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December 14, 2013

アジア企業とのWIN-WIN連携を考える j-fashion journal(83)

1.ドメスティックの閉塞感

 私はこれまで日本国内の企業に対して「グローバルを目指せ」と言い続けてきた。しかし、「お前自身はグローバルなのか?」と問われれば、「すみません。私はドメスティックです」と答えざるをえない。私自身がグローバルなコンサルならば、海外企業にも通用する戦略を提案しなければならないし、海外企業にもアプローチしなければならない。それができないのは、私自身がドメスティックである証である。
 欧米のブランド企業が日本市場に参入する時には、日本企業との合弁企業を設立することが多い。日本法人の社長になるのは、高学歴で、海外ビジネスの経験があり、英語が堪能な人材だ。グローバルな人材とは、こういう人達を指す。
 欧米のブランド企業は、自社の製品を世界中で販売する。各国市場のニーズに合わせることもあるが、基本的には同一商品を世界市場で販売する。商品企画力もマーケティング力も十分にあるグローバル企業に対して、私が言うべきことはほとんどない。

 私が日本企業に物申しているのは、日本企業が私以上にドメスティックだからだ。私が商品企画やマーケティングについて注文をつけるのも、あまりにもそのレベルが低いからだ。世界市場で戦えるだけのブランド力、商品企画力、マーケティング力がある日本企業には言うべきことはない。資生堂、カシオ、トヨタ等の世界的な企業に対して、私がアドバイスできることはほとんどない。
 私ができることは、日本のファッション市場に関することと、日本の製造業、日本人デザイナーのノウハウを組み合わせ、活用することだ。そして新しいプロジェクトを立ち上げ、軌道に乗せることだ。
 ブランディングが苦手な企業にはブランディングを提案する。営業が苦手な企業には、営業の支援をする。商品開発や商品企画が苦手な企業にはそれを提供する。それにより、何か新しいことが始まり、企業の業績が上がる。クライアントの利益が上がれば、それに関わる我々も収益を得ることができる。
 収益が上がらない企業は経費を使えない。我々のような外部の人間は、収益の上がる企業でなければ付き合えないし、収益の上がっている企業は外部の手助けを必要としない。それが問題だ。
 こうした根源的な問題は、私だけが抱えているわけではない。中小零細企業も同様だろう。自社には技術がある。その技術を生かせば、良い製品ができることが分かっていても、大企業は中小企業の助けを借りようとはしない。そこそこの商品を低価格で生産、販売すれば、それなりに売上は確保できる。そこそこのビジネスには、私のような専門家も必要ないし、職人気質も必要ない。必要になるのは、現状の製品に満足できず、新しい商品を開発したいという意欲がある場合だけだ。そして、新しい商品が開発できれば、それを海外で大量生産する。そこに安定を見いだすことは難しい。
 
2.新興国で高級品を生産する

 繊維製造業は人件費、原材料費、エネルギー費が低い地域が有利だ。技術力がどんなに高くても、そこそこの商品、そこそこのビジネスでは低コストの地域に負けてしまう。
 技術力というなら、圧倒的な技術力が必要だ。世界のオンリーワン企業になれば別の展開が見えてくる。世界市場、世界企業がビジネスの対象になるからだ。
 現在の日本市場は、そこそこ品質のそこそこビジネスが支配している。世界に通用するブランドを構築しようという意識も希薄だ。しかし、アベノミクスで市場の空気が変わってきたのも事実である。
 もし、市場が現在の市場にはない高品質の商品を求めるようになれば、日本の中小零細製造業も私も出番が来るかもしれない。それでも、高品質の商品が安定して売れるようになれば、必ずや中国生産で対応するだろう。こんなことを繰り返しているうちに、国内製造業は確実に衰退していく。それでは何も変わらない。
 私は以前より、「日本の製造業者は新興国の製造業との共存が必要だ」と訴えてきた。海外工場を使って利益を上げるのが、商社、問屋、小売店だけなのが問題なのだ。日本の製造業者もクリエイターも海外工場を活用して利益を上げるビジネスモデルを考えなくてはならない。
 新興国の武器はコスト競争力だ。大量生産の大規模な工場は、大型専門店や量販店の商品を受注している。我々がこれらの工場と連携するのは難しい。
 私がターゲットとしたいのは、小規模な工場、手工業の分野だ。これに日本の製造業のノウハウを注入し、高級品として世界市場で販売するという戦略である。

