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June 11, 2014

中国のPVトレンド中毒 j-fashion journal(105)

1.企画のスタートはPVショー

 トレンド情報に対する考え方は、日本と中国では全く違う。日本のファッション業界は、トレンド情報のチェックはするものの、そのままコピーして商品化することは少ない。
 日本のファッション業界で爆発的に成功するのは、欧州のトレンドに追随したものではない。VANのアイビーファッション。DCブランド。ビームス、シップス、ユナイテッドアローズ等のセレクトショップ。渋谷109系のギャルファッション。ゴスロリ・・・等々は、欧米のトレンドに追随しなかったから、ブームになったと言える。
 日本にはどんな分野にもメインストリーム(主流)と、アンチ・メインストリーム(反主流)が存在する。この二つの存在が互いに干渉し、刺激し、進化していくのだ。
 一方の中国は、アンチ・メインストリームという発想がない。政治も経済もメインストリームに乗ることが重要であり、アンチ・メインストリームから攻めるという発想がないのだ。

 中国のファッション業界では、PVショー(プルミエールビジョン)のトレンド情報が全ての企画のスタートである。中小企業であってもPVに行く人が非常に多い。
 もう一つの企画のリソースは、ヨーロッパで購入するサンプルだ。デザイナーの重要な仕事の一つがサンプルを購入することである。「どんなサンプルを買えばいいのか」も、デザイナーが抱える悩みの一つとなっている。
 PVショー視察とサンプル購入がヨーロッパ出張の大きな目的であり、逆に言えば、ヨーロッパ出張しなければ、企画はできないということになる。
 当然のことながら、商品は同質化する。それなら、独自のブランドコンセプトを構築したり、トレンドを無視したモノ作りをすれば良さそうなのだが、今のところ、そういう発想は希薄だ。
 
2.日本と違うメンズのOEM工場

 トレンド情報以外にも商品の同質化を招く大きな問題がある。それはOEM工場だ。
 中国のメンズブランドは、トータルアイテムを展開するために、自社工場ばかりでなくOEM工場から商品を調達している。
 OEM工場は、アパレルのニーズを聞きながら、独自の企画商品を制作し、アパレル企業に供給する。その際、ディティールの一部をアレンジしてオリジナル商品にする。したがって、類似商品が、他のメンズブランドからも出てくる。これが店頭を同質化する大きな原因となっている。
 私は、「日本の商社を通じて、日本のOEM工場を活用してはどうか」と勧めたのだが、彼らは関心がないようだった。OEM工場活用というメインストリームは変えたくないのだ。
 彼らが興味を持つのは、原則であり、方程式である。たとえば、「80平米の売場に必要な素材を教えてほしい」「表面効果のある素材とプレーンな素材の割合は?」という質問が来る。「そんなものは、ブランド毎に違うし、それを決めることが企画ではないか」と答えるのだが、彼らは不満顔だ。
 「ファッションは既存の価値観を壊すもの」という根本中の根本が全く理解できない。どこかに手本があり、その通りにやれば成功すると信じている。そして、「日本の企業はうまくやっているのだから、その秘密を隠しているに違いない」と考えているのである。
 この様子を見る限り、中国アパレルが中国独自のブランドを開発することは難しいだろう。中国のアパレルは、欧米のコピーしかできない。ここに留まる限り、「中国アパレル恐れるに足らず」である。
 
3.中国のアンチ・メインストリームは生まれるか?

 中国アパレルの現状を見ていると、何かの天変地異で恐竜のように絶滅してしまうのではないか、と思う。それを防ぐには、中国人デザイナーがアンチメインストリームを創り出す以外にはない。あるいは、その位置に日本の個性的なブランドが進出する可能性があるかもしれない。
 日本のアパレルも、ライセンスブランドやヨーロッパのトレンドに追随しているブランドで、中国で成功するのは難しいだろう。コピーなら、中国の方が徹底して行っているからだ。
 私は「中国にアンチ・メインストリームが生まれるか?」に興味がある。もし、あるのなら、何らかの形で応援したいと思う。もちろん、日本の個性的なアパレルが中国でブームを起こすなら、それも応援したい。
 中国でテキスタイルを販売したいのならば、独自のトレンドと共に発信すべきだと思う。PVのトレンドカラーではなく、日本のトレンドカラーとして発信すべきだ。そして、ヨーロッパのトレンドと比較しながら、アジア人にはアジア人に相応しいカラーがあることを強調すべきではないだろうか。
 彼らは手本を求めている。彼らは、テーゼを求めている。独自のトレンド、スケジュール、企画MD手法を提示して欲しいのだ。彼らは品質を求めているのではない。「日本のテキスタイル」というブランドを求めている、という方が正しいだろう。
 中国の現状を見ていると、まだまだ中国にはビジネスチャンスが溢れていると思う。 

*有料メルマガj-fashion journal(105)を紹介しています。本論文は、2013.12.2に配信されたものです。リアルタイムでの講読をご希望の方は、http://www.mag2.com/m/0001355612.htmlよりお申し込みください。

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