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December 06, 2013

デザイナーよ、インドに行こう! j-fashion journal(79)

1.低コストの国から世界に販売する
 
 最近の若いデザイナーは、とても志が高い。「日本人だから、日本の素材を使いたい」「日本の縫製工場と一緒に頑張りたい」と考えている人が非常に多い。
 これを否定する気はないが、日本のコストはデザイナー諸君が考えている以上に高い。現在の原価率、現在のビジネスモデルで勝負するには、あまりにもハードルが高いのだ。
 もし、国産で勝負しようとするならば、直接顧客に販売する仕組みが必要だ。通常のビジネスモデルのように、商品原価率を3割以下で設定したのでは、価格が合わない。原価率を5割以上に設定しても、売れる仕組みが求められている。これについては、過去に本メルマガでも触れているのでここでは割愛する。 ( j-fashion journal(20)「原価率50%のクリエイティブビジネスを」 http://j-fashion.cocolog-nifty.com/jfashion/2012/07/j-fashion-jou-2.html)
 今回は、デザイナーやベンチャーアパレルが起業できる別の方法を考えたい。それはコストの低い国で生産して、世界市場で勝負するというビジネスモデルである。

 世界で勝負しようとヨーロッパの展示会等に参加する若手デザイナーも少なくないが、残念ながら採算が取れることは稀だ。2~3年出展を継続した後、「ヨーロッパの展示会に出展した」ということを日本国内で訴求して商売につなげようとするケースが多い。ヨーロッパの展示会出展はプロモーションの手段となっているのだ。
 ヨーロッパの展示会に出展しても採算が取れないのは、多くが高コストの日本生産の商品だからだ。結局、ディプレイ用の尖ったデザインの商品が数点売れるだけで、継続したビジネスにはならない。もし、価格がリーズナブルなら、ヨーロッパの展示会の反応も異なっていたはずである。
 日本人デザイナーだから、日本人のアイデンティティを守り、国産商品だけで勝負するという志は美しいが、ビジネスは非常に難しい。そこだけにこだわるのではなく、自分のデザインを低コストの国で生産し、それで世界に勝負をかけるという方法も考えて欲しい。 
 
2.デザイナーが取り組める国の条件

 コストの低い国はいろいろあるが、デザイナーが直接関われる国は少ない。
 中国のアパレルメーカーは、輸出アパレルと内販アパレルに分かれる。日本の商社、アパレルが生産を委託しているのは輸出アパレルである。輸出アパレルは基本的に大規模で生産ロットが大きい。技術レベルの高いメーカーも多いが、個人や零細企業が直接取り組むのは難しい。
 内販アパレルは小規模のところも多いが、日本との関係が希薄だ。もし、個人的に内販アパレルと親しい関係にあれば、デザイナーとして契約することはできるかもしれない。しかし、それを継続するには、中国市場で売れなければならない。この場合、販売先は中国国内のみということになる。
 最近、注目を浴びている東南アジアはテキスタイルと縫製が分離している。多くの国は、縫製工賃は低いが、素材を生産していない。素材の調達ルートを持っていないとオリジナル商品を開発するのは難しい。
 また、ゼロから技術指導しないと製品ができないというレベルでは、デザイナー、零細企業が対応するのは難しい。ある程度の輸出実績もあり、デザイン感覚を持っていないと、簡単にはもの作りはできないのだ。
 生産ロットの問題もある。東南アジアは人件費が低いので、世界の大手アパレルが生産を委託しており、生産ロットは非常に大きい。ほとんどが万の単位のオーダーであり、数百の生産数では相手にされないだろう。
 生産ロットが少ないのは、大型の機械設備を使わない手工業である。加えて、ある程度、完成度が高い製品を生産しており、欧米や日本市場にも実績のある国が望ましい。
 そう考えると、インドとトルコが見えてくる。共にヨーロッパに輸出実績があり、手工業から大量生産まで設備が揃っている。また、国内に紡績からテキスタイル産業まで揃っている。
 但し、既にトルコは製品の完成度もコストも高い。トルコを活用するなら、セレクトショップが適していると思う。完成した商品を仕入れるなら、インドよりトルコだ。しかし、一緒にもの作りをするなら、インドではないだろうか。
 
