My Photo

お知らせ

無料ブログはココログ

« 大企業ができること、できないこと j-fashion journal(126) | Main | ロジカルシンキングは嫌われる j-fashion journal(128) »

November 16, 2014

若手デザイナーが成長できるファッションビジネスモデルを考える j-fashion journal(127)

1.大手アパレル、SPA企業とのビジネスの差別化

 70年代から80年代にかけて、原宿を中心にDCブランドが大ブームとなった。DCブランドブームは、デザインの違いだけで起きたわけではない。ビジネスモデルの革新があったから、ブームになった。
 DCブランドは、デザイナーズブランドから始まった。当時のデザイナーズブランドの条件は二つ。ファッションショーを行うことと、ブティック(直営店)を持つことである。
 当時の大手アパレル(百貨店アパレル)、専門店アパレル共に「製造卸」であり、直営店を持つことはタブーだった。
 また、日本人デザイナーでファッションショーを行うのは、クチュール系のデザイナーの一部と、NDC、NDKといったデザイナー団体だけだった。 既製服デザイナーがファッションショーを行ったのは、デザイナーズブランドと呼ばれた一群のデザイナーが初めてだ。

 70年代後半になると、ファッション雑誌、スタイリストとの連携が始まる。そして、プレスルームを開設し、そこに「プレス担当」を置くようになった。
 欧米の「アタッシュ・ド・プレス」は、ブランドそのものの広報担当だが、日本のプレス担当は、ファッション雑誌や広告のスタイリストの窓口だった。この効果は絶大であり、ファッション雑誌には毎号デザイナーズブランドの商品が紹介されるようになった。
 やがて、このビジネスモデルを原宿のマンションメーカーが取り入れるようになる。ラフォーレ原宿が「原宿コレクション」を開き、ラフォーレ原宿に直営店を誘致することで、デザイナーズブランドの条件を満たすようになった。
 ここに至って、デザイナーズブランドとキャラクターブランドは、「DCブランド」と総称されるようになった。
 当時は、不動産開発ブームでもあった。全国に駅ビルやファッションビルが林立した。そのテナントの中心がDCブランドであり、DCブランドは全国に広がったのだ。
 現在の若手デザイナーのビジネスが成長できないのは、こうしたビジネスモデルの革新を伴っていないからである。
 DCブランドが開発したビジネスモデルは、その後、大手アパレル、専門店アパレル、専業アパレルも踏襲し、SPA業態として存続している。現在は、セレクトショップとSPAがアパレル流通の中心となっている。
 
2.完全受注生産販売を実現する

 若手デザイナーのビジネスが成長するには、DCブランドのようなビジネスモデルの革新がなければならない。そして、それは、徹底的に現在主流のビジネスモデルと差別化していなければならない。
 ビジネスモデルの革新という意味で可能性があるのは、インターネットの活用である。具体的には、「facebook」「twitter」などのSNSの活用、「YouTube」「Ustream」などの動画共有サービスの活用、グーグルの「アドワーズ」(検索連動型広告)と 「アドセンス」(成果報酬型広告)の活用等だ。
 また、ブロガー等にブランドや商品の広告をしてもらい、販売額に応じた報酬を与える「アフィリエイト」(成功報酬型広告)も重要な営業手段になるだろう。
 ファッションビジネスで最大限、インターネットを活用するとはどんなビジネスモデルなのだろうか。私もまだ結論に至っているわけではないが、いくつかの可能性について考えてみたい。
 まず、新ビジネスモデルの前提をいくつか整理しよう。
 現在の百貨店、量販店、専門店は店舗販売中心なので、インターネット通販に軸足を置けない。
 百貨店は大手アパレル中心であったために、セレクトショップ導入が遅れ、ルミネなどの有力駅ビルがセレクトショップをテナントとした。これにより、駅ビルのイメージが大きく向上し、百貨店を超えるイメージ獲得に成功した。
 SPA型アパレル企業は、商社、企画会社に商品提案、生産を委託し、ブランドマネジメントと販売に集中した。一部の専門店企業は、SPA型同様に商社から商品調達を行い、急成長した。ここにもビジネスモデルの革新が見られた。
 以上の全てと差別化するには、まずネット販売を中心に据えることだろう。
 店舗を持たないという意味ではなく、店舗を持つなら「ネットと連動したイベントやコミュニケーションの場」として機能させる。その意味では、物販ではなく、「カフェ」「バー」「ギャラリー」「ライブハウス」のような空間かもしれない。
 店舗販売を中心にしないならば、店頭を構成するだけのデザイン数を確保する必要はない。むしろ、徹底的に単品訴求する方法もある。たとえば、Tシャツに特化する。あるいは、パンツに特化する。
 テキスタイルの構成も、トータルコーディネートを前提にしないのであれば、オリジナルテキスタイルを一つ開発して、それでできる製品を販売するというアプローチもあるだろう。
 単品で勝負するのであれば、大手SPA企業で販売するようなベーシックなデザインは必要ない。徹底的に差別化する必要がある。
 また、商品は大量生産ではなく、一枚生産を中心に考える。手作りの雑貨やアクセサリー。デジタルプリントも重要な表現方法だろう。あるいは、コンピュータジャカードのニットや刺繍も活用できる。
 そして、理想は完全な受注生産だ。イベントとネットで顧客から受注し生産する。そのための生産体制は考えておかなければならない。共通の素材、共通の縫製仕様、あるいは共通のカラー等を使えば、少量でも生産が容易になる。
 
