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December 06, 2013

百貨店、量販店の垣根を壊そう! j-fashion journal(80)

1.百貨店と量販店は何が違う
 
 量販店はセルフサービス、集中レジを特徴とする。日本の量販店は、百貨店と異なる商品を扱っているが、アメリカの量販店と百貨店は商品に違いはない。百貨店で販売されている商品、ブランドでも、大量仕入れ大量販売によって安く提供するというのが量販店のビジネスモデルである。
 日本で量販店が大きく成長したのは、60年代後半から70年代のこと。当時は百貨店の力が強く、百貨店はアパレル企業に対し、同じブランドの商品を量販店に卸すことを認めなかった。
 結果的に、百貨店に卸すのは百貨店アパレル、量販店に卸すのは量販店アパレルと棲み分けるようになった。そのため、百貨店は高級品を中心に販売し、量販店は実用品、中級品に特化していった。
 こうした棲み分けは、当時の百貨店企業の圧力であり、既にその圧力は弱まっている。したがって、量販店が高級品を販売することも十分に可能なのだ。しかし、50年間継続した棲み分けを簡単に変えることはできないのかもしれない。

 相変わらず、百貨店は高級品に特化し、量販店は安価な実用品に特化している。しかし、消費者の立場からすれば、百貨店は高すぎる。量販店は品質が悪すぎる。もっと良心的な品質とプライスはないのか、と思っているのではないか。
 百貨店は販売員による過剰な接客販売、量販店はセルフサービスという双方の形態を変えようとしない。百貨店の商品は、販売管理費を上乗せされるので高額になりやすい。量販店はセルフサービスに固執しており、接客が必要な価格の商品は品揃えしていない。
 百貨店は、問屋調達ではなく、商品を世界のメーカーから直接買いつけるべきだ。量販店は、販売員を配置し、現在の商品よりも数ランク価格を上げるべきだ。そして、百貨店並の高級品を百貨店の半額程度で提供すれば、顧客に指示されるだろう。
 互いに、過去の自社製品を基本にした品揃えから一歩も出ていない。双方ともに過去を踏襲しているだけであり、何の革新もない。
 
2.ネット流通と店舗流通の違い

 既に、ネット流通中心の時代が到来しようとしている。
 現在、百貨店、量販店、専門店共に売上は減少傾向にある。その原因の一つは、高齢化と人口減少社会を迎え、市場そのものが成長していないことだ。
 もう一つの要因は、カタログ通販、ネット通販にシェアを奪われていること。通販の圧倒的な強みは価格競争力である。店頭在庫負担もなく、販売管理費の負担もない。店舗で販売しないので、売場に近い都心に本社を置く必要もない。品揃えも有利な商品に絞り込めばいい。どう考えても、店舗流通より価格競争力がある。
 シニア層はネット通販に慣れていないという弱みもあるが、この弱みは確実に解消されるはずだ。シニア層であっても、ネット接続率は確実に上がっている。
 ネット流通を基本に考えると、店舗流通は非常に運営コストが嵩む。コストを回収するためには、付加価値の高い商品を販売しなければならない。これは高級品もコモディティ商品も同様である。コモディティ商品であっても、利幅が少なければ扱うことはできない。
 小売価格を優先すると、どうしても素材や仕様を落とすことになる。これをやれば、単なる安売り商法に陥いる。そこには感動もなければ、生活の喜びもない。
 食料品のように、毎日消費する商材であれば、ネット通販よりに店舗販売の方が有利だ。毎日、鮮度も確認したいし、価格も常に変化する。あるいは、衝動買いを誘うような雑貨もまた店舗流通に適している。
 インテリアやファッション製品は、店舗流通が絶対的な優位性を保つことは難しい。店頭で接客され、商品を購入することが感動体験となるようなラグジュアリーブランドであれば、店頭で買物する必然性がある。しかし、商品知識のない派遣販売員やセルフ販売ではそうした体験は得られない。
 百貨店や量販店の社員は、店頭で買物するのが当たり前と考えている。しかし、消費者はネットと店舗を使い分けている。そこにギャップがある。 
 
