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April 17, 2015

アパレルサプライチェーン業界とファッション業界 j-fashion journal(134)

1.アパレルサプライチェーン業界

 繊維業界は、川上から川下まで非常に幅広い分野が含まれている。しかし、これを一括りにして良いのだろうか。
 例えば、自動車には、製鉄から鋼板、電気系統、タイヤ等、あらゆる部品や工程が必要だが、自動車産業と言えば、素材の製造は含まれない。
 繊維産業の場合、紡績や合繊メーカーからアパレル、流通業に至るまでを、繊維ファッション産業としてまとめており、非常に長いサプライチェーンが存在する。
 紡績、合繊メーカーは、アパレルやインテリア以外の素材にも、水の濾過に使うフィルムや炭素繊維、建材や土木資材まであらゆる分野の素材を製造している。
 商社もまた、あらゆる分野で商取引を行っている。不動産開発、エネルギー、農産物、鉱物資源等々だ。
 綿、合繊の糸からテキスタイルまでの段階は、長年、紡績、合繊メーカーが中心となり、「系列」を構成してきた。白生地産地と言われる北陸や浜松、泉州はテキスタイルメーカーの多くは賃加工で白生地で納品する。

 白生地がどんな色に染織されるか。あるいは、どんなプリントが乗るかは関知しない。その意味では、欧米のテキスタイルメーカーとは異なる存在だ。
 桐生や米沢のような複合ジャカード産地は、様々な糸を使うので、糸メーカーの系列からは外れている。しかし、カラーの決定や販売面では生地問屋に依存するメーカーが多い。
 尾州は官需からスタートしており、テキスタイルメーカー(親機)の力が強い。カラーの設定や販売面では、やはり大手生地問屋に依存しているメーカーが多い。
 このように、テキスタイルメーカーも産地毎で独立していた。それが初めて連携したのは、JC(ジャパンクリエーション)だった。
 元々、アパレル企業(アパレル問屋)は独立心が強く、業界としてまとまった活動はしていなかった。せいぜい、新入社員教育や人材育成、採用活動でまとまった動きをする程度だ。
 しかし、経済産業省主導で、日本ファッション・ウィーク推進機構が組織されてからは、国の補助金が降りるようになり、経済産業省、繊維産業連盟との連携が強まってきた。
 経済産業省、繊維産業連盟側の立場に立てば、川上から川下までが一つの団体として、トータルにイベントを運営することは価値があるだろう。
 アパレルサプライチェーンは一つの業界としてのまとまりを見せるようになった。しかし、この中に含まれない分野も少なくないのだ。
 
2.企業別組合と職業別組合

 日本の労働組合は、「企業別組合」が基本だが、欧米では「職業別組合」が中心だ。このことからも分かるように、日本の企業社会では企業単位のまとまりが強い。そのため、職種毎の定義や責任範囲、業務フローも曖昧だ。
 例えば、アパレルのデザイナーやマーチャンダイザーという職種も企業によって、業務内容が大きく異なる。社内会議のあり方もその中でも立場や責任もバラバラである。
 日本社会で人間関係と言えば、多くは社内の人間関係を指す。既に、終身雇用制は揺らいでいるものの、欧米のように転職を繰り返しながらキャリアアップするという発想はない。
 そのため、様々な会社の人間が集まるパーティーなどで、知らない人同士で会話を楽しむという文化が存在しない。会話をしても、それが直接ビジネスに直結することはない。個人のつきあいと、会社対会社の取引の間には、厳しい線引きがある。
 もし、日本が欧米のように転職をベースにしたキャリア形成をしているとしたら、業界の懇親パーティーの様子も大きく様変わりするだろう。
 多くの個人と知り合うことは、互いの転職の可能性を引き出すからだ。あるいは、大きなプロジェクトチームに誘われるかもしれない。
 業界マスコミも、日本と欧米では性格が異なる。欧米の業界紙は、個人を対象にした記事が多く掲載される。高級ブランド企業のチースデザイナーの異動や、販売マネージャーの異動は業界内の大きなニュースになる。しかし、日本においては、企業内の人事異動のニュースはあっても、転職に関するニュースはほとんど掲載されない。
 欧米の業界マスコミは、個人とのつきあいを大切にする。最も迅速で正確な情報源は個人的な情報だからだ。しかし、日本の業界マスコミは、会社の顔である経営者に顔がきくことが重視される。そうすれば、企業情報の取材がスムーズに行くからである。
   
