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August 19, 2014

ファッションによる不織布市場の活性化 j-fashion journal(121)

1.不織布の可能性

 不織布はフェルトのように繊維を絡ませて固めた布。ワタ状のもの、布状のもの、紙状のもの、皮状のものなど、様々な形状がある。
 我々の周囲では、フィルター、マスク、紙おむつなどでお馴染みだ。ファッションの分野では、主に芯地として使われている。
 織物と比較すると、何度も洗濯すると強度に問題があるとされる。しかし、樹脂コーティング、含浸、ボンディング等により、強度の問題は解消されるだろう。
 私が最も問題だと思うのはドレープ性だが、これは既存の不織布がファッション用途に開発されたものでないからだろう。原材料の配分、密度によって、改善できるのではないか。あるいは、樹脂の含浸によってもドレープ性は変わるに違いない。
 

2.新世代不織布「EVOLON」

 不織布を検索していたら、面白い記事にぶつかった。
 2000年3月、日本パイリーンは、同社の提携先である世界最大の不織布メーカー、フロイデンベルグ社と共同開発した「EVOLON」について記者発表を行っている。その資料がPDFで公開されているが、そこには「連続マイクロファイバーのスパンレースを一工程で製造する初めての技術」と紹介されている。写真を観ても、これまでの不織布にはないトレープ性が感じられる。
 しかし、それ以降、何の報道もないし、この新素材名を検索しても出てこない。しかし、EVOLON.COMというサイトもあり、製品そのものは継続的に展開しているようだ。想像するに、この新技術は既に一般化しているのだろう。
 日本においては、当初から、ドイツからの輸入で対応するという戦略があったようだ。そのため、新素材の名称が知られることなく、製品として輸入されるようになったのではないか。

3.和紙と不織布

 和紙と不織布は似ている。和紙メーカーが不織布を扱っているケースも多い。日本工業規格では紙とは「植物繊維その他の繊維を膠着させて製造したもの」と定義されている。つまり、紙も不織布の一つと考えることができる。あるいは、合繊フィラメントを和紙の原料として加えることもできる。
 菓子のパッケージには和紙のような不織布が使われることも多い。ウォータージェット水で繊維を絡ませるスパンレース法は和紙の製法に近い。日本の製紙技術は世界的に見てもレベルが高い。日本の合繊技術、紡績技術のレベルも高い。必然的に、日本の不織布のレベルも非常に高いと言える。
 また、不織布をスリットヤーンにして、織物を織るケースもある。不織布のスリットヤーンはファンシーヤーンのような効果を持つ。最近は、不織布のスリットヤーン使いの敷物も多く見かけるようになった。
 
4.不織布をアパレル素材にする意味

 私が不織布に可能性を感じるのは、主に不織布が工業用素材であり、規格が厳しく価格が安いこと。難燃加工、静電防止加工など様々な高機能が付加できること。生地幅が広いこと。デジタルプリントのプリント下生地として使えること。更には、印刷が掛けられること。紙への印刷技術によりプリントすれば、プリント生地は画期的に安くなる。
 また、表地素材の不織布と中綿素材としての不織布、断熱素材の蒸着加工の不織布を組み合わせれば、防寒用衣料も可能だ。
 靴、帽子、バッグなど、様々な雑貨も不織布で作ることができる。不織布だけで、フルアイテムのファッションを表現することが可能なのだ。
 不織布を原料とすることで、縫製という概念も変わるかもしれない。不織布は接着剤使用も、熱融着も可能だ。ほつれる心配もないので、縫い代の始末も不要だ。
 更に、不織布は床材にも壁材にもなりうる。不織布100%で作ったショップができるということだ。これは、建築業界、インテリア業界にも大きな訴求効果があるだろう。
 
5.不織布のイメージをファッションで引き上げる

 アパレル業界においては、不織布は芯地に使われてきた。不織布がファッションの中心素材として取り上げられたことはない。
 もし、アパレル素材として不織布が活用できれば、不織布市場は一気に拡大し、不織布のイメージも大きく向上するだろう。そして、様々な不織布の高付加価値ビジネスが生まれることになる。
 そうなれば、より良い人材も集まり、不織布業界全体を底上げすることができると思う。
 不織布のファッションを確立することは、不織布業界のブランディングにつながる。不織布業界の広報手段として、不織布ファッションコレクョンを提案できないだろうか。あるいは、不織布ファッションデザイナー協会のような任意団体を組織できないだろうか。
 そこから何かが変わるに違いない。

*有料メルマガj-fashion journal(121)を紹介しています。本論文は、2014.3.17に配信されたものです。リアルタイムでの講読をご希望の方は、http://www.mag2.com/m/0001355612.htmlよりお申し込みください。

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