3.店舗流通が生き残るために考えること
 
 ネット通販を基本に考えれば、「店舗流通は特別に贅沢な調達方法」とも言える。ネットがなかった時代には、どんな商品でも店頭で販売していた。したがって、多くの人は、どんな商品も店頭で販売するのが当たり前だと思っているが、それは過去の話だ。
 店舗流通が生き残るには、店舗流通にふさわしい商品ジャンルに特化しなければならない。
 家電製品等は、店頭で商品を確認し、販売員から説明を受け、ネットで購入する。こうなると、店舗を構え、在庫を大量に持つ大型専門店は何のために店を構えているのか分からない。
 しかし、メーカー保証が充実しており、スペックで商品が判断できるのであれば、店頭で購入する必要はない。販売員の解説もWEBで代替えできるだろう。
 本来は、メーカー自身がコミュニケーションのためのショップを構えるべきだ。そして、商品説明して購入はネット経由で行えばいい。小売店がメーカーの商品を説明すること自体が不自然なのかもしれない。
 もし、小売店が存在意義を発揮するとしたら、独占販売か、独自仕様の商品を扱うしかない。つまり、オンリーワンの商品を販売しない限り、ネット通販との競争には勝てない。
 ファッション商品は家電製品よりも評価軸が多い。何よりも自分に似合わなければ意味がない。また、サイズだけではなく、着心地や運動性も重要である。生地の風合いも触ってみなければ分からない。
 販売員が顧客の個人スタイリストの役割を果たしている場合もあるだろう。この場合、店頭で商品を選び、試着することこそ重要だ。購入は、自社サイトから買ってもらえばいい。
 あるいは、店頭に出掛け、アドバイスを受けた商品を顧客別のバスケットに入れておき、その商品を購入すれば、割引になるというような仕組みが必要になる。もちろん、店頭で購入すれば送料負担が減る。
 基本的に、どんな商品でもネットで購入できる。店頭に出掛けるのが特別な行為なのだ。特別な手間をかけて、来店する顧客にはその見返りがなければならない。しかし、商品の価格で報いることはできない。店頭を維持するには、どうしてもコストが掛かるからだ。
 何らかの情報を得る。あるいは、感動を体験する。オーダーメイトができる。アドバイスが受けられる。イベントに参加できる。こうした機能が店頭になければ、顧客は店頭に行かないし、ネット通販に勝つことはできない。その意味では、セルフサービスは最悪だ。セルフサービスをするなら、イケアのように、あらゆるシーンを見せるスペースと倉庫スペースを分離すべきである。あるいは、コストコのように店舗は倉庫と割り切るべきである。
 
4.店舗流通は全て専門店になる

 ネット流通を基本に考えると、店舗は編集がより重要になる。全方位戦略は混沌としたネット通販サイトと同じだ。しかも、店頭の商品は検索することができない。
 百貨店、量販店共にゼネラルマーチャンダイジングは難しくなるだろう。欧米でも既に百貨店という業態は消えつつある。残ったのは、メーカーから直接商品を調達する大型専門店だ。
 元々、デパートメントストアとは、専門店を一つの建物に集積し、利便性を高めた業態だった。その基本に戻ることが必要だ。
 量販店は大量仕入れ大量販売により、百貨店や専門店と同じ商品をより安く販売する業態だった。それが発展して、PBを販売する業態に変化していった。結果的にい大型専門店に向かっている。大型食料専門店、大型アパレル専門店、大型ホームファッション専門店が集積している館である。
 量販店が大型専門店の集積であるという前提に立てば、セルフサービスにこだわる意味はない。最低限の販売員は必要だし、売場を常に整理し、商品を補充する担当者は不可欠だ。
 その上で、主にネットで販売すべき商品、店頭で販売すべき商品を分ければいい。
 専門店が生き残るには、独自ブランド、独自商品の展開が必要になる。メーカーから調達するにしても、企画機能、開発機能は持たなければならない。小売企業の仕事は、店頭の売上や在庫の管理をすることではない。管理だけなら、コンピュータの仕事だ。最低限の人間が店頭をコントロールすればいい。
 重要なことは、商品を開発し、メーカーと共に商品を作ることである。そして、低コストの物流機能、店頭と直結した情報システムを構築することである。顧客を組織化し、店頭イベント、オンラインイベント、SNS等のコミュニケーションを図り、常に顧客ニーズを把握し、それを。もの作りに生かすという継続可能な仕組みをつくり上げることである。
 ここにいたって、百貨店、量販店、専門店等の業態をこだわるのは意味がない。店舗流通が特殊なのだ。特殊な業態が生き残るには、業態の殻を打ち破り、新たな価値を生み出すイノベーションを起こさなければならない。

*有料メルマガj-fashion journal(80)を紹介しています。本論文は、2013.6.10に配信されたものです。リアルタイムでの講読をご希望の方は、http://www.mag2.com/m/0001355612.htmlよりお申し込みください。

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