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January 01, 2014

タウンチェックで町起こし j-fashion journal(98)

1.景観のベースとなる色彩

 日本の伝統的な景観は、自然の色で構成されていた。
 唯一の例外は神社仏閣だろう。丹塗りの鳥居、柱などは、非日常的な祭祀の色彩である。しかし、神社仏閣はその建築の劇的な視覚効果を演出するため、周囲に十分な空間や植栽を持っていることが多い。日常の空間と非日常空間は分離されていたのだ。
 奈良の寺社のように、年月を経て退色した建築を塗り直さないというサビの美意識も見られる。
 江戸時代は武家の時代であり、質実剛健の気風が重んじられた。華美を排し、贅沢を禁止し、それは景観にも反映されていた。明治以前の日本の景観は、土の色、石の色、瓦の色、草木の緑、木材の色、竹の色、漆喰(白漆喰、黒漆喰)、黒塀等の黒、和紙の色等で構成されていた。加えて、丹塗りのお稲荷さんの鳥居や、商店の看板や暖簾がアクセントとして存在していた。
 自然の色の景観の中で、目立っていたのは人間であり、物売りの衣装、全身に彫り物をした人足などが、人々の目を引いたことだろう。

 現代の景観を見ると、建築物や商業的な看板、サイン、広告、標識等に色彩が氾濫し、人間の色彩は地味になっているように感じる。目を引くのは、サインや広告ばかりで、人間は目立つことを避けているようだ。景観の主人公は、人間から建築物に移ってしまったのかもしれない。
 こうした状況の中で、地方自治体では景観条例を策定しようとしている。多くは、彩度や明度を抑え、華美になりすぎないような色彩の制限を加えるというものだ。
 実際、我々が美しいと感じるヨーロッパの町並みは、石や鉄という素材の色彩が支配的であり、非常に抑制されている。その中にある花や人が引き立つ空間になっている。
 アジア諸国あるいは新興国は、都市計画をする前に、経済成長を迎え、経済優先の景観が形成された。皆が自分の利益を主張し合う景観だ。日本は一足先に経済成長が一段落したので、景観に目を向けられるようになったのだろう。
 景観のベースになる色彩は、自然の素材が持つ色彩である。景観の調和を壊さないように建築物や公共のサイン等を色相別に彩度、明度をコントロールしようというのが、景観色彩計画である。

2.シンポルとなる色彩

 地域と色彩に関するもう一つの視点は、地域ごとのシンボリックな色彩である。地域アイデンティティを表現する色彩といってもいい。祭りの色彩、シンボリックな木や花の色彩、そこに生息する動物の色彩等々だ。
 こうした色彩は日常空間の中に多く現れるものではないが、町のアイデンティティに欠かせない。景観条例等の環境色彩のコントロールは華美な色彩を制限するものだが、シンボリックな色彩は華美であっても構わない。期間限定、地域限定で出現する色彩である。
 たとえば、私が住む埼玉県越谷市の色彩について考えてみたいと思う。越谷市は、これといった特徴のある産業がない。せんべいは隣の草加せんべいが有名だし、人形は隣の岩槻、桐タンスは隣の春日部が有名だ。越谷だけに存在するものとしては、宮内庁鴨場がある。
 そこに飛来する美しい真鴨の色彩と水辺の自然の色彩を越谷のシンボリックなカラーとして設定できないだろうか。環境色彩とは別の意味で、越谷の色になると思う。
 このように考えれば、日本全国全ての市町村でシンボルカラーが設定できる。地元の有識者によるタウンカラー制定実行委員会のような組織を作り、アドバイザリーボードして色彩の専門家チームを作るのはどうだろう。アドバイザリーボードが提案し、最終決定するのは委員会という形態である。
 
3.タウンチェックの制定 

 町の色が制定できれば、そこから様々な展開が考えられる。我田引水になるが、私なら、市町村オリジナルのタウンチェックを提案したい。
 たとえば、先の越谷市のシンボルカラーを鴨の色から取るとすると、首の深いグリーン、くちばしの黄色、胴体の白、ベージュ、ブラウンのグラデーション、羽の一部の藍色。そして、水辺の景色の色彩である落ち着いたグレーからグリーン、ブルーのカラーパレットが用意できる。
 これらを組み合わせて、タータンチェックのようにチェックを構成する。タータンはイギリスの貴族の家柄を表していたが、タウンチェックは文字通り、市町村を表す。
 ウールで作ればシックなブレザーになる。コットンのシャツ地も良いし、シルクのスカーフも良い。市町村のイベント等のユニフォームとして使うこともできるし、ベースとなるチェックができれば、地域特産品のパッケージ等にも使える。地域ブランドの資産にもなるだろう。
 
4.タウンチェックによる町起こし

 町起こしと言っても、町には様々な要素があり、それぞれに既得権者がいる。一部の人間だけの利益につながるような町起こし計画ではまとまらない。
 その意味では、タウンチェックの制定に既得権者はいない。市町村の木、花、動物等は制定しても、チェックを制定するという概念はなかった。しかも、制定するまでの大きな予算も必要ない。いくつか候補を決めて、住民に投票して決定することもできる。
 チェックの布は、様々な製品に加工することができる。また、最初にタウンカラーの設定がしっかりとなされていれば、ジャケット用のチェック、シャツ用のチェック、きもの用のチェック、スカーフ用のチェックを設定することも可能だし、毎年新柄を設定することも可能である。
 紙に印刷すれば、パッケージ、ラッピングペーパー、ポチ袋、折り紙、ブックカバー等、これまた活用は無限にある。
 タウンチェックの良いところは、特定の地場産業が存在しない地域や新興住宅街でも制定できることだ。制定までに、様々なイベントを絡めることも可能だ。
 たとえば、「町のカラーハンティング」ということで、町の景色、建築物、名所旧跡、施設、商店、工場、人物等の写真を市民から募集し、そこからカラーを抽出するイベントを行うのも良いだろう。
 チェックが制定されれば、それを使った商品は、その地域の特産品になるし、オリジナルブランド化も可能だ。たとえば、トートバッグやエプロンなら、主婦のサークル等でも簡単に生産できる。特に繊維関連の企業がなくても製品化は十分に可能である。
 チェックを制定すれば終わりというのではなく、そこからの発展が期待できるので継続的な活動も可能だ。そういう意味でも、町起こしのテーマに相応しいと思う。
 できれば、専門家でチームを組み、全国の市町村にプレゼンテーションしたいと思うが、いかがだろうか?
 都市計画、建築、景観色彩の専門家のみなさま、町起こしのテーマが見つからない地方自治体の担当者のみなさま、ご連絡をお待ちしています。一緒に、タウンチェックによる町起こしを仕掛けましょう。

*有料メルマガj-fashion journal(98)を紹介しています。本論文は、2013.10.14に配信されたものです。リアルタイムでの講読をご希望の方は、http://www.mag2.com/m/0001355612.htmlよりお申し込みください。

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