるが、ニットについてはほとんど触れない。
 しかし、現在のファッションを見れば、トップスはシャツよりカットソーが多いし、あらゆるアイテムにニットファブリックが使われている。伸びないことを前提にした本縫いの縫製ではなく、伸びることを前提にしたロックミシン中心の縫製が増えているのだ。
 セーター(横編み)の企画は、糸から編地を作る「ニットテキスタイルデザイン」と、編地を使って服にする「ニットアパレルデザイン」を同時に行わなければならない。
 「ニットテキスタイルデザイン」においては、色の知識、糸の知識、糸番手とゲージの関係、編組織、ニット編機の知識が要求される。「ニットアパレルデザイン」においては、ニット独特のデザイン、リンキングの技法等の理解が不可欠である。

 更に、現在の編機はコンピュータ制御になっているので、ニッターになるのなら、ニットCADの知識、操作が不可欠だ。
 かつては、どの百貨店にも「セーター売場」があり、商品を供給する多くのニットアパレルが存在した。
 現在は、セーター売場がなくなり、ニットアパレルも淘汰が進んだ。ニット製品の輸入浸透率は99%以上になっている。日本で流通しているセーターのほとんどが中国製である。
 ということで、ファッションデザイナーの多くはニットのことを知らないし、ニットが分かる専門家、ニットデザイナーは減少の一途をたどっている。
 
2.ニットの方が起業しやすい

 それでも、私がアパレルとして起業するなら、ニットを選ぶ。小ロットでオリジナル商品が作れるし、ビジネス形態もシンプルであり、大きな資本も必要ない。
 布帛のアパレルを始めようとすれば、まず社内にデザイナーとパターンナーが必要になる。そして、生地を仕入れ、縫製工場に出してアパレル製品に加工する。
 生地はアイテムによって異なるし、縫製工場も得意なアイテムが存在する。
 オリジナルのテキスタイルを作ろうとすれば、最低ロットの壁が立ちふさがる。整経のロット、織りのロット、染めのロットぁそして、製品にする場合も縫製のロットが存在する。基本的に布帛のアパレル製品はある程度の量産が基本なっているため、小ロットではアップチャージになる。つまり、最初から競争力がないのだ。
 ニットは、手編み、家庭機、手横、自動機と段階があるが、手編みでも製品の魅力があれば、最新の自動機の製品にも勝てる。
 手横、自動機はアイテムによって、ゲージを選ばなければならないが、糸は細いものを合わせて太くすることもできる。何よりも、糸の染めロットは布帛に比べて格段に小さい。糸を自由に染め、好きな色の製品を一枚から作ることが可能だ。
 そして、編地を選び、仕様書を書けば、ニッターが製品まで加工してくれる。
 極論すれば、雑誌の切り抜きを持って行って、「こんな製品を作りたい」と言うだけで形になる。
 ニッターの社長が協力してくれれば、一人でも製品を企画しサンプルを作ることができる。それを展示会にかけて、注文が集まれば、量産も可能である。
 布帛は、アパレルが生地、付属を仕入れ、加工賃を支払って製品にするので、最初に資金が必要になる。また、原価計算もやっかいだ。
 デザイナー、パターンナー、生産管理、営業等の人材も必要だ。全てを一人で兼任することも不可能ではないが、そういう人材は非常に少ない。
 ニットは、ニッターが糸、付属を仕入れ、製品をアパレルに販売する。アパレルは原価計算をする必要もない。布帛に比べたら、デザイナーが一人でビジネスすることも容易である。勿論、そのニットデザイナーが少ないというのは問題だが、それだけに競合も少ない。

3.ニットフェスを考える

 現在、ニット業界を代表するイベントは、JBKS(ジャパン・ベストニット・セレクション)である。日本全国のニッター約60社が一堂に会し、アパレルや小売店に対して、最新サンプルを展示する。以前は、ニット産地ごとに展示会を行っていたが、ニッターの淘汰が進み、現在は、JBKSに集約されている。
 しかし、B2Bの展示会は年々衰退している。出展者も来場者も減少しているのだ。その理由は明確である。
 まず、前述したように、ニット製品の輸入浸透率は高く、日本市場においては、輸入品がほとんどであること。したがって、小売店の立場に立てば、海外のニッターが出展しない展示会では、市場価格に合わず、商売にならない。結果的に情報収集目的の来場が増え、ビジネスに直結しない展示会になってしまうのである。
 出展者にとっても、高額な国内製品を仕入れられる小売店は少なく、展示会で新規取引先を開拓できる可能性は、年々下がっていく。
 また、ニッターの中には、オリジナルブランドを展開し、ネットや通販雑誌を通じて、直接消費者に販売するケースが増えている。こうしたビジネスモデルでは、展示会に出るメリットはない。
 私は、B2BからB2Cのイベントに切り換えるべきと考えている。そして、一般消費者を集め、最新のサンプルを提示し、予約を取る。
 こうしたイベントなら、趣味で手編みを行っているサークルも、個人で活動しているニット作家も、プロのニッターも参加できる。また、ニット製品だけでなく、家庭用編機、糸商、手芸用品等を扱う企業も出展することができるし、ニットファッションを教えている専門学校も出展することが可能になる。
 そして、手作りのニットファッションショーを行えば、プロモーション効果も期待できるだろう。ニットを楽しみ、体験し、予約もできるニットフェスである。


4.ニットファブを考える

 「ファブ」とはファブリケーションの略に由来し、3Dプリンターやレーザーカッター等を設置した、誰もが商品を製造できる拠点を指す。「ソーシャルファブ」ともいう。
 「ニットファブ」とは,誰でもニット製品が制作できて、量産も可能なビジネス拠点である。
 例えば、趣味の手編みの人にとっては、小売店では入手できない糸が入手できて、参考になる資料が整備されていて、初心者向けから高度な製品までを作れる手編みをワークショップが開催されれば良い。
 プロのニット作家なら、ニットトレンド等の資料が閲覧できて、糸や付属の仕入れができて、更には、ニット作品を展示、即売できる仕組みがあれば良いだろう。
 プロのニットデザイナー、あるいは、ニットベンチャー起業家なら、上記に加えて、全国のニッターとのネットワーク、展示会、ネット販売のノウハウを教えてくれるワークショップ、シェアオフィス等が整備されれば、すぐに起業できるはずだ。
 こうした人々が集まれる拠点があり、いくつかのワークショップが開催され、オフィススペースの時間貸し、スペース貸しが柔軟にできれば、ニットの活性化が可能になると思う。

*有料メルマガj-fashion journal(156)を紹介しています。本論文は、2014.11.10に配信されたものです。リアルタイムでの講読をご希望の方は、http://www.mag2.com/m/0001355612.htmlよりお申し込みください。

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