3.ネットでビジネスを完結させる

 通常のアパレルビジネスは、展示会を開催して、小売店のバイヤーから受注する。しかし、ネット販売を主体に考えるならば、基本は最終消費者からの受注である。
 一般のアパレルビジネスでは、小売店の利益を考えなければならないが、完全に直営店とネット販売だけで販売するならば、通常よりも割安の価格設定ができる。そうしないと、量産品との価格競争で勝てない。価格競争に加わる必要はないが、一枚生産でも、小売店を介さないことでリーズナブルな価格で販売できるのはメリットだろう。
 受注イベントは、一人で行うよりも数人のデザイナーが集まり、ネット上の合同展を行う方が良いだろう。
 できれば、テキスタイルメーカーや縫製メーカーにも参加してもらいたい。一つの生地を何人かでデザインしたり、同じパターンで生地をのせ換えたりするのも楽しいだろう。デザイナーだけで完結するのではなく、地域や企業などを巻き込みたい。それが全てプロモーションにつながるし、社会的な貢献にもつながるからだ。
 YouTubeでファッションショーや商品説明を行い、顧客にアピールするのも効果的だ。
 ニコ動のイベントと連携するのも良いかもしれないし、音楽などのエンタメとのコラボも考えられる。
 受注会というより、一つのイベントとして盛り上がることで、全体の集客を促したいところだ。ここで何千人かの人が集まれば、それでイベントは成功する。
 できれば、海外にも発信したいところだ。国内用の動画を全て外国語で吹き替えてアップする。それだけでも、大きな反応があるだろう。
 
4.「YouTube」「facebook」で世界に発信しよう

 デザイナー、新進ブランドのネット活用はどの程度進んでいるのだろうか。
 新人デザイナーのコレクションや合同展を見ても、過去のビジネスモデルを踏襲しているに過ぎない。旧来のビジネスモデルを踏襲する限り、既存の企業以上に成長することは困難だ。
 アパレルのデザイナーやベンチャー企業こそ、もっとYouTubeを使って世界に発信すべきだ。コピーされるかもしれないなどと考えていたら何もできない。「誰にも知られない」よりも、「コピーされて有名になった」方が余程良い。コピーされたら、コピーされたことを発信すれば、それがコンテンツになる。
 「facebook」でブランドのページを立ち上げ、動画や写真をアップしよう。それで、ファンを獲得するのだ。
 私が「YouTube」「facebook」に魅力を感じるのは、世界に発信できるからだ。何も発信しないより、WEB翻訳のブロークンな英語でも発信する方が良い。
 既存の展示会やファッションショーに投資するくらいなら、新しいビジネスモデルの構築に投資すべきではないのか?

*有料メルマガj-fashion journal(127)を紹介しています。本論文は、2014.4.28に配信されたものです。リアルタイムでの講読をご希望の方は、http://www.mag2.com/m/0001355612.htmlよりお申し込みください。

« 大企業ができること、できないこと j-fashion journal(126) | Main | ロジカルシンキングは嫌われる j-fashion journal(128) »

「ファッションビジネス」カテゴリの記事

Comments

Post a comment

Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.

(Not displayed with comment.)

« 大企業ができること、できないこと j-fashion journal(126) | Main | ロジカルシンキングは嫌われる j-fashion journal(128) »