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September 08, 2014

シニア市場攻略『高齢貴族マーケティング』のすすめ(上) j-fashion journal(123)

1.武士と農民によって育まれた日本人の精神風土

 日本人の精神風土は、土地に従属する農民と武士に大きな影響を受けている。村の共同作業である田植えや稲刈り。農村では、個人よりも共同体の論理が優先される。
 武士も、元々は農民だった。平常時は農民として自給自足の生活を行い、非常時には兵士となる。主君である大名も地域に根ざしており、その意味では大名、武士、農民は運命共同体でもあったのだ。
 土地に依存する「一所懸命」の思想は、終身雇用の会社組織では、「一生懸命」に転換していく。会社のためなら、単身赴任も厭わない。個人や家族の生活より、会社を優先する態度は、「御家第一」の武士の思想に近いものだ。
 農民と武士に共通しているのは、貨幣経済でなく、米経済であること。質素倹約、分相応という生活態度が奨励されたことである。

 一方、商人は貨幣経済発展と共に、経済的に豊かになる。江戸末期には、政治体制は武士中心だが、経済活動は商人階級が中心という二重構造が形成される。また、商人は大名貸しにより、経済的には武士階級への支配力を強めていく。それに対して、幕府は何度も倹約令を出したが、経済システムを変革することはできなかった。お大尽と呼ばれるような富裕層は贅沢な生活を楽しむようになり、華やかな江戸の町人文化が開花した。

2.中世ヨーロッパと日本の貴族階級

 貴族階級は、絶対的権力を持った支配階級が領民を支配することで生まれた。領民からの年貢や税金により、働かなくても豊かな生活ができる階級が貴族階級だ。これは、中世ヨーロッパも中世日本も共通している。
 日本では貴族の配下だった武士階級が軍事クーデターを起こし、軍事政権が非常に長い期間継続した。日本以外の国では一般的に、武士階級も支配者になると貴族化していく。しかし、鎌倉時代以降の日本では武士道精神が支配的となり、貴族化を防いだ。
 江戸時代末期には、町人階級、市民階級が主役となったが、明治以降はヨーロッパの絶対君主制が取り入れられ、天皇を中心にした建前としての貴族階級が形成される。しかし、その実態は幕藩体制を基盤とした軍事政権であることに変わりはなかった。
 ヨーロッパも、産業革命による資本主義と貨幣経済が発展するにつれ、貴族階級は時代に取り残され、最終的には淘汰された。そして、資本家階級が支配力を強めていったのである。そういう意味では、明治時代の日本はヨーロッパに合わせて、時間の流れを逆行させたとも言えるだろう。その矛盾を解消したのが、戦後日本だったというのは皮肉な話である。

3.現代日本の高齢貴族

 日本の貴族階級は、鎌倉幕府の武家政権以降、歴史の表舞台からは姿を消した。働かずに生活できるのは、皇族を中心とした一部の公家階級だけであり、武士も、農民も商人も職人も「働かざる者食うべからず」という思想を共有していた。
 しかし、現代日本において、歴史上例を見ない大量の貴族階級が誕生しようとしている。かつての貴族階級は年貢や税金が原資となった。現代の貴族は、退職金と年金が原資だ。
 現在の退職金制度は、年功序列給、終身雇用が基本になっている。こうした制度が崩壊すれば、現在のような退職金制度も姿を消すだろう。年金制度も同様である。少子化社会の現在、高齢化が進展するにつれ、若者世代の負担が大きくなる。現在のような制度は期間限定と考えなければならない。
 期間限定、高齢者に限定した貴族階級。それが、高齢貴族だ。

4.高齢貴族は田舎暮らしを選ぶ

 貴族が全て富裕層とは限らない。貧乏貴族も存在する。しかし、働かないで生活するという点で共通している。
 歴史的に見ると、貨幣経済、資本主義により、貴族階級は衰退していった。新しい高齢貴族もまた貨幣経済、資本主義とは別の生き方を選ぶのかもしれない。それにつれ、貴族的なライフスタイルが流行するだろう。
 日本で都会に人口が集中したのは、サラリーマンとして企業で働く給与所得者が増えたからである。大企業、一流企業は都会に集中している。したがって、エリートを目指す若者は都会に集中する。
 都会は貨幣経済、資本主義のメッカだ。お金があれば何でもできるが、お金がなければ何にもできない。
 地方の農村や漁村は、自給自足に近い生活をしている人も多い。貨幣交換を伴わない物々交換やおすそ分けが生活に根付いており、現金収入が少なくても生活することが可能だ。地方は現金収入を得る仕事は少ないが、現金収入が少なくても生活できる環境が整っている。
 リタイヤした高齢貴族も都会で生活するメリットは少ない。限られた預貯金や年金を有効活用するには、田舎暮らしの方が有利だ。高齢化社会は、都会への一極集中から、Uターン、Iターンによる人口分散が進むだろう。そして、ライフスタイルも都会的なものから、田舎暮らしを楽しむライフスタイルに変わっていくのではないか。

 (下に続く)

*有料メルマガj-fashion journal(123)を紹介しています。本論文は、2014.3.31に配信されたものです。リアルタイムでの講読をご希望の方は、http://www.mag2.com/m/0001355612.htmlよりお申し込みください。

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