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September 08, 2014

シニア市場攻略『高齢貴族マーケティング』のすすめ(下) j-fashion journal(124)

5.高齢貴族は、投資価値のある商品を選ぶ

 月々の月給でやりくりする生活と、預貯金を切り崩す生活は消費の質を変える。月々の収支を重視するから、間に合わせの安い商品を購入する。しかし、資産を切り崩して商品を購入するのなら、長期的な投資という視点が出てくる。間に合わせではなく、投資に見合うかどうかを考えるのだ。
 たとえば、建て売りの住宅は、購入後、直ちに価値が減少する。しかし、優れたデザインのリノベーション物件ならば、価値が下がる割合は少ない。また、いつでも現金に変えられる投資価値のあるアンティークの家具や食器は、使い捨ての商品のように資産価値が下がらない。
 一点もの、限定生産のもの、趣味性の高い商品の方が価値は下がらないし、場合によっては価値が上がる。購入後、価値がなくなる商品と価値が上がるかもしれない商品であれば、価値が上がる可能性に投資するだろう。
 

6.高齢貴族は時間消費を重視する

 リタイア後の生活は、限られた余生とあり余る時間という二つの時間に支配されている。長生きしたとしても、寝たきりでは何もならない。最も恐れることは、寝たきりの生活になることだ。そこで、健康を維持することは最優先事項となる。
 「元気なうちに何がしたいのか」は重要なテーマである。趣味があれば、趣味を楽しみたい。旅行が好きならば、生きているうちに何回旅行に行けるかを考える。興味のないことは、時間もお金も節約したい。好きなことには、時間もお金も集中的に投資したいと考える。そのため、極端に消費のメリハリが出てくる。
 健康に良い食生活が基本であることに間違いないが、グルメな人は地方の名産品や限定生産の商品を取り寄せる。料理が好きならば、プロ仕様の設備や調理器具が欲しくなるだろう。食器にこだわりたい人は、食器を探すことが旅行の主な目的になるかもしれない。
 最低限の食事で良いと考える人は、レトルト食品でも冷凍食品でも構わない。そして、節約したお金で他の趣味に集中的に投資するのだ。
 高齢貴族は、商品を所有することよりも、それを楽しむ時間を重視する。買物が楽しみな人は、商品が並んでいるだけの店ではなく、店主や販売員との会話や商品説明を聞いている時間を楽しみたいと思う。
 大量生産大量販売というシステムは経済的合理性を追求した形態だが、楽しい時間消費には対応していない。「見やすく選びやすく買いやすい」というVMDも基本も疑わなければならない。最も重要なことは、売場で楽しい時間を過ごせることだ。そして、一つ一つの商品をじっくりと鑑賞し、商品を題材に会話を楽しむことだ。極論すれば、商品を購入することよりも、そのプロセスを楽しみたいのである。その意味で、経済合理せい優れた店は面白くない。無駄がないことより、魅力的な無駄があることが重要になる。
 商品を購入するだけなら、ネットで検索すればいい。お洒落をして、外出して、店に行くのだから、それなりの楽しみを期待するのは当然と言えよう。
 
7.高齢貴族の仕事は恋愛?
 
 光源氏の例を持ち出すまでもなく、貴族に恋愛はつきものである。支配階級だった貴族は、血縁関係が重要であり、恋愛もまた重要な仕事であった。
 現在の高齢貴族は自由だ。血縁関係を結ぶ必要もないし、結婚を前提とした恋愛である必要もない。
 若いときの恋愛は結婚を前提にしたものが多い。あるいは、性を享受するための恋愛。恋愛相手が既婚者だと不倫と言われる。
 高齢貴族の恋愛は必ずしも性に結びつかない。性に結びつかない恋愛なら不倫と言われることも少ないだろう。
 余生を楽しく過ごす異性の友人。恋愛と友情の中間のような関係。こんな異性関係を求める人は多い。
 元アパレル業界で仕事をしていた私の友人は女性にもてる。彼は既婚者だが、周囲の女性はあまり気にしていない。彼は、身だしなみに気をつけており、高級ブランドを身につけているわけではないかお洒落だ。最新のショップ情報、グルメ情報にも詳しい。ファッションの話題は得意だし、女性にファッションのアドバイスをしたりする。
 彼は、女性たちと食事を楽しみ、たまにはグループ旅行にも出掛ける。女性たちに共通しているのは、経済的に自立していることと、旦那さんに多くを期待していないことだ。
 これを恋愛関係と呼んでいいのかは分からない。しかし、高齢貴族には新しい男女関係のニーズがあるのは確かだろう。そして、男女で楽しむ時間と空間のニーズもあるはずだ。

8.高齢貴族ビジネスのコンセプト

 高齢貴族は、投資価値のある商品を選ぶ。一点もの、オーダーメイドが気軽に買い求められる環境があれば、新たな業態開発が期待できる。商品ではなく、作品を販売するという発想である。
 商品コンセプトは、他人との会話に役立つもの、驚きのあるもの、話題性のあるものが求められる。ブランドコンセプトでもいいし、性能でもいいし、蘊蓄でもいい。社会貢献、環境にやさしい商品、オーガニック商品、フェアトレード商品もいい。
 高齢貴族にとって、商品は実用品だけではない。その商品を通じてコミュニケーションが生まれることが重要なのだ。販売員とのコミュニケーション、購入した商品を友人に自慢する時のコミュニケーション。どちらも重要である。
 そう考えると、都心の店よりも、地元の店の方が有利だ。店は、地元のコミュニティの一員であり、地域に貢献することが求められる。
 生産者は作る意義を考え、ショップは売る意義を考える。顧客は購入する意義を考える。それらにより、豊かな地域社会が育っていく。そんな店であり、商品でなければならないのだ。
 ショップとは、商品を並べ、それを現金と交換する場ではない。地域社会に必要なコミュニティの拠点であり、コミュニケーションが生まれる場でなければならない。その意味では、物販に飲食を組み合わせる、イベントスペースを組み込むことが基本になるだろう。これは個店にも言えるし、百貨店やSCにも言えることだ。
 高齢貴族が集い、楽しめる空間とは何か。商品とは何か。それが今後10年間の課題になるだろう。

*有料メルマガj-fashion journal(124)を紹介しています。本論文は、2014.4.7に配信されたものです。リアルタイムでの講読をご希望の方は、http://www.mag2.com/m/0001355612.htmlよりお申し込みください。

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