3.日本の中小零細製造業者は高級品市場を狙う

 日本は効率を追求して経済成長を達成した。反面、品質を犠牲にしてきた部分がある。日本の工業製品は「品質が高い」と刷り込まれている人には信じられないかもしれないが、日本の繊維製品の品質は現在より昔の方が高かった。戦後より戦前の方が品質は高く、戦前より明治の方が高い。室町時代の絹織物の技術はそれ以上だ。
 我々が技術と聞くと、ハイテクをイメージする。現在の合繊技術は素晴らしいが、それでも未だにシルクを超えていない。
 戦後の技術とは、高速化、効率化を意味していた。回転数を上げ、均一でムラのない工業製品を大量生産することが「技術の進化」だった。一人の職人が一年かけて完成度の高いものを作るという技術とは根本的に異なるものだ。
 更に、「高級化」となると、希少価値が加わってくる。需要の高い高度な工業製品であっても、何百万という単位で生産すれば、価格は安くなる。反対に、需要の高い製品が月に10個しかできなければ価格は上昇する。
 薄利多売を選択するか、高額商品を少量生産し、息の長いビジネスをするかは経営戦略による。日本市場は巨大な中産階級市場であり、薄利多売商法が相応しかった。しかし、欧米のような階層社会では高級品市場も確かに存在する。そして、高級品を販売するのなら、生産数をコントロールすることが必要だ。
 新興国の多くも貧富の差が激しく、階層社会を形成している。日本が得意としていた薄利多売商法に基づく、均一でムラのない製品を作り出す生産管理は完全に中国に移転してしまった。
 現在の日本に残っているのは、職人的な少量生産の工場である。ここで生産される商品が高級品、ブランド商品として流通すれば利益を確保することができるだろう。
 日本の中小零細製造、クリエイターは、先進国と新興国の高級品市場を攻略しなければならない。そのパートナーとして、東南アジア、インドの手工業が浮上してくる。

4.日本とアジアのWIN-WIN連携

 2013年7月に開催されたIFFには、インド、バングラデシュの企業が大挙して出展していた。彼らは、既に欧米市場に輸出実績がある。しかし、日本市場は中国製品のシェアが高く、インド、バングラデシュ製品のシェアは低い。
 日本企業はチャイナプラスワンを模索しており、最近は積極的に東南アジア、南アジアに投資をしている。東南アジアや南アジア企業は、欧米市場を補完する巨大市場として日本市場を見ているのである。
 おそらく、多くの商社や大手量販店は中国並のコストを求めるだろう。最新設備を備えた大規模な企業は、それが可能かもしれない。しかし、アジアの中小零細製造業者、手工業メーカーは中国との価格競争に挑むより、高級品市場に目を向けるべきではないだろうか。
 しかし、彼らが単独で高級品を企画生産することは困難だ。もし、日本のクリエイター、日本の中小零細製造業者が彼らを支援すれば、その可能性は高まると思う。そして、日本のクリエイター、中小零細製造業者もまた新しいビジネスモデルを構築できる。
 手工業者であれば、小ロット対応が可能だ。クリエイターのモノ作りにも適している。日本の中小零細製造業者にとっても、日本ではできない手工業製品を発注することができるし、価格競争力のある商品を獲得すれば欧米市場で販売するにも有利である。
 現在の日本国内の製造業者が作る商品は、海外に輸出する場合、非常に高額になってしまう。コストも高いし、関税も高い。しかし、東南アジア、南アジアからの輸出であれば、コストも関税も低くなる。
 大規模な最新鋭工場はスペック勝負だ。それには日本の商社が直接投資を行い、世界中から受注を取ることで新しいビジネスが生まれる。
 商社が取り組めないような中小零細業者、手工業メーカーは、日本の中小零細メーカー、クリエイターと連携する。それにより、新たなブランド構築が可能になり、現在以上に高級品市場に食い込めるだろう。
 この二つの連携により、互いがWIN-WINの関係になることが、互いの利益になるだろう。

*有料メルマガj-fashion journal(83)を紹介しています。本論文は、2013.7.1に配信されたものです。リアルタイムでの講読をご希望の方は、http://www.mag2.com/m/0001355612.htmlよりお申し込みください。

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