3.インドとの取り組みを考える
 
 ここでインドの特徴を整理してみよう。
 インドの第一の特徴は、天然素材が豊富であること。高級素材ならカシミヤ、シルク。オーガニックコットンは世界の約5割を生産している。
 これらの高級素材を原材料とした製品をヨーロッパ市場に輸出しているが、日本への輸出は少ない。(日本が輸入しているうちの約1%)
 第二は、染色、機織、縫製等の工場規模が小さいこと。インドは長年小規模の縫製工場を保護してきた歴史がある。そのため、圧倒的に零細規模の業者が多い。また、インド国内では現在でも生地を買い、テーラーに仕立を依頼するという形態が主流である。そのため、小ロットでのモノ作りも可能だ。
 近年は輸出競争力を向上させるために2001年に小規模規制留保を解除し、現在ではZARA、GAP、NIKE、H&M などの欧米系メガアパレルが縫製拠点を置いている。
 第三は、手織り、ビーズ刺繍、刺繍等の手工業が盛んであること。このハンドワークがヨーロッパ市場で評価されている。
 第四は、インド人が持つ性格である。古来より高い文化とファッション感覚を持っており、また、向上心も強い。但し、中国のように言われたことをそのまま行う「下請け仕事」を嫌う。あくまでオリジナルの商品を販売するというビジネスモデルのこだわりを持っている。
 このことも日本人デザイナーが取り組む相手としてふさわしいだろう。インドのメーカーと契約し、日本、ヨーロッパ市場で販売する可能性があるのだ。
 以上を総合すると、インドの強みをいかすデザイン提案ができれば、互いにWIN-WINの関係を結ぶことができると思う。いわゆるモードとしてのトータルコレクションではなく、アイテムを絞り、インドのオーガニックコットンや刺繍、ビーズ刺繍等を駆使したデザインである。
 
4.日本・インド連携プロジェクト

 私は「インドと日本の連携による新しいビジネスモデルが構築できないか」と考えている。
 実は、今回インドの縫製工場を訪問した時に、ヨーロッパのデザイナーとのコラボレーションブランドを見た。そのデザイナーはシーズンに一回2週間程度インドに滞在してコレクションを仕上げ、その商品をヨーロッパ市場で販売しているという。
 このような集中的なコレクション制作ができないだろうか。
 例えば、多くのインドのアパレル企業が日本のIFFに出展している。しかし、日本人バイヤーが食指を動かしたくなるようなデザイン提案がない。そこで、まず日本のデザイナーに呼びかけて、IFFを見てもらい、マッチングを行う。
 そして、日本人デザイナーはデザイン画や図案の用意をして、インドのメーカーを訪問し、サンプル制作を行う。その成果を日本で発表し、また、ヨーロッパの展示会にも出展する。
 商取引はインドのメーカーが行い、デザイナーはデザインロイヤリティを受け取る。もし、デザイナー自身が日本市場で店舗展開や卸売をするなら、インドのメーカーに発注すればいい。これにより、デザイナーは生産背景を持つことになるのだ。
 私は、日本国内でモノ作りをしているデザイナーも、インド生産に挑戦すべきだと思う。別ブランドを設定してもいいし、インドコレクションとして、例えば、リゾートコレクションをまとめるというのも良いだろう。
 こうしたプロジェクトを実現するためには、日本とインドの業界団体等の支援も欠かせない。このプロジェクトはどちらかだけが利益を上げるのではなく、あくまで両者がWIN-WINの関係を構築することが目的である。

*有料メルマガj-fashion journal(79)を紹介しています。本論文は、2013.6.3に配信されたものです。リアルタイムでの講読をご希望の方は、http://www.mag2.com/m/0001355612.htmlよりお申し込みください。

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