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February 17, 2014

クリエイティブなテキスタイルを開発しよう j-fashion journal(104)

1.二つの立場のテキスタイルデザイナー

 ヨーロッパのテキスタイルデザイナーには、二つある。
 第一のテキスタイルデザイナーは、アパレル企業に所属するテキスタイルデザイナー、あるいは、テキスタイル担当である。第二は、テキスタイルメーカーに所属するテキスタイルデザイナーである。
 アパレル企業のテキスタイルデザイナーは、スティリスト(ファッションデザイナー)が設定したテーマ、イメージを基に、テキスタイル開発を行い、テキスタイルの買いつけを行う。
 テキスタイル開発を行う場合、まずスティリストが、写真や絵画などのイメージ画像をテキスタイル担当に渡す。テキスタイル担当は、その画像を元にテキスタイル開発を行う。
 たとえば、ダヴィンチの「モナリザ」の画像をイメージとして提示したとしよう。ここから、どんなテキスタイルを開発できるだろうか。
 髪に注目すれば、アルパカのシャギーを連想するかもしれない。背景のブルーと近景のブラウンからは、ウールの先染めを連想できる。モナリザの服に注目すれば、袖部分の柔らかなドレープと肩に掛かったガーゼのような風合いに注目するかもしれない。

 アパレル企業のテキスタイル担当は、スティリストが興味を持つテーマに従って、テキスタイルを考えるだろうし、製品の価格帯も意識するだろう。メーカー側のテキスタイルデザイナーは、自社の設備や在庫の糸を考え合わせて、具体的な提案を考えるかもしれない。
 テキスタイル開発のテーマと、イメージを伝えるスティリスト。そして、それを元に、発想を膨らませるテキスタイル担当。その発想を実際のもの作りに落としこむメーカーのテキスタイルデザイナー。こうした連鎖が創造を生み出していく。
 残念ながら、日本にはこうした抽象的なイメージのブラッシュアップのチャンスがない。あるのは、物性と価格だけだ。それで日本の技術は素晴らしいと言えるのだろうか。
 
2.テキスタイルから発想する製品

 製品価格から原価を割り出し、原価からテキスタイルの価格を割り出す。そして、トレンド情報と価格から、適当な生地を探すという手法は正しいのだろうか。
 「B級グルメ」が人気を集めている。安くて大衆的な料理だが美味しいという評判だ。B級グルメは、「地元で安く入手できる素材を美味しく食べる知恵」である。「どんな食べ物が売れているか」というトレンドからメニューと価格を決定して、価格に合う食材を探したわけではない。元々、安くて美味しい素材を調理しているのだ。
 ファッションにも同じことは言えないだろうか。安い価格で販売したいなら、安くてカワイイ素材をいかに売れるようにするか、という視点も大切ではないか、と思うのだ。
 その良い事例が「帆布のバッグ」だ。京都のブランドが有名だが、帆布は決してトレンディな素材ではなかったはずだ。丈夫なだけの実用的な素材である。それがナチュラルでカワイイと言われるようになったのは、徹底的に帆布にこだわったからだろう。
 同じように、安価でもそれなりに魅力あるテキスタイルはいくらでも存在する。しかし、前述した意識決定の仕組みでは、そういうテキスタイルが出てくることもないし、そういう製品が企画されることもない。
 私は「B級グルメ」は好きだが、高そうに見えるニセモノの料理は嫌いだ。ある意味で、偽装料理になってしまう。有名ホテルやレストランで食材を偽造するのは、最初に食材の名前を冠したメニューと価格を決定して、その後で原価にあった食材を探させたことにあるのではないか。低価格で販売したいなら、低価格の食材をいかに調理で美味しくするかを考えるべきだ。それを最初にメニューを考えるから、ああいうことになる。
 これは、トレンドと価格から商品を作るアパレルと同じではないだろうか。
 たとえば、「定番の綿織物だけで製品を考える」というブランドがあってもいいのではないか。定番のブロード、定番のツイル、定番のデニム。徹底してその素材を使いこなすことで、新しい商品を開発する。テキスタイルで統一した商品開発は、店頭に並べた時に統一感を演出することができる。中心商品がしっかりと構築できれば、それに加えるべき商品は仕入れても良いのだ。
 
3.カラーの変化だけでも商品開発はできる

 オランダのデザイナー、ディック・ブルーナが描くミッフィーは、白と黒を除くと、ブルーナカラーと呼ばれるレッド、ブルー、イエロー、グリーン、ブラウン、グレー6色だけで構成されている。
 たとえば、この6色だけでアパレルのブランドを構成することもできる。色を決めてしまえば、織物もニットも残糸を捨てる必要がなくなる。
 カラートレンドを追い掛ける必要もない。顧客は、昨年購入した商品と、今年の商品がコーディネートできない、という心配もなくなるのだ。
 もちろん、世界中の商品が全て同じ色になったら退屈だろう。しかし、ほとんど全てのブランドがトレンドカラーを追い掛けているとすれば、一つぐらい固定したカラーパレットを使っても良いのではないか。その代わり、アパレルだけでなく、インテリア、ステーショナリー、雑貨等、全てのアイテムで展開する。
 素材でもカラーでも、絞り込むから特徴が生まれる。何かを捨てなければ新しいものは生まれない。日本のテキスタイルが素晴らしいというなら、徹底的に得意なテキスタイルにこだわればいい。日本の自然が美しいというなら、徹底的に日本の色にこだわってもいい。
 「トレンド×価格」という組み合わせは、最も陳腐なものを生み出す方程式ではないだろうか。

*有料メルマガj-fashion journal(104)を紹介しています。本論文は、2013.11.25に配信されたものです。リアルタイムでの講読をご希望の方は、http://www.mag2.com/m/0001355612.htmlよりお申し込みください。

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