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January 01, 2014

ジーンズ業界に向けた新業態の提案 j-fashion journal(97)

1.小売り段階の革新不在

 一般のアパレル業界からは、製造卸という業態が消えようとしている。ユニクロ、無印良品、GAP、H&M、ZARA等は、基本的に小売店であり、小売店が工場から直接商品を調達するというビジネスモデルだ。
 GAPは元々ジーンズショップであり、全米最大のリーバイス販売店だった。しかし、リーバイスの取り扱いを止め、オリジナルのGAPジーンズを開発し、SPAに転換したのである。ジーンズビジネスも、他のアパレルと同様、メーカーから小売店へとビジネスの主導権が移っていった。
 日本のジーンズ業界は、最後までメーカーと小売店のテリトリーを守った。それはそれで立派だが、消費者にとって魅力的な「売場提案」「売り方提案」「ライフスタイル提案」がなされなかったとも言える。
 デニムメーカー、ジーンズメーカーは、素材、縫製、後加工等のモノ作りにこだわり、世界最高水準の技術を確立した。しかし、小売段階の革新がなされず、結果的に市場競争に破れようとしている。

 昔は、ジーンズを購入したければ、ジーンズ専門店に行くしかなかった。現在は前述した大型カジュアル専門店、量販店、通販メーカー等がオリジナルジーンズを開発しており、様々なチャネルから購入することができる。それに伴い、ジーンズ専門店のシェアが減少し、結果的にNBジーンズメーカーの売上も減少している。

2.ジーンズ発展の日米の違い

 この状況を打破するには、小売店の視点からビジネスを考え直す必要がある。
 まず、「日本人にとってジーンズとは何か?」「ジーンズを中心にした生活スタイルとはどんなものか?」を考えなければならない。
 アメリカは綿花を栽培する綿産国である。Tシャツ、ジーンズ、ダンガリーシャツ、チノパンツ等は、綿産国が考える「コットンカジュアル」である。これは、アメリカの風土と歴史が生み出したものだ。ジーンズは労働着であり、安価で実用的なアイテムだった。
 戦後、ジーンズが日本に伝わり、普及していく。当初は、アメ横など一部の地域で米軍の放出品として販売されていたが、やがて、国内ジーンズメーカーが生まれ、ジーンズショップが全国に林立した。その背景には、アメリカ文化への憧れがあった。日本人にとってジーンズとは、アメリカのような実用的な労働着ではなく、アメリカンファッションの代表的アイテムだったと言える。
 90年代になると、日本でリーバイスのビンテージが再評価された。その結果、国際的にビンテージ・ジーンズ市場が生まれ、その延長上に、現在のダメージ加工のジーンズが生まれた。日本のジーンズ業界は、「古着ジーンズの魅力」を評価し、その価値観に基づいた商品開発を行ってきたのである。
 アメリカでジーンズに大きな変革が起きたのは、70年代末から80年代にかけてだ。カルバン・クラインがコレクションにジーンズを取り上げ、ジーンズのイメージを労働からセクシーなアイテムへと昇華させた。80年代にデザイナーズジーンズは大きな潮流となり、高額なジーンズ市場を生み出したのである。
 同じジーンズでも、その文化的背景の違い、コンセプトの違いにより、ショップのコンセプトも変わる。
 古着ジーンズを理想とすれば、古着屋のような店舗環境になるし、デザイナーズジーンズというコンセプトならば、デザイナーのブティクのような店になる。
 古着ジーンズのトレンドは終了しようとしている。それなのに、ジーンズ業界は次のトレンドを見いだせないでいる。新しい時代のショップとは何かというコンセプトも見えない。
 今後の消費者意識の変化、市場トレンドの変化等を予測した上で、魅力的なコンセプトを構築しなければジーンズは浮上しないだろう。
 
3.ジーンズの新業態の提案
 
 「日本のジーンズ」というテーマについて、いくつかのコンセプトを考えてみたい。
 第一は、「デニムきもの」を中心とした展開である。最近、メンズのデニムきものが人気を集めている。
 アメリカのコットン文化と日本の木綿文化の融合がテーマ。日本に綿花栽培が伝わったのは江戸時代であり、庶民のきものとして定着した。多くは、野良着であり、藍染めや草木染めの縞や格子、絣染め等が中心である。手拭い、足袋も木綿で作られている。
 靴を履いている坂本龍馬の有名な写真に写っている袴も、帆布のような厚手の綿織物だったようだ。
 デニムだけではないが、コットン、藍染めを基本にしたコレクションである。現在のデニムよりソフトなものが中心になる。
 第二は、「四季のデニム」をテーマにした展開。
 アメリカのデニムは年間商品であり、季節を意識していない。それがアメリカンカジュアルの合理性でもあり、魅力でもある。しかし、日本のジーンズを考えると、四季という概念を外せない。
 春は、淡いブルーで薄地のデニム。プリントやジャカードがあってもいい。薄手の綿か、ビスコースのようなプリントのシャツを合わせてもいいだろう。
 夏は、麻、綿麻、テンセル等のデニム。インディゴの他に、白、生成、墨黒。先染めのストライプやチェックも。藍染めコットンのTシャツやカットソーと合わせるのはどうだろうか。
 秋は、クラシックなデニムコレクション。あるいは、ドレスアップデニム。デニムのトップに合わせるカラフルなテーラードジャケット。フォーマルでも着られる黒のジャケット。
 冬は、防風、保温、防水などの機能デニム。コーティングやボンディング等の後加工。インディゴのニット製品、インディゴチェックのネルシャツ合わせる。
 実際には、四季の商品MDをミックスすることも可能だ。日本の風土に則した日常着としてのデニムコレクションである。
 四季のデニムの顧客ターゲットをシニアに設定するのも良いだろう。リタイア後の生活スタイルの提案。日本の自然と共に生きるシニアスタイルの提案である。
 以上は、私なりの提案に他ならない。他にもアイディアはあるだろうし、それらを考え、構築することが重要である。ジーンズ業界の浮沈は、ジーンズの新しいコンセプトに掛かっていると思う。

*有料メルマガj-fashion journal(97)を紹介しています。本論文は、2013.10.7に配信されたものです。リアルタイムでの講読をご希望の方は、http://www.mag2.com/m/0001355612.htmlよりお申し込みください。

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