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December 25, 2013

テキスタイルを象徴するブランド j-fashion journal(93)

1.ラグジュアリーブランドの顧客設定

 現在、ラグジュアリーブランドと言われるブランドの中には、高級皮革メーカーからスタートしたものが多い。ルイ・ヴィトン、グッチ、セリーヌ等だ。バッグや靴で有名になってから、アパレルに進出し、ラグジュアリーブランドに発展した。しかし、実際にはアパレルよりバッグが売れている。
 彼らはなぜ莫大な経費を掛けて、アパレルコレクションを創り続けているのだろうか。
 パリのオートクチュールブランドについても同様のことが言える。実際にオートクチュールのドレスを購入する人は少ないが、巨大なライセンスビジネスの象徴として機能している。
 アパレルのコレクションは、コレクションに登場するアパレル製品を販売するためだけではなく、ブランド全体、ブランドビジネス全体のプロモーション機能を果たしているのだ。
 クリエイティブなコレクションは、そのまま商品と販売するのは厳しい。と言って、普通に売れる服を発表するだけなら、ファッションショー形式を採用する必要はない。展示会で十分だ。

 コモディティとしての商品を販売することと、高級品を販売することは意味が異なる。高級皮革製品がラグジュアリーブランドになり得たのは、人気商品を出し、上流階級の人に支持されていたからである。その土台の上に、コレクションを発表したことで、ブランドイメージがシャープに表現された。
 もし、一からブランドを創造し、それをラグジュアリーブランドに育てるのならば、最初から上流階級の人向けのブランドであることを示さなければならない。たとえば、デザイナーが上流階級に所属しており、セレブの友人が大勢いれば有利だろう。
 日本では、ヨーロッパのような上流階級は存在しないので、誰を狙うかが重要になる。芸能人を狙うのか、スポーツ選手を狙うのか。それとも、ベンチャー経営者を狙うのか。
 いずれにせよ、大衆を狙ってはならない。少数でいて、注目度が高く、情報価値がある顧客設定をしなければならない。
 
2.日本の優れたテキスタイルを象徴するブランド

 今回、考えたいのは日本のテキスタイルを象徴するブランドである。たとえば、北陸のハイテク合繊を象徴するブランドを創作するとしたら、どうなるのか。
 通常なら、天然素材の方が高級で、合繊はコモディティ中心である。しかし、合繊だが、高級であるという定義をしなければならない。
 天然素材が好きな人でも、スポーツをする時には、ハイテク素材を使うだろう。アウトドア、登山等のサバイバルな状況でもハイテク合繊は強い。あるいは、天然素材との複合素材も考えられる。服を作る段階で、天然素材と合繊を複合させることも考えられる。たとえば、ライナーに最高級のカシミヤを使い、外側には堅牢な合繊素材を使うなどだ。
 過酷な状況にも快適に対応できる服ならば、街着としても快適なはずである。
 それと正反対のコンセプトとしては、旅行シーンなどを想定したポケッタブル・イブニングドレスも考えられる。カジュアルウエアや水着の上に、ストンと被るだけで、フォーマルに変身するというコンセプトだ。
 しかも、既製服ではなく、完全にパターンオーダーでドレスを制作する。こちらは、皺にならないハイテク合繊ニットを主原料とする。あとは、いくつかのアクセサリーを合わせれば、コーディネートが完成する。
 コンセプトを重視して、最高のものを作ること。自動車メーカーがコンセプトカーを作るのと同じだ。それで技術力を訴求し、実際にはボリューム商品も制作する。そうでないと、メーカーは生産ロットを消化することができない。
 
3.プロモーションする商品を設定する

 ブランドイメージを上げるには、プロモーション費用が掛かる。その費用をどんなビジネスで吸収するかを設定できないと、単なる趣味の活動になってしまう。
 もし、テキスタイルメーカーがブランドを構築するなら、テキスタイルの商談に生かされなくては意味がない。独立採算などを考えれば、コレクションはつまらないものになってしまうだろう。
 そもそも売れるアパレル製品を企画生産して、それを市場に浸透させることは非常に難しい。ファストファッションの時代になってからは、世界で最も安い地域で生産し、世界で最も高く売れる市場で販売しなければならない。しかも、大量生産によるコストダウンが不可欠なので、世界的な多店舗展開が必要であり、それには莫大な資本を要するのだ。
 私なら、前述したようなオーダーメイドか、バッグのような比較的小ロットで生産できるアイテムのライセンスを考える。その代わり、魅力的なコンセプト、継続的な素材開発、継続的なブランドプロモーションが必要になる。
 ブランド展開とは、プロモーションやブランドイメージ構築に投資し、その代わりハイリターンを目指すビジネスである。ブランドビジネスと、OEM生産ビジネスとは180度異なる。その意味でも、OEMメーカーが自社ブランドを育成するのは非常に難しいのだ。

*有料メルマガj-fashion journal(93)を紹介しています。本論文は、2013.9.9に配信されたものです。リアルタイムでの講読をご希望の方は、http://www.mag2.com/m/0001355612.htmlよりお申し込みください。

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