3.消費者がイメージするファッション業界

 日本国内にファッション業界は存在するのだろうか。我々は、いつからか「繊維ファッション業界」と呼ぶことに慣らされている。しかし、繊維業界とファッション業界とは水と油くらい異なると思うのだ。
 我々が「繊維ファッション業界」と呼んでいるのは、「アパレルサプライチェーン業界」のことを指している。
 そこには、メディア関連の人達は含まれていない。あくまで、モノ作りに関わる人達の業界である。したがって、最新の流行の服をと着ることもなく、普通のビジネススーツを着ている人達が多い。
 最近、テレビのワイドショーやバラエティ番組で「ファッションディレクター」「ファッションプロデューサー」という肩書を目にする。多くは、街角の素人さんか、芸能人のファッションチェックを行う人だ。
 ここで言うディレクターやプロデューサーは、テレビや雑誌などのメディアでコンテンツ制作をするディレクターやプロデューサーを指している。
 ファッションブランドを開発したり、商品化を決定するモノ作りの専門職ではない。
 一般の人は、こうした人たちをファッション業界の人間と思っているに違いない。あるいは、雑誌のモデルやスタイリスト、デザイナーやショップ店長がイメージされるだろう。
 消費者と直接、コミュニケーションを取っているのはこうした人達だ。
 サプライチェーンの人間は、消費者との接点を持っていない。そして、ファッションなるものも理解していないことが多い。彼らが生産しているのは、1メートルいくらの生地だったり、1キログラムいくらの糸だ。自動車で言えば、鋼板や部品を作っているのであり、技術が問われる分野である。
 一方、一般の消費者がイメージするファッション業界とは、イメージを作り出す業界だ。モノではなく、情報やコンテンツを作る仕事。イメージを創造し、消費者に効果的に伝達する人々である。
 
4.ファッションをテーマにしたパーティーをしよう!

 毎年、6月に、日本アパレルファッション産業協会の総会、講演会、懇親パーティーがホテルニューオータニで開かれる。出席者は、圧倒的にシニアの男性。スーツ姿がほとんどである。
 私も毎回ではないが、20年以上前から出席している。ここでしか会えない諸先輩に会えるのも楽しいものだが、いつもどこか釈然としない思いが残る。
 会場を見回して思うのは、「ここに集まった皆さんはファッションか好きなのだろうか?」ということだ。「そんなわけないよな。商売だから、仕事だからやっているだけだよね」とすぐに納得するのだが・・・。
 例えば、このパーティーが女性同伴なら、男女半々になるだろう。そうなっただけで、ファッショナブルになることは間違いないし、ファッションが話題になるはずだ。消費刺激策としても有効なのではないだろうか。
 最近、若い世代が集まるファッション業界以外の集まりに顔を出している。多くは、長々とした挨拶もないし、自由に会話を楽しんでいる。こういうパーティーに集まる人達は、会社対会社のビジネスより、個人の関係を大切にしているようだ。だから、パーティーに参加する目的が明確だ。
 アパレルサプライチェーン業界のパーティーは楽しくない。ファッションが話題になることもないのだ。ファッションを楽しむパーティー、ファッションをテーマにしたパーティーはできないだろうか。ファッションについて語りたい人は少なくないと思うのだ。
 モノ作りの業界だけでなく、メディアの方々や異業種が集まるようなパーティー。個人のネットワークができて、仕事にもつながる可能性があるパーティー。フリーランスの人、企業の人が集まれるパーティーにしたいと思う。
 但し、パーティーを一人で主催するのはなかなか大変なのだ。どうしたら、合理的なパーティーの運営ができるのだろう?
 パーティーを目的としたサークルを作るのも良いかもしれない。そこから、何かが生まれるような気がする。

*有料メルマガj-fashion journal(134)を紹介しています。本論文は、2014.6.16に配信されたものです。リアルタイムでの講読をご希望の方は、http://www.mag2.com/m/0001355612.htmlよりお申し込みください。

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