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June 11, 2014

2013年は転換点だった j-fashion journal(108)

1.今年の流行語に見る世相

 少し古い話題だが、2013年の新語・流行語大賞は、最多の四つの語「今でしょ」「お・も・て・な・し」「じぇじぇじぇ」「倍返し」が選ばれた。2012年は杉ちゃんの「ワイルドだろぉ」だったのだから、今年は豊作だ。(?)
 2013年は、いろいろな意味で動きのある年だった。2011年の「3.11」以降、続いていた停滞感がようやく溶け始めたという印象だろうか。
 政治経済も「アベノミクス」により、動きだしている。しかし、あまりにも停滞が長く続いたために、企業も個人も自ら変化を起こすことにためらいがあるように感じる。
 そんな気持ちを後押ししてくれたのが「いつやるの?今でしょ!」という林先生の言葉だったのかもしれない。実際には「今でしょ?」と言われても、「本当に今なの?」と思っていたのが2013年ではなかったか。
 日本人は自ら行動を残すことが苦手だ。「日本が変わるには外圧が必要だ」というのも情けない話だが、誰かが何かをすれば、それに反応する。

 たとえば、中国や韓国が反日運動を起こす。日本人にとっては「じぇじぇじぇ」だ。日本人の多くは、「訳がわからない。なぜ、日本は何もしていないのに、日本人を嫌うのか?」と思っているだろう。
 反日があまりにも続くと「倍返しだ」という感情が生まれてくる。相手が先に手を出したのだから、悪いのは相手という子供の喧嘩のような論理が芽生えるのだ。
 「やられたらやり返す。倍返しだ」と言う台詞は、滅多に言えないだけにカタルシスを感じる。ドラマ『半沢直樹』では、詐欺師に対する倍返し、監督官庁への倍返し、巨大企業の組織内での倍返しなどが観られた。、
 変化という意味では、2020年夏季オリンピック大会開催地が東京に決まったことの意義は大きい。目先だけを追い掛けてきた企業や個人に対して、暗黙の内に7年間の中長期的計画が義務づけられたのだ。
 7年後、我々はどうなっているのか。そして、どのように「お・も・て・な・し」をすればいいのだろう。
 
2.市場が変わる

 2013年、団塊世代の中心が65歳を迎えた、それと共に、シニア市場が注目されている。私は、消費の中心がシニアに移行することにより、市場全体がシニア化すると思っている。
 若さへの憧れより、成熟していることに対して積極的な評価がなされるようになるのではないか。日本という国そのもの、多くの日本企業、日本人個人がシニア化していく。そうなった時に、粗悪な安物商品は売れなくなるだろう。良い商品を長く使うことの価値が再認識されるはずだ。
 中国でも東南アジアでも、市場は品質の良い商品を求めている。「安ければいい」という商品のニーズは低いのだ。逆に言えば、日本市場の安物商品では、中国市場にも東南アジア市場でも通用しない。アジア市場が求めるアジアスタンダードの品質とは何かを考えなければならない。
 シニアは趣味人である。自分の趣味には集中的に投資する。しかし、興味がない商品は安ければいい。そういう意味では、安い商品が悪いわけではない。しかし、安くても安いなりの品質やデザインが求められるはずだ。たとえば、トレンドを無視した実用的なロングセラーの定番商品が選ばれるのではないか。目先を変えるデザインではなく、ロングセラーに耐えられる商品である。

3.流通が変わる

 流通も大きな変化を迎えようとしている。店頭で商品説明を聞き、比較検討をした後で、インターネットでより安い商品を購入するという購買スタイル、「小売店のショールーム化」である。消費者にとって、非常に合理的な購買方法と言える。消費者にとって合理的ならば、なくなることはない。今後もショールーム化は進展するだろう。
 製造小売業においては、この問題はほとんど生じない。たとえば、ユニクロ・ブランドの商品は直営店か直営のネットショップで販売されている。卸売をしていないので、価格コントロールが可能なのだ。
 私は小売店、店頭の機能を見直さなければならないと思う。単純に商品を陳列しているだけの売場では、ネットに負けてしまう。店頭には「人」がいなければならないし、「人」に会うために来店するという動機が必要だ。
 物販だけでなく、カフェ業態、ギャラリー業態等を併設するケースも増えるだろう。あるいは、常にイベントを行っているスペースであること。
 商品の購入はネット調達が一般的と考えなければならない。コストをかけた店頭で購入するということは、高い商品を購入することである。店頭販売は、贅沢な手段であると意識することが大切だ。

4.生産、サプライチェーンが変わる

 中国の生産コストが上がり、東南アジアに生産拠点を移す動きが激しくなっている。しかし、東南アジアの政情も不安定だ。
 生産地のコストが上がるということは、市場として成熟してくるということでもある。中国生産のコストが上がっても、価格に見合う商品ができれば、それを日本、中国で販売することも可能だ。
 問題は、安い商品しか売れないというビジネスモデルではないだろうか。東南アジアも、経済成長すれば確実に人件費もアップする。そうなれば、更に奥地へと工場を移すのだろうか。
 私は、中国生産の教訓を東南アジアで生かすべきと考えている。生産と市場を分離して考えるのではなく、一体に考えなければならない。中国生産が始まった頃は、「工場で生産した商品は輸出しなければならない」という縛りがあった。法律が改正され、中国国内販売が可能になっても、日本企業は中国市場でのビジネスができなかった。
 もし、中国内販ができていれば、様々な戦い方がある。東南アジアに生産拠点を移しても、中国国内に販売拠点があれば、中国と東南アジアの新たな連携ができたはずである。しかし、多くの日本企業は最後まで現地化ができなかった。
 東南アジアに拠点を移すなら、最初から東南アジア市場での販売も考えた方がいい。日本市場での販売しか考えられないのでは、新たな成長戦略は描けないだろう。
 
5.失われた品質とデザインの20年を超えて

 以上の変化を総合的に考えれば、日本企業の進むべき道は自ずと見えてくるのではないだろうか。まず、価格優先という意識を変えなければならない。「そこそこトレンドで、そこそこの価格の商品さえ作っていればいい」というビジネスモデルは、中国アパレル企業と正面から競争することを覚悟すべきである。
 日本市場のみならず、中国、東南アジア市場を見据えるのであれば、中国企業、中国製品を標準と考えなければならない。東南アジア市場においても、中国製品は最も安い商品であり、価格なりの品質しか担保していない。日本企業、日本製品に対しては、よりハイデザインで上質な製品を期待している。それは、日本国内でシニアが求めている商品とも重なっているのだ。
 バブル崩壊の90年代からの20年間は、雇用が失われ、成長モデルが失われ、品質とデザインが失われた時期だった。より安く生産し、より安く販売することが成功モデルだったのだ。
 そのビジネスモデルは、2013年に終焉を迎える。2014年からは取り返すこと、取り戻すことがキーワードになるだろう。雇用を取り戻し、成長モデルを取り戻し、品質とデザインを取り戻すこと。2014年の消費税増税により、その流れは明確になるに違いない。

*有料メルマガj-fashion journal(108)を紹介しています。本論文は、2013.12.23に配信されたものです。リアルタイムでの講読をご希望の方は、http://www.mag2.com/m/0001355612.htmlよりお申し込みください。

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