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July 29, 2015

友達が集まるイベントで、友達と一緒に、友達が作った商品を買おう!j-fashion journal(155)

1.地域密着の楽しさ

 先日、墨田区を拠点に活躍するクリエイターのグループのパーティーに出掛けた。地域を拠点にしているので、近所のマッサージ屋さんが出前で無料マッサージをしたり、近所のレストランがケータリングしていたり、近所のスナックのきれいなお姉さんが混ざっていたりと、とても楽しいイベントだった。
 素材や仕様、手入れの方法等は、作者から直接聞くことができる。壊れたり、汚れたりしても、相談すれば修理してくれる。
 メイドインジャパンの商品に人気が集まっているが、ここの商品は「メンドイン友達」である。しかも大量生産していないので、同じ商品を持った人と会っても、嫌な感じを受けるどころか、仲間意識を感じるかもしれない。あるいは、「そのバッグ○○さんが作ったものですよね。私も持っているんですけど、いいですよね」などと会話が弾むおではないか。

2.大量生産大量販売の矛盾

 大きなビジネスにはならないかもしれないが、集まっている人達は皆幸せそうだった。
 大量販売大量販売とは正反対だ。ビジネスになるが、幸せになれるかは分からない。
 大量生産というシステムは、作っている人も面白くない。効率を追求し、コストを叩かれる。のんびりと楽しみながら生産することはできないのだ。
 大量販売している人も予算に追われている。予算達成のためなら、嫌な客にも買ってもらわなければならない。
 顧客も、販売員の押しつけがましい接客に嫌気がさしている。誰がどんな工場で作っているのかも分からない。もしかしたら、安物を売りつけられたのではないか、あるいは、どこかにもっと安く売っているのではないか、と不安になっている。
 誰も幸せにならないのに、大量生産大量販売を続けているのは、巨大な工場でなければ工業製品はできないからだ。オーダーメイドは高くなる。コストを追求するなら、大量生産が必要だ。
 しかし、大量生産すると大量販売が必要になり、巨大な倉庫、物流機能が必要になる。また、大量販売のための広告宣伝、全国規模の店舗網も必要だ。
 そして、大量生産商品を完売することは難しい。どうしても余剰品が発生し、その処理にもコストが掛かる。
 オーダーメイドにもメリットとデメリットがあり、大量生産大量販売にもメリットとデメリットがある。
 最終的には、これらのコスト問題に、顧客満足という要素が付加されるのである。
 
3.ファッションの機能が変わる

 ラグジュアリーブランドは、誰もが知っている記号である。だから、新興国の富裕層はラグジュアリーブランドを身につけようとする。上流階級に所属する身分証明書の機能を果たすからだ。
 先進国では、次第にラグジュアリーブランドの人気が落ちている。ブログ、SNS等で自分の意見を公にできる環境が整うにつれ、外面を取り繕う必然性は希薄になっている。普通の格好をしていても、SNSで発信していれば、その人の内容は分かる。ファッションに求める機能を変わってきているのである。
 同時に、ショップ、商品の情報を入手する方法もマスプロモーション、マスメディアに依存する必要はない。むしろ、内容が分かっている個人の意見の方が信頼性は厚い。
 また、制作者、メーカーと「友達」になっておけば、商品を購入した後もつながっていられる。商品を所有するよりも、制作者との関係を築く方に価値を感じる人も少なくないだろう。「商品を購入するのは、制作者とつながりたいから」という現象も起きてくる。
 商品を所有しても、幸せにはなれないけど、人とつながれれば幸せになれる。この違いは大きいのではないか。
 そうなると、商品とは制作者の人間性を表現するものになる。また、購入した顧客の人間性を表現するメディアにもなる。売れるとか、売れないとか、機能性の問題ではない。そこに込められた精神性、ストーリーが問題になるのだ。

4.ソーシャルにつながるコミューン経済

 これまで生産者と消費者は対立してきた。しかし、ソーシャルという概念が定着するにつれ、生産者とつながる消費者が出現した。消費者と直接つながる生産者も出てきた。生産者と消費者の交流が始まり、両者はつながっていった。つながった関係における売買は、コミュニケーションを目的としている。
 こうした消費が主流になることはないだろうが、その割合は増えていくに違いない。
 私の友人で「facebookの友達の店にしか行かない」という男性がいる。洋服を買うのも、食事をするのも全て友達の家(うち)だ。それでいて、毎日、昼食はカップ麺と決めている。
 彼は、こだわりが強いのではない。こだわって商品を探すのではなく、こだわらないから友達の家に行くのだ。彼は、お金がないわけでもない。友達に勧められれば、値札を見ないで購入する。購入した理由は、「他の友達に話ができるから」というものだ。
 こういう顧客に対応できるマーケティング戦略は存在するのだろうか。彼は、テレビも雑誌も見ない。商品にも興味がない。自分のコミュニティを作り、その中で生活している。
 1970年代、世界中でヒッピームーブメントが起きた。彼らはコミューンを作り、「ラブ&ピース」「フリーセックス」をスローガンに外界と隔絶した生活をしていた。
 現在のfacebook愛好者の中にも、ヒッピーと類似した精神が隠れているのではないか。小さな独立した世界を作り、その中で生活する。大資本に金を払うなら、友達に金を払いたい。商品が高いとか安いという問題ではないのだ。
 グローバル企業に搾取されてきた個人が、ささやかではあるが力強い逆襲が始まっているのかもしれない。

*有料メルマガj-fashion journal(155)を紹介しています。本論文は、2014.11.3に配信されたものです。リアルタイムでの講読をご希望の方は、http://www.mag2.com/m/0001355612.htmlよりお申し込みください。

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